第281話 バレットVSゴーレム

 ゴーレムとマーデン。

 両者を同時に攻撃しなければ、この状況は打開できない。

 倒れたアビゲイル学園長とアンドレイを守るように、俺がゴーレムへと挑み、ジャーヴィスとマデリーンのふたりがマーデンへと挑む。


「来いよ、泥人形。俺がおまえの相手だ」


 ゴーレムに話が通じるかはさておいて、とりあえず相手の標的を俺に絞らせることには成功したようだ。

 俺は魔力を水属性へと変換し、再びゴーレムへと挑む。

 さっきは腕を斬り落としただけだが、今度は目的が違う――ヤツの心臓とも呼べるコアを破壊するため、その泥で出来た体を魔力で生みだした水で覆った聖剣で切り刻む。


「っ!?」


 こちらの攻撃を予測しきれなかったゴーレムはダメージの大きさから跪く。その機を逃すまいと、俺はさらに追撃。苦手としている水魔法による攻撃をさらに重ねていった。


 すると、ゴーレムの体に異変が起きる。

 徐々に砂のボディは脆くなり、ただでさえ鈍かった動きがさらに悪くなっていった。


 今ならやれる。

 そう判断した俺は、魔力を集中させ、これまでよりもさらに強力な一撃をお見舞いした。


「オオオオォォォ……」


 まるで悲鳴のように、ゴーレムからそのような音か声が漏れる。


 そして、ついに――


「見えた!」


 崩れたゴーレムのボディ。

 その中に、ヤツを動かしているコアが確認できた。あれさえ破壊することができれば、こいつはただの砂と化す。そうなれば、この戦いに決着がつく。


 だが、ゴーレムも必死に抵抗してくる。

 あれを破壊されたら終わりだと認識しているのだろう。

 必死に腕を振って俺を近づけさせないようにしているが、そうやって体を動かせば、さらに脆くなって崩れやすくなる。実際、払いのけている両手はすぐに崩れ落ちて何も抵抗できなくなった。


「終わりだ!」


 この絶好機をものにするため、俺は抵抗する術を失ったゴーレムのコアを目がけて聖剣を向ける。

 そして、なんとかこれを破壊することに成功したのだ。

 直後、ゴーレムの体は砂と化していき、サラサラと流されていく。


「よし」


 コアが破壊され、供給していた魔力が遮断されたことを確認すると、俺はジャーヴィスたちの援護に回ろうとした――が、


「どうやら、そちらも決着がついたようだな」

「ちょっと時間がかかりましたね」


 なんと、ジャーヴィスとマデリーンはすでに魔術師マーデンを拘束魔法で身動きが取れない状態にしていた。

 そのマーデンは気絶しているみたいだが……よく見ると、左頬にさっきまでなかった痣がある。たぶん、マデリーンあたりにぶん殴られたのかな。


 ともかく、これで戦闘は終了。

 なんとか悪党たちを全員捕えることができた――が、まだ解決しきっていない問題はいくつかある。


 この後は……そっちの解決に向けて動きださないとな。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る