第271話 地下の秘密

 学園の地下に眠る謎の存在。

 そして、黒幕の可能性が出てきたレクルスト家とハルマン家の残党。


 さまざまな可能性が浮上する中、とうとう俺たちは学園の地下へと足を踏み入れることになった。


「さあ、こっちよ」


 アビゲイル学園長の案内で、俺たちは目的地へ向かって進んでいた。

 やってきたのは昨日、俺たちが入り込んでパニックとなった書庫――が、アビゲイル学園長はそこを通り越し、さらに奥へ進んでいく。

やがて、重厚な扉が姿を現した。


「ここから先が、地下へ続く道になっているわ」

 

 そう言って、学園長は扉にそっと手を触れた。

 すると、突然扉が開きだし、しばらくするとひとりでに開き始めた。


「個人を識別できるんですね、この扉」

「まあね。もちろん、これだけでなく、侵入を防ぐ策は幾重にも張られているよ」


 聞くところによれば、学園どころか国家においても重要な機関だからな。そんな重大機密の真上に学園を構えるなんて……まあ、周囲の目を欺くって意味もあるんだろうけど。


 ともかく、俺たちは開け放たれた扉の先へ進む。

 その第一印象は、


「す、凄い……」


 さすがは最新鋭の魔法兵器やアイテムを研究している施設だけはある。表立って見える学園の研究棟も凄い施設だったが、ここはレベルが違う。それほど本気で取り組んでいるってことなんだろうな。


 その地下施設を歩いていると、ある違和感を覚えた。

 なんというか……変にむず痒いというか……

 俺がその妙な感じに首を傾げていると、


「ここって……魔力がうまく操作できないんですね」


 学園長へそう話しかけたのはティーテだった。

 それで、俺はハッと気がつき、聖剣の柄を握る。昨日、マデリーンを捜す際には、この聖剣の力が頼りだった。魔力を追って、その足取りを掴むつもりだったが――


「あれ? 何も感じない……?」


 ここではマデリーンやジャーヴィスどころか、誰も魔力も感知することができなかったのだ。

 

「地下では魔力を遮断するよう結界が張ってあるんだ。万が一、侵入者が紛れ込んだとしてもよからぬ行動を起こさないようにね」


 なるほど。

 そういう仕組みになっているのか。

 ――だが、そうなるとジャーヴィスとマデリーンを捜索するのは骨が折れそうだ。

 とはいえ、あの学園長のことだ。

 何か策はあるのだろう。


「学園長、マデリーンやジャーヴィスの居場所については――」

「それはきっと……ここだろうね」

「えっ?」


 アビゲイル学園長は急に足を止めてひとつの扉を指さす。

 その部屋に何があるのか――俺たちは背筋を伸ばし、緊張した面持ちで扉が開くのを待つ。

 先ほどと同じ手順で、学園長が扉を開ける。

 すると、思わぬ光景が俺たちの前に現れた。


「こ、これは……!?」


 そこは――洞窟の中だった。

 いや、この場合はダンジョンと言った方がいいのか。

 ともかく、さっきまでいた施設とは違い、むき出しの岩壁や地面といった景色が広がっていたのだ。


「もしかして……これが例の……」


 学園長たちが守り続けていたアレなのか?


「まあ、正確にもっと先にあるんだけど……ともかく、黒幕の連中はこのダンジョン内にジャーヴィスやマデリーンを連れ込んでいるに違いない」


 それが、学園長の読みだった。





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