第2話 日本株ポートフォリオ 20.07.04

図書館には四季報がずらりと並んでいた。


「うーん。新型ウイルスの影響直撃…。

 こっちは先行き不透明…そうか…」


コロナショックのほぼ底付近で何気なく買ったKDDIの

株主優待と配当に魅力を感じたMIU。

いや、実のところKDDIは本当に素晴らしかったのだ。

何気なく買った割には、非常に優良株であったことが改めて実感させられた。


と同時に、なかなかKDDIを超える優良株に出会えないでいた。


「ドコモ…ライバル社だけどいいのかな。沖縄セルラーね…」


悩みに悩んだ結果、

「よし、帰ろう。」

こうしてMIUの長い長い旅は1日で終わった。

…訂正する、3時間で終わった。


「ただいまー」

「おかえりー」

「仕事しろー」


MIUは2匹の話すクマと暮らしている。

自身もクマのコスプレをしているのだが。


「開口一番に仕事しろってひどくない?」

「いや。だってMIUの持つインデックス刀Ⅳがないと

 株で荒んだ心を鎮められないからね」

「私より刀が大事なのね?」

「伝説の選定の剣だからね」

「言うじゃない」

「…パパ、MIU、それどころじゃないよ。

 今日は同時多発的に株価が揺れてるんだ。

 とても弱い反応だから、MIUが出る幕じゃないと思うけど…」

「このところ多いわね。なかなか6月8日の高値を超えられないし」

「S&P500をいよいよ攻略しに来たのかもね」

「ふん。【神の見えざる手(インビジブル・ハンド)】が2番底を

 目指そうったってそうはいかないわよ。このMIUの目が米国株式にあるうちは!」

「さっきまで日本株に目があったよね」


翌日。

小さい方のクマを連れて、MIUは再び図書館を訪れた。

企業の銘柄分析が得意でないMIUは、

データに即して分析する小グマに選んでもらうことにしたのだ。

※投資は自己責任で


「じゃあMIU。まずは何を大事にするの?」

「何って…利益が出せる方!」

「…」

「インカムもキャピタルも狙える方!」

「…」

「キャピタル重視で、せっかく日本株だからインカムもあるところ」

「まぁまぁかな。キャピタル狙いなら、成長株ってことになるね。

 じゃあPERとPBRはどの辺狙う?」

「PETボトルはリサイクルしよう!」

「PERとPBRはどの辺狙う?」

「それより直感?」

「…3歳でそのインデックス刀Ⅳを抜いたんでしょ?

 今まで何してたの?」


「PBR(株価純資産倍率)=時価総額÷純資産、または株価÷1株当たり純資産。

 PER(株価収益率)=時価総額÷純利益、または株価÷1株当たり純利益」


「なるほど分からん!」


「PBRは1倍以下で。PERは15倍以下で。基本中の基本だよ。

 それだけじゃテクニカル的にも不十分だけど」

「そういうことね、完全に理解した!」

「業種ごとにてんでバラバラだし、

 まずはHPを見てビジネスモデルも理解して…」


「MIUに個別株は難しい!

 とりあえず連続増配株ってやつがいい!名前かっこいい。

 成長してて株主にも還元してくれてそうだし」

「割とキャピタル重視でインカムも欲しいならいい作戦かもね…

 分かったよ、じゃあ連続増配で探してみるね」


「あ!小林製薬!」

「100株買うのはちょっと苦しいかな」

「MIUはJKだもんね!」

「まだSBIネオモバイル証券の口座作ってないし…」

「花王も同じだね、そうなるとSPKや三菱UFJリースとかかな」

「配当性向67%超えのユー・エス・エスは?」

「日本は平均30パーセントだよ?倍はちょっと怖くない?」

「怖くない!」

「そうならいいけど…」


「あ!試しに米国企業も見てみようよ!!」

※ピンポンパンポーン!図書館では静かにしましょう~。


「連続増配60年…?配当貴族?」

「まぁ株主へ還元する姿勢を見ても、

 米国企業はやっぱり応援したくなるよね」

「コカコーラ、ジョンソン×2、キャタピラー!マックもある!」

「僕はマクド派だよ。どの企業も、日本でもかなりのシェアを誇っているね」

「これ米国個別株でよくね?VISAやマイクロソフトも興味あるんだよね」



結局何も買わずに家に帰ってきたMIU。

「ただいまー」

「ただいま」

「仕事しろー」

「分かったそうするー」


「え?」

「は?」

「とりあえずはインデックス刀Ⅳを大事にするよ」

「まぁそれがいいんじゃないかな。入金力に励むといい」

「そうするー。仕事してきまーす!」


こうして、MIUは新たな戦いへと

今日も駆けていくのであった。

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