第233話 二度目のダンジョン探索
ランドルフ学園で行われる実戦形式の授業。
それはまさかのダンジョン探索であった。
とはいえ、いわゆる冒険者たちが普段から潜っているようなダンジョンに比べると、危険レベルは大幅に下がり、また規模も小さい。あくまでも訓練の一環として扱われているダンジョンらしい。
そのため、アンドレイ、クライネ、マデリーンあたりはこれが人生初ダンジョンとのことだが、あまり緊張の色は見られなかった。
「ダンジョンかぁ……ちょっと憧れはあったのよね」
「油断は大敵よ、マデリーン」
「分かってますって、クライネ先輩」
「まあ、どんなモンスターが来てもぶちのめすだけだがな!」
三人とも気合十分だな。
一方、以前うちの別荘周りにあったダンジョンに潜った経験のあるメンツは非常に落ち着いていた。
「やれやれ……まさかまたダンジョンへ潜ることになるとはね」
「私はちょっと楽しみですけど」
ジャーヴィスとティーテは一度入った経験があるためか、余裕がうかがえる。
一方、ラウルは恋人でもあるユーリカに何やらレクチャーをしていた。
その後、準備が整ったらいよいよダンジョン探索へと乗りだす。
「それでは、まいりましょうか」
俺のいるAチームは、人数合わせのため、ランドルフ学園生徒会長のアンネッテが特別参加をしている。
「ありがとう、アンネッテ。付き合ってくれて」
「いえいえ。私としても、みなさんのお手並みを近くでじっくりと拝見できるので楽しみですよ」
「任せてください! アンドレイ先輩の受け売りじゃないですけど、邪魔するモンスターは全部蹴散らしますよ!」
フン、と鼻を鳴らすマデリーン。
そういえば最近、体術向上のためにアンドレイへ弟子入りしたと聞くが……師匠の性格部分まで色濃く受け継いでいる気がする。
――それにしても、アンネッテのあの余裕……さすがはアストル学園に匹敵する大学園の生徒会長だな。しかし、俺たちだって負けちゃいない。腕が鳴るってものだ。
「では、Aチームからダンジョンへ」
今回の短期留学に同行してくれているテシェイラの合図で、俺たちはダンジョンへと足を踏み入れた。
ダンジョン内部を見て回るが、特に目新しい発見はない。
以前潜ったダンジョンと場所が違うだけで中は同じって感じだ。
とはいえ、出現するモンスターの種類や強さは異なるだろうから油断させずに進んでいかなくては。
モンスターの存在を警戒したが――これも杞憂に終わる。
学生が鍛錬の一環として潜る場所というだけあり、前評判通り、あまり強くはなかった。正直にいえば、物足りなさを感じてしまうほどだ。
「お見事ですね、ふたりとも」
「いやいや、こんなのまだ序の口ですよ!」
マデリーンは気をよくしているようだが……俺は逆にだんだんと嫌な予感がしてきた。
何かある。
漠然とした不安が迫っているように感じた。
――直後、
「うん?」
一瞬、横揺れを感じた。
なんだろうと思った次の瞬間――その事件は起きた。
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