第81話 パーティーのその後
パーティーは大盛況のうちに終了。
例年やっているんだけど、今年が一番盛り上がった気がする。
まあ、その理由は間違いなく俺とティーテだろうな。
学園の関係者は俺とティーテの関係の変化について知っているが、それ以外の人たちからすれば、信じられない光景だったろうな。
ともかく、関係各位には俺とティーテが良好な関係を築けているとアピールできた。去年までのやりたい放題な醜態をさらしていたら、原作通りの展開になってしまうだろうからな。
その日のパーティーはお開きとなり、俺はティーテと自室で明日の予定と今日一日を振り返っていた。
明日は庭園巡りと午後からは外出。
これは当初の予定通りだが、ひとつだけ変更点がある。
それは、午後の外出にジャーヴィスが同行するということ。
というのも、ここからそれほど遠くない場所に最近発見されたばかりのダンジョンがあるという話を聞いたので、腕試しの意味も込めてちょっと潜ってみようという話になった。
これを提案したのは他の誰でもない、俺自身。
なぜなら、あそこに行けばラウルとユーリカの関係について何かが分かるかもしれないと踏んだからだ。
その根拠は原作でのある会話を思い出したことに始まる。
【最弱聖剣士の成り上がり】における過去編では、主にラウルとティーテの距離が縮まるエピソードが書かれていた。
その中で、聖騎士クラウスさんと一緒に討伐クエストに挑戦したふたり――その場所が、この避暑地の近くにあるダンジョンだった。
さらに、この過去のエピソードについて、原作の第二話でユーリカが言及しているシーンがあった。その際のセリフが、
『ラウルは夏休みの討伐クエストの時も、ずっとティーテ様に色目を使っていた。あいつは昔から、女相手に見境がないんですよ』
といって、バレットへ告げ口する。
これについて、一緒に聞いていたジャーヴィスが「どうする?」と伺いを立て、それに対して原作版バレットは「これ以上、ヤツを置いておくわけにはいかないな」と追放を決意するのだ。
……今思えば、ユーリカがティーテを様付けで呼んでいたのは、単にティーテが聖女ってだけじゃなく、主従関係から来るものだったんだな。
それはさておき、原作の流れからすると、恐らくラウルたちも俺たちが目指すダンジョンへと向かうはず。俺たちが動けば、自然とマリナをはじめとするメイドたちもついてくるだろうし、その中には当然ユーリカも含まれるはず。
そこでユーリカとバッタリ鉢合わせて何かリアクションを見せたら、ふたりの関係について問いただす。
回りくどいやり方だが、自然に聞き出すにはこうするしかない。
ティーテの横でにこやかに話を聞いているユーリカに直接尋ねてもいいが……この和やかな空間をぶち壊すような雰囲気になりそうなので自重する。
……だけど、もし本当にラウルがダンジョンへ来ていたら、原作の勇者パーティーが勢揃いになるんだよな。
これって、実は初めてじゃないか?
そういう意味では楽しみでもあるな。
「で、でも、やっぱりちょっと派手すぎだったような……」
「そんなことはありませんよ! ティーテ様はスタイルも抜群なのですから、もっとそれを全面に押し出した格好をしてもいいと思います! ですよね、バレット様!」
「それについては大いに賛成だが……ひとつだけ注意しなければいけないことがある」
「な、なんですか、バレット……」
「そういう格好は、できれば公の場でなく、俺といる時だけにしてほしいかな」
「分かりました! 肌の露出はバレットといる時だけにします!」
高らかに宣言するティーテ。
うんうん。
実に素晴らしい。
マリナたちもニヤニヤしながら拍手しているよ。
その後、自分の言ったことの大胆さに気づいて顔を真っ赤にするまでがティーテ・エーレンヴェルクという少女の正しい愛で方である。
とりあえず、明日のデート第二弾が楽しみだ!
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