第206話 二度目の神授の儀
入学式翌日。
この日から通常授業が始まるため、いつものように準備をしてティーテとともに教室へ。
ちなみに、クラスは属性別に分けられるため、ティーテと離れ離れになることはないから安心だ。
「今日から新学期ですね」
「ああ。でも、今年は生徒会と学園騎士団って役割がふたつも増えたからな。これまで以上に身が引き締まる思いだよ」
入学式では新入生を前になんとか挨拶をやり終えた。
元から緊張するタイプの人間じゃないが……さすがにあれはちょっと緊張したな。人前で話すことは苦手じゃなかったが、あの空気はなかなか慣れそうにないな。
とはいえ、生徒会長や学園騎士団長として公の場で発言する機会は多いだろう。今後もしっかり対応していかないと。
ティーテと何気ない会話をしながら教室へ行くと、いつもの面々がお出迎え。
「おはようございます、バレット様! ティーテ様」
「あら、おはよう、ふたりとも」
まずはラウルとクライネが。
それからコルネルにメリアなど、クラスメイトたちと楽しい会話を繰り広げる。そのうちに予鈴が鳴り、ウォルター先生がやってきた。
「おはよう、諸君! さすがに三年目となると新鮮味に欠けるが、最後の一年も気合を入れて過ごしていこう!」
そういえば、三年間変わらないのはウォルター先生も変わらないか――あえて変わった点を挙げるとするなら、ウォルター先生とテシェイラ先生が交際をしているという点か。
「さて、今日は二年生が神授の儀をやっている関係で三年生であるおまえたちは暇だ!」
直球だなぁ。
……って、神樹の儀か。
「ふふふ、懐かしいですね」
「そうだなぁ……」
隣に座るティーテがこっそりそんなことを言う。
思えば、あれがすべてのはじまりだったな。
原作を愛読していた俺としては、聖剣を授けられることを知っていたから驚きはなかったけど、他の学生からすれば一生を左右する大事な儀式なんだよな。実際、原作のラウルはそれでだいぶ苦労したし。
ラウルの名前が出たから思い出したけど、二年生といえばマデリーンも神授の儀を受けているのか。
そういえば、原作の方では特に言及されていなかったな。
今日は授業後に生徒会の集まりがあるし、その時にマデリーンが授けられたアイテムについて尋ねてみよう。
本日は神授の儀があるため、授業自体は午前中で終了。
午後からは学生たちがそれぞれ自由に過ごすことになっている。
俺とティーテは学生食堂で昼食を済ませると、まずは緑化委員に顔を出した。
前委員長であるハンス先輩が卒業したため、今年からはメリアが新委員長に就任することとなった。
「頑張ってね、メリア」
「ありがとう、ティーテ」
本来なら、ティーテが委員長になってもいいのだろうが、さすがに生徒会と学生騎士団に所属していたら緑化委員会の仕事はできないだろう。
ただ、花壇の手入れなどが大好きなティーテのために、メリアはいつでも顔を出してくれていいと言ってくれた。俺としても、特にこれといって活動がない時は、緑化委員に顔を出しても大丈夫だと告げる。
「ありがとうございます、バレット!」
まさに花が咲いたような笑顔を見せるティーテ。
生きがいだもんなぁ。
それができなくなるのは辛いだろうし、その辺はみんなでフォローしていこう。
緑化委員での挨拶を終えると、次は生徒会室へ。
その途中でマデリーンと偶然出会った――のだが、
「あっ……どうもです、先輩……」
今にも死にそうな顔をしていた。
これ……去年のラウル以上じゃない?
一体何を引き当てたんだよ……。
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