第13話

『レイコさんに乾杯~』

『カンパーイ』

『カンパーイ』

『シャンパンもう一本飲んでいい?』

『いいよ~』


歌舞伎町のホストクラブ

指名ホストのシュウと、ホスト達に囲まれるレイコ。

『レイコさん、オレ新しい時計ほしいんだけど』

『いいよ』

『嬉しいー』

『熟女クラブってどんな感じ?』

『魔女の館』

『魔女?』

『魔女』

『こんど行ってもいい?』

『だめよ』



『……レイコさん、私もうできない……』

『サクラあんた、お金欲しくないの?』

『でも……もうツライ……』


レイコは、企業の社長客を多数抱える。

自分の客に10万貰いサクラに1万円渡し枕させている。そういう女を何人か抱える。

そのマージンをホストのシュウに貢いでいる。

ほぼ毎日のように指定されたシティホテルへ派遣されるサクラ。

身も心も疲れてきている。


『そろそろサクラは切るか、新しい子探そうっと……』


久しぶりに、店に出るレイコ。

ゴールドのドレスにゴールドのアクセサリーが目を引く。


レイコの目に付いた

携帯を無くしたばかりで元気がないルリ。

細身でスタイルがいい美人だ。


お客様も特に来店してなさそうだ。

『あなた、元気ないわね~』

「……はい」

『あなた……お名前は?』

「ルリです」

『良ければ私と連絡先を交換しない?』

「……すみません、私携帯を持っていなくて……」

『可愛そうに』

携帯も買えないほど貧困なのかと勘違いしたレイコ。

「……すみません」

翌日の出勤前に店の近くの喫茶店に来るようルリに伝えたレイコ


翌日の喫茶店。


『あなた……お金欲しくない?』

と、ルリに言うレイコ。


「……お金ですか?」


『私の届け物を届けてくれたらあなたに1回1万円あげるわ』


「…………いいですよ」

と答えるルリ。


『あらそう?じゃ、お願いするわ』

と言いレイコは帰った。



それから1ヶ月経ち、店に乗り込んで来たレイコ

『ちょっとルリ!あんた私の客をどうしたの!』

「レイコさん……」


『おっ……レイコ……どうしたんだ?』

『椙野さん、ここで何してるの?』

『ルリちゃんと飲んでるよ、レイコが紹介してくれたルリちゃん、すごくいい子だよー』

『椙野さん、今月分の振込みが無いわよ……』

『レイコ、もう紹介は要らないよ』

『なんですって?』


『レイコさん、お客様はあなたの物じゃない、サクラさんも……』

静かにルリが言う。


奥からサクラが出てくる。


『サクラ……あんたが喋ったの?』

サクラに詰め寄るレイコ。


『レイコさん、私は毎日本当にツラかった……』

サクラが泣きながら言う。


店長が口を開く。

『レイコがルリちゃんに紹介したうちの店の客、俺がルリちゃんと一緒にホテルへ伺い、全てお店へ戻したよ、30回30万はレイコに返すよ』


店長が封筒に入れてある30万をレイコに渡す。

『レイコ……自分のしたこと解るね、処分は……』

『こんな店こっちから辞めてやるわ!』

とレイコ。



そこへシュウが入ってくる。


『レイコさん、先月分のツケまだもらってないんだけど……手に持ってるじゃん』


ルリが返した30万の封筒をレイコから取る。

『じゃ、残りはまた回収させてもらうね』

『シュウ、待って……』


『じゃ、レイコおばさん!』

と言いシュウは出ていった。












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