第4話 悲しいキス
4月24日
横浜市のみなとみらい地区(20街区)に新展示場「横浜みなとみらい国際コンベンションセンター(通称:パシフィコ横浜ノース)」が開業。
今年は花見にも行かなかった。
横溝は溜息をついた。仕事どうするかな?実家で履歴書を書いていたが何度も書き損じた。パソコンで作れないのがムカつくところだ。
腹が減ったので昼飯でも食べようかな?
黒いオシャレマスクをして街に繰り出す。
ラーメン屋が『本日自粛』という貼り紙を掲示したところ、何者かによって『そのまま辞めろ!』『潰れろ』『死ね』などの語句がその貼り紙に書き込まれていた。
5月7日
新型コロナウイルス感染症の治療薬として、抗ウイルス薬レムデシビルが承認された。通常は医薬品の承認申請から実際に承認されるまでは1年程度を要するが、今回は医薬品医療機器法の特例承認の制度を使い、申請からわずか3日というスピード承認となった。
薬師寺には
大学2年のときに知り合った。宇都宮の東武大学に通っていた。略して東大と呼ばれている為、久々に会う中学や高校のダチに「東大に行ってる」と話すと決まって驚かれた。
薬師寺たちはブラスバンドサークルに所属していた。まだ、その当時は童貞だった。
厳しい練習をしていた薬師寺らは、次第に演奏の楽しさに目覚め、音楽にのめりこんでいく。薬師寺はキーボードを担当していた。しかし、全体練習の最中 (曲名: レット・イット・ビー)、薬師寺たちに憧れて途中参加した
「少しは空気を読めよ」
薬師寺は終始期限が悪かった。中森とは気が合わず、仲間とも疎遠になってしまうが、どうしても音楽を忘れられない薬師寺は、靖子と東武宇都宮駅近くの島村楽器で偶然出会う。
薬師寺は練習するためにキーボードを買おうとし、10万というあまりの値段の高さに落胆するが、ディスカウントショップに5万円で売っていた中古のキーボードを見つける。
母親にねだるが断られ、タンスの中からへそくりを見つけるが、母親に見つかってしまう。
「泥棒」
「アンタが言うな」
「親に向かってアンタとは何ですか!」
ノートパソコンを売ったが、それでも足りずに靖子とカレー屋でバイトを始めた。
レジ打ちやホールの仕事だ。無銭飲食するヤンキーにはマジで困った。電気屋に扮した刑事が犯人を逮捕する瞬間を見て、刑事になろうと決めた。
バンドで食ってこうと思っていたが両親に猛反対されたからだ。
シューカツが大変になり途中から行かなくなった。
5月8日
中国海警局の4隻が尖閣諸島周辺の領海に侵入。その内の2隻が日本の漁船を追尾した。
東京都では、行政からの自粛要請に従って時短営業をしていた居酒屋やライブバーが「この様な事態でまだ営業するのですか?」「自粛してください。次発見すれば、警察を呼びます」といった貼り紙をされた。中森も新宿でライブバー『ケルベロス』を経営していたが、窓ガラスを割られたらしい。
5月9日
中国海警局の2隻が尖閣諸島周辺の領海に侵入。中国海警局の船は10日の20時20分ごろまで領海内を航行した。
靖子は東武病院でナースの仕事をしていた。
虫垂炎で入院した、湯沢って人のへそのゴマをピンセットで取ってやった。
「こそばゆいなぁ」
夜勤担当のナース、
靖子は困ってることがあった。恋人の右近が行方不明なのだ。彼の父親が殺された。犯人は右近も殺してどこかに埋めたのかも知れない。
5月17日
ススキノラフィラってショッピングモール(札幌市)がこの日の営業をもって閉店。
午後6時、薬師寺は病院から出た靖子に近づきキスをした。
向こうは気づいていない。
「はっ!?」
唇の感触にビックリしたのか、靖子はキョロキョロしてる。
「なっ、何、今の?」
彼女と結婚することは二度と叶わない。そう思うと薬師寺は胸が痛くなった。
薬師寺はそそくさとその場から立ち去った。
それが彼が見た最後の靖子の姿だった。
「あ〜疲れた疲れた」
コンビニで花王のバブでも買おうかな?
ポーチの中でスマホが鳴った。非通知だ。
「もしもし?」
《消毒くらいしましょうよ?あなた、このまえスーパーでしてなかったでしょ?》
キモッ!誰だ!?私の電話番号を知ってる人間。
すぐに電話を切った。詐欺師かも知れない。イヤ、ストーカーかも!?
5月18日の午前10時、
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