第287話 新たな仲間?
学園長専属秘書であるシャニアさんからの情報により、俺たちは学園内を警戒して回ることにした。
とはいえ、学園祭も近い。
今回は生徒会としてさまざまな面からこの行事を仕切っていかなくてはならないため、忙しさは去年の比ではなかった。
ちなみに、武闘大会については今年も参加予定ではある。
昨年はジャーヴィスと戦ったわけだけど……今回は一体誰と当たるのかな。アンドレイ辺りは未だに本気での手合わせをした経験がないから、個人的には期待している。
一方、それ以外についても、去年のファッションショーのようなイベントについては生徒会の許可を得なければならないため、その申請に関する書類が会長である俺の机の上に山積みされていた。
「こ、こんなに……」
場所だったり、予算だったり、俺たち生徒会が目を通さなければならない情報はまさに山のようにあるのだ。
これを姉さんは全部こなしていたんだよなぁ……本当に凄いよ。
――そう思っていたのだが、
「バレット、私たちも手伝います!」
「この量をひとりでこなすのは大変だろう? 僕たちも力を貸すよ」
「まっ、これでも生徒会の一員ですからね」
ティーテ、ジャーヴィス、クライネの三人も手を貸してくれた。
しばらくすると、学園内の巡回を終えたラウル、ユーリカ、アンドレイ、マデリーンの四人も合流し、彼らも書類整理を手伝ってくれた。
このような激務が続き、俺たち生徒会メンバーの帰りはいつも夜遅くなってから。寮の消灯時間ギリギリだった。
普段ならばこんな遅くまで残るのはご法度なんだけど、さすがにこの時期は学園側からも了承が出ている。
とはいえ、生徒会のメンバーであるジャーヴィスとマデリーンが誘拐されたという事件が起きているため、シャニアさんから強力な助っ人が学園側から手配されることになっていた。なんでも、特例でこの学園に入学させ、生徒会に送り込むという。
「そういえば、シャニアさんの言っていた助っ人さんが来るのは明日でしたね」
いつもより暗い帰り道を歩く俺とティーテ。
一応、会長と副会長という立場なので、最後の施錠は俺たちに任されていた。職員室へ鍵を返したあと、安全を考慮してみんな一緒に寮へと戻っている最中ではあるものの、俺とティーテは並んで話し込んでいた。
「そうだったな。……なんでも、年齢的には俺たちと変わらないらしいが、戦場で両親を失ってしまい、ひとりでいたところを騎士団長に保護され、その後は騎士になるための英才教育を受けていたらしい」
「どうして学園に入学しなかったのでしょうか」
「する必要がないってシャニアさんは言っていたよ。すでにその戦闘力は騎士団の戦力として数えられるって」
「す、凄いんですね……」
感心するティーテだが……俺やラウルだって、すぐにでも戦えるだけの力はあると思うんだけどな。まあ、まだ現役の学生だから卒業まで待つってことだろう。
「騎士団長自らが鍛えあげた子……気になるね」
「ジャーヴィスもか? 俺もそいつのことが気になってたんだよ! 一体どんなヤツなんだろうな!」
「アンドレイ先輩の顔を見て怖がらないといいのだけど」
「どういう意味だ、マデリーン!?」
みんなも気になっているみたいだな。
俺たちはその騎士団長の秘蔵っ子とともに、学園内の様子を調査しつつ、学園祭に向けて準備を進めていく。
……なんか、青春してるって感じがしていいな!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます