第128話 学園長の思惑
【お知らせ】
新作をはじめました!
異世界転生×スローライフ×いちゃいちゃ!
そして「ざまぁ」も……?
《無属性魔法って地味ですか? ~有能なのに「派手さがない」という理由で見捨てられた少年は辺境の領地で自由に暮らす~》
https://kakuyomu.jp/works/1177354055418261318
是非、読んでみてください!
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翌朝。
いよいよ学園祭当日を迎えた。
今日は特別な日――だが、俺の一日のルーティーンは変わらない。
「ふん! ふん!」
聖剣をコントロールするための修業。
これだけは欠かせない。
いつものように魔力を制御しながら、剣を振るう。
その最中、俺は昨夜の出来事を思い出していた。
――昨夜、行方不明になっているマデリーンを捜し、時計塔を訪れた俺は、アビゲイル学園長は俺にある提案をした。
「協力……?」
「えぇ。そうよ」
満月をバックに、アビゲイル学園長は不敵に笑った。
「……なら、その前にひとつ教えてください」
「何かしら?」
「なぜ、学園長はここに?」
俺は原作の情報からここにたどり着いた。
しかし、学園長はどうしてこの場所にやって来たのか――それが気になった。
「偶然よ♪」
学園長はあっけらかんとそう答える。
……が、当然そんな答えで納得するわけがない。
「偶然って……そんなわけ……」
「もちろん、冗談よ♪ ――本当は、この魔力を辿って来たのよ」
そう言って、学園長は時計塔内の壁を優しく指でなぞった。
「夏の休暇が終わってから……学園の中を動き回っている者が増えた」
「動き回っている者?」
「春先にあった、ラウル・ローレンツの暴走事件は――知っていて当然よね。あなたも当事者もひとりだもの」
「え、えぇ……」
ってことは、やはりマデリーンの行方不明とラウルやユーリカの暴走事件は、底の部分でつながっているのか。
「ラウルの事件の黒幕が……マデリーンの件にも絡んでいるんですね」
「そうよ。あの時からずっと探っているんだけど……未だに尻尾を見せてこないのよ」
学園長でもその正体を掴めないなんて……余程の実力者なんだろうな。
そいつが裏で糸を引いている。
なぜ?
その目的は?
何もかもが不透明だ。
――もしかしたら、そいつが原作【最弱聖剣士の成り上がり】におけるラスボスなのか……?
「…………」
「あらあら、随分と荒立っているのね」
俺がいろいろと考えを巡らせていることに、アビゲイル学園長は気づいているようだ。
……いや、そもそもこの人はどこまで「気づいて」いるんだ?
思えば、ここに俺がいることにまったく驚いていないという点もおかしい。まるで、最初から俺がここにたどり着くことを知っていたような――
「どうかしたのかしら?」
首を傾げる学園長。
――ただ、俺は学園長を敵視しているわけじゃない。
確かに、この人は何かと怪しい点はある。
それでも、行動のすべてに悪意を感じないのだ。
今、この場にいるのも、マデリーンやラウル件の黒幕を捜索していた――そう思う。
「そろそろ話を戻していいかしら?」
「あ、は、はい。協力の件ですね」
「そうよ。――と、深夜に長話するのも考え物ね。お互い、明日は朝から忙しいでしょうし」
そうだった。
俺は午前中、ティーテのドレス品評会をこの目でしかと焼きつけなくてはならない。その場にいて、睡魔に襲われるなんてあり得ないからな。
「ティーテ・エーレンヴェルクのドレス品評会が始まる前には話を終えておきたいわ。あなたもその方がいいでしょう?」
「……ですね」
「じゃあ、朝食を終えたら学園長に顔を出してね♪」
「はい……」
――以上が、昨夜の俺と学園長のやりとりだ。
さて……何が待ち構えているのか。
学園祭は、一瞬も気の休まる時はなさそうだな。
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