第258話 学園再開
「やあ、久しぶり!」
「お休みはどうだった?」
「元気だったか?」
「学園祭が楽しみだな!」
長いようで短かった夏休みが終わった。
学園にはいつも通りの賑わいが戻り、学生たちがそれぞれの教室に向かって歩きながら、休みの間に起きた出来事を話し合っている。
「休みもいいけど、やっぱり学園がないと張り合いが出てこないよな」
「ふふふ、バレットらしいですね」
本日は学園再開初日ということで、俺たち生徒会の面々は他の学生よりも一足先早く登校していた。
ここまであがっている報告によると、みんな夏休み中に大きなトラブルにも遭っていないようで、欠席者はゼロだという。
「目立った問題がないなら、安心して学園祭への準備ができるな」
ティーテやジャーヴィスをはじめとする生徒会のメンバーも、今年はランドルフ学園の学生たちを招くということで気合が入っていた。
さて、早速今日の授業後から打ち合わせをしていくか。
――と、いうわけで、昼間の授業が終わると、俺たちは学園祭に関する会議を行うため生徒会室へと集まった。
しかし、
「あれ? マデリーンは?」
全員集まったと思いきや、マデリーンの姿はなかった。
「二年生って、まだ授業やっているのか?」
「もうとっくに終わったはずだけど……」
ラウルが言うには、二年生たちはすでに授業を終えてそれぞれ授業後の活動に勤しんでいるという。
「マデリーンは空気の軽い感じの子だけど、無断で会議を欠席するようなタイプじゃないわ」
クライネの言う通りだ。
おちゃらけているように見えて、根は真面目だからな、マデリーンは。だとしたら、教師に何か頼まれたとか?
「仕方ない。マデリーン以外は全員集まっているし、先に会議を――」
――始めていこうと思ったのだが、突然、生徒会室のドアを勢いよく「ドンドン」とノックする音が響き渡る。その強さからも何か非常事態が起きていると感じた。
「あの! 生徒会のみなさんはいますか!」
ノックをしながら叫ぶのは、どうやら女子学生のようだが……かなり慌てた様子。これで非常事態が起きたことが確定したな。
俺はすぐにドアを開けて女子学生を生徒会室へと招き入れる。
名前はドロシーと言い、マデリーンと同じクラスの友人だという。
そのドロシーの話によると、
「マデリーンが……いなくなっちゃったんです!」
「マデリーンが?」
「「「「「いなくなった?」」」」」
その言葉に、俺たちは顔を見合わせる。
……でも、待てよ。
いなくなったとはいえ、まだ授業が終わってから一時間も経っていないぞ。それだけでいなくなったというのはおかしくないか?
それとも……何か、マデリーンがいなくなったという確証でもあるのか?
俺はその点について詳しく聞いてみることにした。
「あ、あの、いなくなったって……どういうこと?」
「マデリーンは――地下図書館へ入ってしまったみたいなんです」
「「「「「地下図書館!?」」」」」
あれ?
俺以外の全員がめちゃくちゃ動揺しているぞ?
なんだ、地下図書館って……そんなの原作にはなかったぞ。
――新学期早々、厄介な案件になりそうだ。
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