第168話 告白はパーティーで
冬休みにエーレンヴェルク家で行われるパーティー。
今回はティーテと俺の共通の友人を集めて行われるもので、格式ばった肩のこるものではなく、ただ純粋に楽しもうという目的で行われる。
原作の【最弱聖剣士の成り上がり】では言及されていなかったが、どうあらこの世界にも「年越し」という概念があるらしい。今回のパーティーを終えた後は、それぞれが実家に戻って家族と過ごすのが決まりとのこと。
ちなみに、俺たちは、
「パーティーが終わったら……」
「ああ。一緒に過ごそう」
「はい♪」
ということで決まった。
つまり――うん。そういうことだ。
◇◇◇
ティーテの家でのパーティー。
それはとても楽しみなのだが……その前に、俺たち学生には乗り越えなければならない壁がある――学期末テストだ。
「いよいよテストだな」
「そうですね。緊張してきました……」
困ったように笑うティーテ。
その表情も反則級に可愛い。
ちなみに、テストは明日から二日間に分けて行われる。
それが終わり次第、エーレンヴェルク家に集まってパーティーを行うわけだが……ジャーヴィスがこのパーティーが終わるとアンドレイの実家に向かい、そこで養子縁組に対する回答を出すのだという。
つまり、アンドレイにとってはこのパーティーが最後のチャンスというわけだ。
「いきなり大ピンチになったな……」
「? 苦手な科目でもありましたか?」
「ああ……いや、そうじゃなくて、ほら、昨日言ったアンドレイの」
「! そ、そっちでしたか」
ティーテにはアンドレイのジャーヴィスに対する気持ちについて、昨晩伝えておいた。
ジャーヴィスが女子であることを隠す時も、ティーテは協力をしてくれたが、それはとても助かった。今回も、アンドレイとジャーヴィスの仲を取り持つため、力を貸してくれると言ってくれた。
……とはいえ、今回は以前のようにはいかないだろう。
何せ、相手がいることだし、さらに時間もない。
具体的な策も思い浮かばないし……って、それよりも今はテストに集中だ。これでペースを乱されて、補習なんてことになったらパーティーどころじゃないぞ。
「気持ちを切り替えていかないとな」
頭を振って、テスト以外の事柄を一旦放出。
ちなみに、ジャーヴィスをはじめ、パーティーへの出席が確定しているラウル、ユーリカ、コルネル、クライネ――この辺りは問題なく補習を免れるだろう。
「……あれ?」
そこで、ふと疑問に思う。
アンドレイは大丈夫だろうか。
一応、彼にはこの後で、ジャーヴィスへの告白の舞台はエーレンヴェルク家のパーティーで行うと伝えるはずだが……その彼が補習で出席できないなんてことになったらシャレにならないぞ。
ま、まあ、勉強は苦手そうなタイプだけど、名門と名高いフォンターナ家の嫡男だ。
その辺は問題ないだろう。
「あっ、アンドレイさんです」
そんなことを考えていると、ティーテがアンドレイを発見。
俺もその声に反応して視線を移すと、
「…………」
この世の終わりみたいな顔をしたアンドレイが視界に飛び込んできた。
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