第13話 蛇
バナナと、少しのキノコ、食べられそうな名前も知らない木の実を収穫し、ミサの待つ洞窟へと戻った
「何か思い出した?」
僕達がミサと別れてから大体3時間くらいたっているので、少しでも思い出すことが無かったか確認したかった
「ごめんなさい。まだ何も思い出せないの」
一時的な記憶喪失ではなかったようだ。これでは、なぜミサがここに来ることにしたのか分からない
「それじゃあ、先にご飯にしようか。食べられそう?」
「ごめんなさい、貴重な食糧なのに」
記憶が無くても、無人島での食料が貴重な事は分かるらしい
「大丈夫よ、ミサさんが乗ってきた船の食料も貰うから、お相子よ」
エミリがクスクスと笑う。ミサの船にあったプルタブ式の缶詰に入っていた肉とキノコを食べ、バナナで腹をいっぱいにした
「私も、体力的にはもう大丈夫よ。一緒に行動できるわ」
「打撲の痛みとかは遅れてくるって聞いたことがあるし、今日は無理しないほうがいいと思うよ」
「ありがとう、じゃあ、お言葉に甘えるわね」
やはり無理をしていたのか、ミサはどこか痛そうな顔で洞窟の中へ入っていった
「じゃあ、僕たちはもう少し探索と食料を集めてくるから!」
僕は歩いて行ったミサにそう伝えると、ミサは振り返って「わかった!」と返事した
僕たちは、今度はワニが居た湖の方へ向かった
「ここへはあまり来たくなかったけど、調べないわけには行かないし」
湖の奥へ行くと、崖だったところが裂けて地下へ続く道が出来ていた
「あれは……」
「マサキ、待って!」
「ぐえっ」
エミリが僕の服の襟を引っ張った
「急に何をするんだ!」
「あれを見て!」
エミリが指さす方を見ると、5mくらいの大きな蛇が居た
「あれは、ニシキヘビか?」
「何でもいいよ!逃げよう!」
しかし、一瞬早く蛇が僕に巻き付いた
「ぐぁあぁ!」
「マサキ!」
ギシギシとどんどん強く巻き付いてくる。もう駄目だと思った瞬間、蛇に弓矢が刺さった。驚いた蛇は、そのまま逃げていった
「大丈夫?心配になって探しに来たわ」
声のした方を見ると、ミサがボウガンを持って歩いてきていた
「矢が無いからもう使えないかもしれないけどね」
「いや、助かったよ」
僕は死ぬ思いから解放されて安堵した
「大丈夫?マサキ」
エミリが心配そうにこちらを見るので、頭を撫でてやった
「そうだ、地下へ続く道を見つけたんだ」
ミサにそう伝える
「じゃあ、私も一緒についていくわ」
地下へ続く道は暗かったので、船の燃料を少しだけ拝借しタオルに浸み込ませ、木の枝に巻き付けると、簡易松明を作った
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