第106話 レイナの女子力

【お知らせ】

カクヨムコン6への参加作品として、新作を投稿しました!


「絶対無敵の解錠士アンロッカー ~ダンジョンに捨てられたFランクパーティーの少年はスキルの真価を知るSランクパーティーにスカウトされる~」


https://kakuyomu.jp/works/1177354055151436608


《ざまぁ》+《主人公最強》な作品です!


よろしくお願いいたします!<(_ _)>


※おかげさまで異世界ファンタジー日間ランキング第7位!

 お読みいただきありがとうございます!



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 あの真面目で堅物なレイナ姉さんの口から放たれた、「ダブルデート」という言葉。

 真相はこうだ。


「じ、実は……アベルさんが近々この辺りの警備任務に就くことが決まったそうだ」


 いつもの談話室で、姉さんから事情を聴きだす。


 確かずっと遠征続きで、たまにしか戻って来られないって聞いたが……騎士団側が配慮してくれたのか? 学園祭も近いし。


「その警備任務というのが、思いのほか安全で自由の利く場所らしく……その……あそびに来ないかと手紙が……」

「いいじゃないですか!」


 真っ先に食らいついたのはティーテだった。


「すぐに行きましょう、レイナさん!」

「す、すぐにって……」

「明後日お休みですよね? 生徒会の予定も特になかったですよね?」

「そ、それはそうだが……い、いや、しかし……」

「決定です!」

「……はい」


 凄い!

 ティーテがあの姉さんを押し切った!


 ここまで成長していたなんて……思わず涙が出そうになった。


「い、行くには行くが……む、向こうで何をしたらいいんだ?」

「やることはいっぱいあります! そうだ! 差し入れを持っていくというのはどうでしょう?」

「さ、差し入れ!? 武器や防具か?」


 姉さんの女子力が行方不明だ。

 ……まあでも、思い返してみたら、姉さんって昔からこうだったな。


「そ、そういうのじゃなくて……お菓子とかどうでしょう?」


 さすがはティーテ。

 ナイス提案。


「だ、だが、私は料理の類は……」

「マリナさんたちが優しく教えてくれますよ。私も以前、教えてもらいながらバレットに作ったことありますし」


 ああ、演習でのご褒美か。

 あのマフィンはおいしかったよなぁ。


「……分かった。作ろう! 愛するアベルさんのために!」


 お?

 どうやら姉さんも腹をくくったみたいだな。

 すると、そのタイミングを待っていたかのように、どこからともなくうちのメイド三人衆が姉さんを囲んだ。


「話は聞かせていただきました」

「マ、マリナ!?」

「我らにお任せください」

「レベッカ!?」

「おいしいお菓子を作りましょ~」

「プ、プリームまで……」


 なるほど。

 みんなも姉さんのことを心配していたんだな。


 姉さんにもマリナたちのような専属はいる。

 ――が、姉さん自身がそうだからなのか、全員女子力不足は否めなかった。

 だからと言って、能力的に劣っているわけではない。

 むしろ総合力で言ったら、マリナたちよりも優秀らしい。


 だが、主に似て全員……ね?

 いい人たちだし、とても優秀なんだけどなぁ。


 ともかく、姉さんがアベルさんとより親密になれるよう、メイドたち+未来の義妹のサポートを受けながら、人生初のお菓子作りへ挑戦することになった。



 と、


「あれ?」


 ふと視線を移せば、談話室の扉が少しだけ開いている。

 そこから、姉さん専属メイドのみなさんが覗き見ていて、目頭を押さえていた。恐らく、戦術とか体術とかなら的確なアドバイスが送れる彼女たちも、「好きな男性を喜ばせる」ということに関しては専門外なのだろう。


 まあ、何はともあれ、姉さんとティーテ&メイド三人衆によるお菓子作り教室開催はこうして決定したのであった。

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