吐く

すしばうむ

幼馴染

幼馴染に依存している自分が嫌だと気づいた。というか、依存していると思いたくなかった。そう思ってしまうと幼馴染に嫌われるとわかっていたから。

幼馴染の前だけは素でいられる。だからだろうか、遊園地で見ていて殺意が込み上げてくるぐらいイチャイチャしているカップルぐらい、周りに誰もいないときは甘えてしまった。まぁかなり一方的で幼馴染はうざそうな顔をしてはいた。その顔を見ても甘えてしまっていた。こんなにも自己中心的な人間はそうそういるものではない。

今まで沢山の物や食べ物を奢らされていたので、その分ぐらいはいいだろとは内心思ってはいた。だが、高校生になり幼馴染も変わって高い財布や服などを求めるようになった。女子は高い物を所有しているだけでステイタスが高くなるのだろうか。

バイトをしていない自分には、当然高級な物を買うお金はなかった。

そのせいだろうか、少し避けられている気がする。返信がくるのがかなり遅い。遅い時で一週間かかった。会える回数も少なくなってきた。バイトが忙しいらしい。学費を自分で払っているのでバイトが忙しいのは知っていた。他の子とは会っていることも。

友達が配信をしていたので暇つぶしに配信を見てみると、幼馴染が隣にいた。配信をしている友達が、「○○が今見てるけど大丈夫なん?」と、幼馴染に聞いた。

幼馴染は、「バイトが忙しいから会えないって言ってるから大丈夫」と、言った。

友達「え、それ聞かれてるけど大丈夫なん?」

幼馴染「聞かれてもいいことしか言ってないから大丈夫だよ」

すぐに配信を見るのを止めた。当たり前のように嘘をつかれた。今まで生きる希望であり、唯一の光だった幼馴染が、死ぬ理由、というより生きたくない理由に変わった。過去がすべて嘘だったのかもしれない。生きたくない。でも死にたくない。だからだろうか、あの言葉を聞いてもまだ、幼馴染を光として見ている自分にしがみついていた。なんて虚しい男なのだろうと鏡に映る自分を嘲笑い、泣いていた。

誰かを下に見ていないと、自分より不幸なやつを見ていないと死んでしまうと思った。その相手が自分自身だとしても。

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吐く すしばうむ @sushibaumu

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