不良少女はテセウスの船に乗れるか?

詩一

第01話 なにせ俺はいまギンギンである

「無理! 絶対無理!」

「いや、そんなこと言っても、これは君の使命だし」

「使命とか、は? って感じ。なにそれ。あたしは望んで性処理の道具に生まれてきたわけじゃあねえっつーの!」


 制服に身を包んだ金髪の女子高生が、綺麗なストレートの髪を振り乱し、大きな声で喚いている。やめてほしい。集合住宅でその音量はまずい。近隣住民からのクレーム対応は俺なんだぞ。


「わかった。わかったから、喚くのをやめてくれないか。冷静に話し合おう」


 目の前の女の子の名前がわからないので、改めてパッケージを見返す。目の前の女の子そっくりの金髪女子高生が卑猥な格好で、煽情的なセリフを吐いている。


「なに見てんだよ!」


 彼女は俺の手元からパッケージを乱暴に奪い去った。頬を真っ赤に染めながら。


「君だよ」

「わかってるよ! そうじゃなくて、なんで見てんだって言ってんの!」

「いや、名前がわからなくて」

「スフィアだよ! 聞きゃあいいだろ!」


 やはりやかましい。


「俺は始々島ししじま白瑠はくる


 こんな自己紹介など、本当はどうでもいいはずなのだ。なにせ俺はいまギンギンである。先ほど冷静に話し合おうとか言っておきながらもうずっとギンギンなのだ。ギンギンの前に女子高生が居る。もうあとはすることをするだけなのに、このオナホ——スフィアと来たら、くそ、なんなんだよまったく!

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