第225話 対抗手段
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「言霊使いの英雄譚 ~コミュ力向上のためにマスターした言語スキルが想像以上に有能すぎる~」
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現在40話ほどで更新が止まっておりますが、カクヨムコン参加のため1月から投稿を再開する予定です。
「ざまぁ」、「追放」からの逆転劇がお好きな方はぜひ!
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いよいよ大詰めを迎えたティーテVSクライネの対決。
攻撃魔法でガンガン攻めるクライネに対し、ティーテは得意の防御魔法でそれをかわしていく。残り時間が一分を切っても互いに譲らない攻防が続き、誰もがこのまま決着つかずで終わるのではないかと予想し始めていた。
クライネもそれに気づいており、時間が経つにつれて勢いよりも慎重さが目立つようになっていった。これもまた、周囲が引き分けになると判断する大きな要因となっている。
――ただ、俺の見解は違う。
この勝負は確実に勝敗がつく。
ティーテがこのままで終わるはずがない。
そして、残り時間が三十秒を切った時、
「はあっ!」
最後の一撃とばかりに、クライネは炎魔法を放つ。
当然、ティーテは防御魔法でこれを弾く――そう思っていたのだが、
「む?」
「あれ?」
「あっ!」
試合の経過を見守っていた俺もジャーヴィスもユーリカも、その異変を感じ取って思わず声が漏れ出てしまった。
クライネの放った炎魔法――だが、ティーテはこれを回避しようという素振りを見せない。魔力を全身にまとっているが、防御魔法を発動させていないのだ。
「ど、どうして防御魔法を発動させないんでしょうか……」
「分からない。バレット、何か秘策があるのかい?」
「いや、俺も聞いていないよ」
まさか、魔力切れ?
……それはない。
全身に魔力をまとっているわけだし……となると、他に何か狙いがあるのか?
そう考えている間に、クライネの放った炎はティーテとの距離を詰めていく。もうちょっとで直撃だ――と、次の瞬間、
「えいっ!」
短い掛け声と同時に、ティーテは両手を前に突き出す。
すると、その手を中心に円形をした半透明のシールドが浮かび上がった。防御魔法の類なのか?
しかし、その魔法には意外な効果が隠されていた。
炎魔法がシールドに着弾すると、ティーテは両手を空へと掲げる――すると、クライネの放った炎が、まるでティーテの誘導に従うがごとく上昇を始めたのだ。
「なっ!?」
あまりの事態に声を失うクライネ。
俺たちも同様に、開いた口がふさがらない。
そこで、試合終了を告げる鐘の音が鳴り響いた。
ティーテは――クライネの炎魔法を奪ったのだ。
言ってみれば、カウンター魔法ってヤツか。
……でも、あんな魔法が使えるなんて知らなかったよ。
戻ってきたティーテにそのことを尋ねると、
「実は、マスターできたのはつい最近で……バレットを驚かせるために、試験の日まで黙っていたんです」
なるほど。
サプライズってわけか。
まんまとその作戦にハマってしまったな。
「本当に驚いたよ。凄いな、ティーテは」
「そ、そんなこと……少しでもバレットの力になれればと思って……」
健気!
だから好き!
その後、ジャーヴィスやユーリカ、さらにはコルネルにメリアたちに囲まれ、賞賛の言葉を贈られると、ティーテは恐縮しっぱなしだった。
……だが、発覚した真実はもうひとつある。
ティーテは――明らかに原作よりも強くなっている。
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