第100話 ユーリカの覚悟
※おかげさまで100話達成!
書籍化作業も順調に進行中!
早くいろいろ発表したい……!
ついに暁の杖を手に入れたユーリカ。
伝説級のアイテムということだけあって、学園の対応も大きく変わった。
まず、これまではティーテの専属メイドという立場であったが、正式に学園の生徒として通わないかと打診が来る。
主人であるティーテはこの誘いにふたつ返事でOKを出す。
ティーテからの許可が下りたことで、ユーリカも心置きなく学園に通えるようになったのだった。
「よかったね、ユーリカ」
「はい♪」
喜び合うティーテとユーリカ。
しかし、ユーリカの方はまだ乗り越えなくてはいけない問題がひとつあった。
それは――ラウルとのこと。
暁の杖を持つ者は光属性の魔法使いとされているため、ユーリカが俺たちと同じ光属性クラスに編入していることは確定している。ということは、告白したラウルとも同じクラスとなるわけだ。
ここがまさに分岐点だ。
ユーリカがラウルの告白を受けるのかどうか……暁の杖を手に入れ、今や学園でもその未来を嘱望されるようになったユーリカならば、ラウルと十分釣り合える。
あとは本人の気持ち次第だけど……
◇◇◇
その日の夜。
談話室にて、いつものように課題に取り組む俺とティーテ。
「ここって、これでよかったっけ?」
「はい。合っていますよ」
好きな女の子と一緒に勉強……うーん。なんて素晴らしいフレーズ。
っと、この幸せに浸っている場合じゃなかった。
「なあ、ティーテ」
「なんでしょうか?」
「ラウルとユーリカのことなんだけど……」
「……やっぱり気になりますよね」
その口ぶりから察するに、どうやらティーテの方もふたりの関係について悩んでいるようだった。
「ティーテはどう考える?」
「ラウルは悪い人じゃないですし、ユーリカも嫌な気持ちは持っていないと思います。神授の儀で暁の杖を手に入れたことで自信もついたようですし、今なら……」
ふむ。
どうやらティーテも同じ気持ちだったか。
「まあ、最終的には当人たち次第だけど、できれば結ばれてほしいな」
「私もまったく同じ気持ちです」
俺とティーテの意見は一致。
……とはいえ、さっきも言ったけど、これは当人同士の問題だからなぁ……俺たちが「付き合いなさい」と言って付き合うのはなんか違うし。
「あれ?」
その時、窓の外の景色を眺めていたティーテが声をあげた。
「どうかしたか?」
「あ、あそこを見てください」
ティーテが指差した方向にいたのは――ユーリカとラウル?
「えっ!? な、なんであのふたりが!?」
「もしかして……ユーリカはラウルに告白の返事を!?」
「こうしちゃいられない!」
俺はノートをしまうと、談話室を飛び出そうとする。もちろん、
「ティーテ!」
「はい! 一緒に行きます!」
ティーテも同行する。
なんだったら、ティーテの方が速いくらいだ。
俺たちは外へ出ると、先ほどラウルたちを目撃した地点まで走る。
すると、ちょうどラウルとユーリカが向かい合って立っている場面に出くわした。
「か、隠れるぞ」
「はい」
俺は小声でティーテに告げて、近くの茂みに身を隠す。
「きょ、今日は来てくれてありがとう」
上ずった声で、ユーリカが切り出した。
果たして、その答えは――
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