割れる大地
雫と2人並んで土手に座って花火を待った。
「傑大きくなったね。前は同じくらいだったのになぁ」
そんな風に彼女が呟き、僕がどうでもいいような返答する。こんな事を繰り返してるうちに花火が始まった。
ヒュ〜〜〜〜〜 ドォォーン
ヒュ〜〜〜〜〜 ドォォーン
大きな花火が何発も空に打ち上がった。
「綺麗…」
花火を見上げる彼女の顔は空に咲いた大きな花に照らされて輝いていて、思わず釘付けになった。すると、急に彼女がこちらを向いた。
「どうしたの?」
「い、いや…なんでもないよ」
咄嗟のことで上手く言葉が出ない。すると彼女がかおを近づけて来て唇に何か柔らかい感触を覚えた。急な出来事に僕の思考が停止している間に、反対側を向いてしまった。
何か言わなければ、と思い口を開きかけたその時…
「ピュイピュイピュイ」
土手一帯の携帯電話がけたたましく鳴り響いた。
「まずい!地震が来るぞ!」
誰かが叫び周りにいた人達が一気に逃げ始めた。
「雫、僕達も逃げよう!」
「私お母さん心配だから屋台寄ってく!」
そう言って屋台に向かって駆け出した彼女を僕も追いかけた。あと少しで屋台に着くという所で何かにつまづいて僕は転んだ。人の波に飲まれ押しつぶされた人だった。あまりのグロさに気を失いそうになったが、何とか耐えて屋台に向かう。
彼女が屋台の裏に入るのを見たその瞬間、足元がぐらついた。立って居られないほどの強い揺れに、僕は地面に叩きつけられた。とてつもなく長く感じられた揺れが収まるまでそのままの体勢でなんとか耐えた。収まってから、うつ伏せになりながら顔を上げると屋台はぺちゃんこに潰れていた。
「雫……雫!」
僕は起き上がり屋台に向かって走りよろうとした。するとまた地面が揺れ僕は倒れた。余震が収まると周りの屋台から火が登った。火は勢いよく周りの屋台に燃え移り、高田酒店の屋台にも移った。それでも近づこうとする僕を誰かが後ろから止めた。
「ここは危険だ!早く逃げないと!」
僕はかなり暴れたのだろう。どこかに頭をぶつけて気を失ってしまった。
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