第15話 うーみーだー!!②

 昼食を取り終えた俺たちはすぐに各部屋へと戻り、自前の水着に着替える。

 パラソルやビニールシートなどの海で必要な道具を手に持ちつつ、二人が来るのを待つこと数分。最初に現れたのは奈々の方からだった。


「遅れてごめんなさいお兄ちゃん」


 その声で俺は後ろを振り返る。

 先日ショッピングモールで購入したピンクのフリルが付いたビキニを着ていた。


「お兄ちゃん……どうですか?」

「あ、ああ……すごく似合ってると思うぞ?」


 この前も試着時に見たというのにやはり女子の水着姿はいつ見てもどきどきが止まらない。

 俺はまじまじと脳裏に焼き付けている中であるところに視線が止まる。

 ――胸……大きくなった?

 以前試着時に見た時はいつも通りで決して大きくはなかった。

 それなのに今は一回り……いや、二回り以上の大きさになっている。


「お兄ちゃんそんなに私のおっぱいに興味があるんですか?」

「い、いや……そんなわけ――」


 俺の視線に気がついた奈々が胸を揺らしたりしてくる。


「ほれほれ〜遠慮しなくてもいいんですよ?」

「な、何言ってんだよ! 早くその行為をやめろ!」

「いいじゃないですか〜……あっ」


 奈々がぴょんぴょんと飛び跳ねた瞬間だった。

 ぼとっ。

 床に何か白いものが四つ落ちてきた。

 それと同時に奈々の胸が縮んだのか、水着がぶかぶかになり、はだけそうになっている。


「こ、これは……」


 奈々は涙目になりながら、真っ赤な顔をして、口をわなわなとさせている。


「増量パット……」

「お兄ちゃんのバカああああああ!」

「えええ……」


 床に落ちていたパットを全て回収し終えると、奈々は泣きながら二階の方へと戻ってしまった。


「今のは完全にはるくんが悪いよ」


 奈々とすれ違いで明日香が降りてきた。

 明日香は黒のビキニを着用しているが、上に白のパーカーを羽織っている。


「俺、なんか悪いことでも言ったか?」


 そう言うと、明日香は呆れたと言わんばかりに大きなため息をつく。


「とりあえず謝った方がいいよ」

「そ、そうか……じゃあ」


 俺は一旦荷物を床に置くと、二階の方へと上がった。

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