第165話 暴走する想い
【お知らせ】
いよいよ本日!
書籍第1巻が発売となります!
そしてコミカライズは5月25日から「がうがうモンスター」様にて連載開始!
どちらもよろしくお願いいたします!
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次の日。
俺はジャーヴィスに養子縁組の話が来ていることをアンドレイにこっそり伝えるため、昼休みを利用して彼を屋上庭園へと呼びだした。
本来ならばティーテの楽しいランチタイムだったのだが……今回はこちらを優先させてもらった。
ちなみに、コルネルやクライネが俺の代わりを務めてくれる。
女子トークが盛り上がると、コルネルは大喜びだったな。
――で、例の養子縁組の件をアンドレイに伝えたら、
「えええええええええええええええええええええええ!?!?!?!?」
死ぬほど驚いていた。
「ど、どどど、どういうことなんだ!?」
「君とジャーヴィスが兄妹になるってことだよ」
「それは分かる! し、しかし……」
アンドレイは言葉に詰まり、沈黙。
先ほどまでの勢いは完全に失われてしまい、まるで萎れた花のようだ。
……ただ、その気持ちは分かる。
好きだった相手が兄妹になるわけだからな。
俺が彼の立場なら……きっと深い悩みのスパイラルに陥ってしばらくは――いや、下手したら生涯立ち直れないぞ。
「ジャーヴィスが俺の妹に……つまり俺はジャーヴィスに『お兄ちゃん』と呼ばれることになるのか……ぐっ!」
苦悩しているように見えて、一瞬嬉しそうに見えたのは気のせいか?
「バ、バレット、俺はどうすればいいんだ?」
「アンドレイ……」
俺は口をつぐむことしかできない。
明確な解決策が思い浮かばなかったからだ。
「こ、こうなれば……ジャーヴィスにプロポーズをする!」
「えっ!?」
「夫婦関係を結べば、養子縁組の話も自然消滅! ジャーヴィスもうちの名を得られるし万事解決だ!」
「…………」
それは悪手だと思う。
こんなこと、言いたくはないが……敗色濃厚だ。
アンドレイに対して、好きとか嫌いとか、そういう感情を抱く以前の問題なのだ。今のジャーヴィスが抱くアンドレイへの感情は――家族。恋愛感情はないように思える。
――だが、それはほんのちょっとの出来事で大きく変化する可能性も秘めていた。
プロポーズはさすがにやりすぎだが、もう少し穏便に距離を詰めていく方法を模索していけば……アンドレイの想いはジャーヴィスに届くはずだ。
だが、期限がある。
一週間後に、ジャーヴィスがフォンターナ家に返事をする前に話を進めなくてはならないのだ。
「アンドレイ、一旦落ち着こう」
「お、おう……まだ指輪も用意していないもんな。ご両親に挨拶もしなくちゃいけないし――って、ああっ! おふたりとも牢獄の中だった! あ、そ、それと、ジャーヴィスの指のサイズをなんとかして知らないと!」
「とりあえずプロポーズから離れよう、な?」
だいぶ先走っているな。
アンドレイをなだめつつ、なんとか打開策を考えないと――
「あら? こんなところで何をやっているんですか、先輩方」
打開策を思い悩んでいる俺の前に、ひとりの女子学生がやってくる。
その子はアンドレイと共に新しく学園騎士団へ入った、一年下の後輩にして原作におけるハーレム要員のひとり――マデリーン・ハルマンだった。
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