第2話 人類上最強。俺はまだ知りませんでした。

「分かった? だから人類は第二の世界に進むってこと!」

「なるほど……つまり第二の世界に進むってことですね」

「いや、今そう言ったんだが……」


 俺はあれからリーリストロイトの説明を受けて、地球が破壊され、第一の世界が終わり、次、俺たち人類は第二の世界へ進むという事が分かった。


 さらに生物にはウィークスポイントというものが存在する。ウィークスポイントとは知能、力含める全てのステータスを掛け合わせて点数上に表したものである。

 人類は地球上の生き物の中で、最もウィークスポイントを集めたという事で、第二の世界に進められるわけである。


「それで、これから俺はどうすれば?」

「じゃあ順番に説明していくね」


 俺はコクリと頷く。


「第二の世界に行けるのは、寿命で亡くなった人以外全員。つまり病気や交通事故で亡くなった人までも全員が転生する。年齢は基本同じね。基本だよ」

「おー。たくさん!」

「あと第二の世界は地球の160倍。生物は60種類だよ!」

「160倍って何倍ですかね……」

「何倍ですかねって……160倍としか言いようがないんだが」

「そうかもしれませんね」

「はぁ」


 リーリストロイトはふぅと息をつく。


「まあいいわ。じゃあこれ」


 俺はリーリストロイトの差し出してきた紙を受け取る。


「えっとね。今渡したのが基本ステータスって呼ばれるものなんだけど、第二の世界に行くにあたって、少しは人類もレベルアップしないといけない訳なの。だから個々それぞれ見合った大きさのレベルアップを果たしたわけ」


 俺は首をかしげる。


「まあ、ちょっと強くなったよってこと!」

「なるほど。そして俺はどのくらい強くなったのか?」

「えっと……基本ステータスっていうのは生きてた時の『行い』によって決まるの。隕石が降ってくる前、人類は数々のあやまちを起こしたからねえ。そういう人たちはみんな低い。まあ、第一の世界が終わる寸前まで生きてた人はある程度高くなってるんだけどね」

「俺の行いはどうなんだ?」

「はい! ここで紙を見る!」


 俺は言われた通りに見つめる。


「……」


 俺たちは目が合った。


「何よ……」

「いや、だから神を見ろって」

「神じゃなくて紙を見ろって言ってんの! その手に持ってる。あと正確的に言うと私は神じゃなくて神の一個下!」

「そんなにカミカミ怒らないでよ……」

「ガミガミ見たいに言うな!」


 俺はリーリストロイトから目をそらし、自分の持っている紙に目を向けた。



 ★☆左河宗人☆★


 こう :+45000

 しゅ :+45000

 そく :+45000

 らん :+45000


 基本ステータス分布 :【特王とくわかりん



「……凄いのかこれは?」

「凄いなんてもんじゃないわよ」

「どう凄いんだ?」

「基本ステータス分布っていうのがあるでしょ。下の方に」


 リーリストロイトは椅子から立ち上がり、すぐに紙に目を通してから下の方を指さす。


特王とくわかって書いてありますけど……」


 するとリーリストロイトは少し距離を置いて自慢げに話す。


「基本ステータスの分布は大きく分けて3つ。下から下人げにん中人なかびと上人じょうと。人類の5割が下人なんだよね。そしてさらに特別枠として下から三誠さんせい二誠にせい一誠いっせいがそれぞれ100人ずついるの」

「俺の特王とくわかはどういう事なんだ?」

「男専用の生物に一枠しかないのがその特王とくわかなんだよねー。まあ如乞にょこうっていう女バージョン特王とくわかもいるんだけど、特王とくわかの方がひと回りもふた回りも強い」

「マジかよ……」


 つまり強さを上から並べるとするなら、特王、如乞、一誠、二誠、三誠、上人、中人、下人ということ。


「分かった? 人類の中であんたが一番強いってこと」

「特王は俺しかいないのか……寂しいな」

「……」


 またまたリーリストロイトはため息をつく。

 これで何回目だろうか。


「あ! 因みに何だけどさ、そこに書いてあるこうは力、しゅは精神力や耐久力、そくは素早さや反射神経、らんは適正能力……っていってもピンとこないか。まあ体験してみたら分かるよ。その四つが攻守速乱こうしゅそくらんって言われている基本ステータスってわけ」

「全て+45000か……他はどのくらいなんだ?」

「下人は二桁ない。というか、一誠ですら1000行くか行かないかくらいなんだよ」

「へえ」

「分かった? あんたがどれだけ化け物かっていう事」

「分からん」

「何で……」

「俺は人だ」

「ごめん」

「おう」

「……」


 リーリストロイトは諦めたような顔をして椅子に腰を掛ける。


「なんで俺が特王とくわかに選ばれたんだ?」

「あんたさ、寝たでしょ?」

「寝た」

「そんな冷静を保てれたのは貴方だけだったのよ」

「ほう」

「それで神が、あんなに動揺もせずに冷静沈着に過ごせるあいつが一番強いんじゃねってことで、特王とくわかに振り分けたってこと」

「そうなのか」

「あなた、何であんなに冷静に過ごせたの?」

「何でって、何でだろうなあ」


 もちろん、隕石が降ってくるなんて気づいていなかったからである。


「まあいいわ。これで話は終わり」

「そうか。ありがとうな」

「お礼は言えるのね」

「うん」

「……」

「それで、どうやって第二の世界に?」

「あ、はーい」


 リーリストロイトは手をかざしてゲートのようなものを作る。


「おお。凄い」

「あ、最後に」


 リーリストロイトは再び立ち上がって俺に継げる。


「私は人類が好き。あんなに平和な生き物滅多にない。だから終わらせたくない。そのためには……貴方の力が必要不可欠よ。任せたわよ人類……」

「何ですか、ボケですかそれ?」

「どこがだよ……」


 リーリストロイトはあちゃー、とおでこに手を当てる。


「まあいいわ。頑張れよ人類」

「おう」


 俺はゲートに足をやる。


「あ! 待って! りんの説明してない――」

「ん、なんか言ったか?」


 するとその瞬間、俺は光に包まれた。





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