第191話 決行
【お知らせ】
新作を投稿しました!
「ダンジョン・ファーム ~家を追い出されたので、ダンジョンに農場をつくって暮らそうと思います~」
https://kakuyomu.jp/works/16816452219389978278
今回は過去作のリメイクではなく完全新作となっております!
スローライフものなので、お好きな方はぜひ!
そうでない方も、ハーレムや成り上がり好きの方はぜひ!
どれも好きじゃないという方もぜひ一度ご覧あれ!
※おかげさまで日間異世界ファンタジーランキング7位となりました!
まだお読みでない方はぜひ!
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俺とラウルとユーリカの三人は、屋敷内への侵入に成功。
だが、見張りがいなくなったという異常事態に他の兵士が気づけば、たちまち大騒動になるだろう。
ここからはより迅速かつ慎重な判断が求められる。
俺は魔力を錬成し、この屋敷全体を対象にした探知魔法を発動させる。
それによると――
「この廊下を真っすぐ進んだ先にある大広間に人質が集められているようだ。周辺にトラップが仕掛けられていることもないようだし……イケるぞ」
あと、人質を一ヵ所に集めてくれているのもこちらとしては都合がよかった。
「分かりました」
「バレット様」
「どうした、ラウル」
「大広間へ突入して人質を救出するのは僕とユーリカでやります。バレット様は、テラスにいるティーテ様の方を」
ラウルは二手に分かれる作戦を提案した。
「そうだな」
「では、大広間にいる兵士たちを全員片づけてきます」
「頼む」
大広間で騒ぎが起これば、他の兵士たちの注意はそちらに向かう。
あのふたり――特に、ラウルの持つ魔剣の力があれば、制圧は一分とかからないだろう。見たところ、俺たちを襲撃させたことへ人員を割いたためか、この屋敷内の戦力はかなり乏しい状況と言えた。ヤツらが人質を一ヵ所に集めているのは、見張りに当てる兵士の数が足りなかったからだろう。
しかし、だからこそ後手に回るわけにはいかない。
相手には人質という切り札がある。
その切り札を発動させるよりも先にこちらが相手をねじ伏せなくては。
ラウルとユーリカのふたりと別れた俺は、ティーテのいるテラスを目指す。
二階へ上がると、そのテラスが目に入ったが――ちょうどその前にふたりの兵士が見回りを行っていた。
まずい。
ヤツらの行く先にはテラスへと続く扉がある。
テラスの方へ向かったら……ティーテが危ない!
俺は聖剣に魔力を込める。
使うのは人体強化魔法の中でも、スピードに特化した《神速》と呼ばれるものだ。
「……いくぞ」
小さく覚悟を口にして、俺は最大スピードで兵士ふたりに背後から襲いかかる。
「「!?」」
なんの前触れもなく襲われた兵士ふたりは、声をあげる間もなくその場に倒れ込む。もちろん、殺してはいない。気絶してもらっているだけだ。
すぐさま拘束魔法で兵士たちの動きを封じ、俺はテラスへと急いだ。
「ティーテ、無事か?」
「!? バレット!?」
俺を視界に捉えたティーテは、泣き腫らした顔を笑顔に変えて駆け寄ってくる。
「ケガはないか?」
「はい……大丈夫です……絶対に助けに来てくれると信じていました……」
「当り前じゃないか」
仮に、クラウスさんに止められていようとも、誰も協力してくれなくても、俺はティーテの救出に駆けつけただろう。
――もっとも、その最悪なケースは避けられ、みんなの協力のもと、万全の体制で挑めたわけだが。
「そうだ! お母様とお父様が!」
「その点については大丈夫だよ」
ティーテの銀色の髪を撫でながら、俺は安心させるように囁いた。
すると、一階から、
「ぎゃあああああああ!!」
「ぐおおおおおおおお!!」
「ひいいいいいいいい!!」
男たちの叫び声が聞こえてくる。
どうやら、ラウルが派手に暴れたようだな。
外で見張りをしている兵士たちも、叫び声を聞いて集まってきたが、屋敷に入る前にアンドレイたちと交戦し、ことごとく蹴散らされていった。
「とりあえず、ひと安心かな」
万事うまくいったようで何より。
俺はティーテの肩を抱きながら、一階にいるラウルたちと合流するため大広間へと向かって歩きだした。
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