育成
椅子に座ってる子供達の背中は裸だった。背中の首下に小刀の先端を突き刺す。一筋の血が腰までしつる。それでも子供達は声を出さなかった。
………
翌日、ガーリーは娘達に起こされた。太陽の傾きから昼に近い事を知る。
娘達の顔つきは誰もが決意のある顔をしていた。ガーリーが寝てる間にゼリーが昨日の話をした事が分かった。
ガーリーは起き出し、皆を抱きしめた。それは毎朝の日課となった。
ゼリーがマスターとなり、朝から昼までは言葉や計算、知識を教える。ガーリーも娘達の後ろに座りゼリーの言葉を記憶する。
昼ご飯の後は、剣術と体術の練習。ゼリーは自分の身体を七体の人間の形にして娘達の練習相手になる。打撲などの怪我をするとガーリーの出番。魔法で治す。
皆疲れて、晩飯を食べながらトゥリは寝てしまい、夜に強いクロとヤミですら、すぐに寝付いた。
生活が一気に変わるも、娘達は文句も言わず一生懸命、 ゼリーの指導についてきた。
エルフのリカヒとリザードマンのウォッタは剣術に秀でていた。
勉強はホビットのチッツとドワイドのトゥリが物覚えが早かった。
オーガのクロとヤミは、好きな科目は得意だったが好きでないのは苦手だった。
人間のフィア。負けず嫌いな性格は剣技において有利なのだが体力も腕力もしょせん人間の女の子並みだった。そのせいでフィアやウォッタに負けて悔し涙を流す日々だった。
ガーリーは人間のフィアが能力的に劣ってるように感じたが、まだ幼ないからこれからだよ。とゼリーに慰められる。
半年が過ぎると更に細かな勉強と練習になる。語学と世界の常識。歴史。生物や植物、種族の種類から特徴。剣術も細剣から短剣、オノ、ヤリ、弓。
一通りの練習をした後で娘達の得意分野の練習を主にしていく。
ガーリーは人間のフィアが、なんとかついてこれてる状況を心配していた。ウォッタは力を使う振り回すヤリやオノが得意だが、弓や短剣の扱いが苦手だった。クロとヤミは短剣や、素早さを主軸とした体術が得意だと分かった。トゥリは目が一番よく投剣や弓が得意だし、チッツは地形を生かした体術が得意。
次の段階は、娘達の得意分野を特化する事にした。
七歳になった時には売りに来る村人が娘達の練習を見学していくほどの腕前となった。
知識の授業。ゼリーは博識なのは当たり前だった。世界樹でもあるゼリーがこの世界を創ったのだから。
エルフの国[ポーロピア]。純血種なエルフの寿命は三百年だが反面繁殖能力が著しく低い。そのため現在ほとんどのエルフは人間とのハーフ。純潔なエルフは王族の数百人しか居ない。
誇り高い純血なエルフが国を統治してるので古風な規律や戒律で厳しく、それを高慢や不自由と捉える市民が多かった。
国からの離脱は簡単だが、戻るのは規律で禁止されている。
自由を求めエルフの国から離れたエルフは、はぐれエルフと呼ばれた。悪を自由と読んだエルフは、ダークエルフや反エルフと呼ばれた。ダークエルフの徒党が集まり「ジャイナ街]と呼ばれる大きな街を作った。
ポーロピア国は同族でもあるダークエルフを殺すわけにもいかず見て見ぬふりをしてる。
[ジャイナ街]を仕切っているのは街の下水を管理している女[リリア]
リリアはゴブリンと契約を結んだ。ゴブリンが街の汚水や糞尿の廃棄をする代わりに地下下水道がゴブリンの棲み家になった。
リリアはゴブリンが下水道に棲み家を広げてる事を知った時には、ゴブリンの数も把握出来ず下水道が実際にどうなってるか分からなくなった。
エルフのポーロピア国のジルア国王は最長年齢の二百五十六歳だが健康的な五十歳代に見える。エルフにしてはガタイが良く、若い頃の勇敢な戦士の名残りがまだ残る風貌。だが確実に体力や臓力は弱っていた。
知識の吸収を優先していたが強い魔法は滅多に使わない。
純血なエルフは一夫多妻制で、ジルア国王は十人もの妃を持っていたが子供は、息子二人しか産まれなかった。
人間の国。元々一つだったが、一つの頭よりも二つの頭の方がより存続できると考えた前国王が、引退前に自らの国をドシアとザメリカという二つの国に分け、二人息子をそれぞれ国の統一者にした。兄弟争いを避ける為に、共通の敵を闇の種族とエルフに向けた。それは功をなし二つの国はより強固になった。
国王の亡き後も二つの人間の国は平和を維持し、前国王の政策は成功と言えた。
他の種族は、至る所に暮らしている。各種族の人口は、繁殖力の高いボブゴブリン族とゴブリン族。そして人間族。エルフ族。荒廃した岩山や鉱山に棲むホビット族。一気に人口が少なくなり、誰かに見つかると場所を転々と棲み替えるドルイド族を含む各属性のフェアリー。海や海岸、沼地に棲むリザードマン族。海に棲むシーマンや人魚。
伝聞や伝説の域にいる雪男を含む巨人族、ドラゴン、ヴァンパイア、オーガ、ゴースト。蟻族。
獣や昆虫類に至っては、数えきれないほどの種類と生命がこの世界に棲む。
ゼリーがそう娘達に教えていく。ガーリーも知らなかった事がいくつもあった。
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