第15話 うーみーだー!!①

 海当日。

 俺と奈々、明日香は三宮家の別荘に来ていた。

 三宮家の執事らしき老人が運転する黒塗りのセダンから降りると、さっそく背伸びをする。

 川辺市から約三時間という決して近くもない道のりを移動してきただけあって、体が非常にこって仕方がない。体がだいぶほぐれたところでトランクの方に向かい、荷物を取り出す。その間に明日香は別荘の鍵を開けていた。


「鍵は開けたからとりあえず中に入っててくれないかい?」


 明日香にそう言われ、俺と奈々は別荘の玄関ドアを開け、中に入る。


「うわぁ……」


 奈々が思わず感嘆な声を漏らした。

 それもそうだろう。中は広々としていて天井は吹き抜けで高い。二階建ての小さな別荘とは聞いていたものの俺たち庶民からしてみれば、大きい方だ。一般的な住宅の二倍くらいはありそうだしな。

 少し遅れて明日香が中に入ってくる。


「どうしたんだい? そこで突っ立って?」

「い、いや、結構思っていた以上に広いなぁと思ってな」

「そうかい? 三宮家が所有している別荘の中では一番小さい方だと思うけど?」

「他にも別荘あるのかよ……」


 さすが日本を代表する三宮財閥は格が違う。

 明日香は先に玄関を上がると、すぐ近くにあった階段を上り始める


「二人の部屋も二階にそれぞれ用意してあるから好きなところを使うといい」

「あ、ああ……」


 俺と奈々は顔を見合わせた後、玄関を上がり、明日香の後を追い、二階へと上がる。

 二階に上がり切ると、五十メートル走ができるんじゃないかと思うくらいの長い廊下が続き、その両端にはいくつかのドアが備え付けられている。


「ここは全部ゲストルームだよ。各部屋にシャワーとトイレ、洗面所が備え付けられてるよ」


 もはやホテルだ。

 そう思いつつ、俺は一番手前の右側にある部屋に荷物を運び入れる。

 部屋の中は……うん。普通にホテル。入り口から少し歩いたところにトイレがあり、その横に洗面所とシャワーがある。室内はだいたい八畳くらいの広さだろうか。シングルベッドが二つあり、テレビ、小型の冷蔵庫も完備されている。

 どの部屋も似たような構造だとは思うけど……それにしても窓からの景色はいい。

 カーテンを開けると、そこには大きなベランダがあり、煌びやかに太陽の光を反射する海が一望できる。

 ――正直どのホテルや旅館よりもクオリティ的にはいいんじゃないか?

 そう思いながらもスマホで時間を確認すると、もうすぐで午後を迎える。

 俺は部屋から出ると、廊下の方にはすでに明日香と奈々がいた。


「お兄ちゃん遅すぎますっ! お腹減りましたっ!」

「リビングは下の方にあるから、ひとまず海に行く前に昼にしよう」


 ということで一旦昼食を取ることになった。

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