第13話 天才少年と幼馴染④ ~お風呂場で~後篇



「えーと、じゃあ、とりあえず体洗おうか。」


「う、うん。」


美鈴はうつむいたままそう答える。


おっと、体を洗う用のタオルも一つしかない。

それだけ僕たちをいちゃいちゃさせたいんだ、母さん達は!


「あ、そのさ、タオル一つしかないからさ、交代で洗おう?

美鈴が先に湯船につかっていいから…。」


「い、いやよ!やっと旅人と一緒になれたのに…。」


…わあ、本人の前でそれ言うんだ。

僕も恥ずかしくなってくるじゃないか……


「じゃあ、どうするの?」


「え、えっと、こ、こうするの!!」


そう言われながら、僕は彼女に、…壁ドンされた。

シャワーもひっかけたようで、こちらにお湯が降りかかってくる。


突然のことでぬれた髪に隠されながらも目を丸くする僕、

顔を真紅に染めて、でもしっかりと僕と目を外さない美鈴。


「ちょ、み、みれい!?どうしたの?」


「だ、だから、体を洗うんでしょ?ふ、二人でに洗うんなら、こうするしかないじゃない!!」


いや、絶対いくらでもほかの方法あると思うけど…。あと、一緒にってなに?

嫌な予感しかしないんだけど…。


「いやなんとでも方法は…」


「と、とにかく、旅人はだまってて!!」


好き勝手に言うと彼女は湯浴み着を脱ぎ始める。


「ね、ちょっと、本当に大丈夫?美鈴?」


「だまっててって言ってるでしょ?わ、私は正常よ!」


いや、どこがだよ…。


「じゃあ、ちょっと離れてよ…」


ぼそりと独り言のように告げると


「嫌よ、絶対にいや!!」



…はあ、なんだこの自己中は。ああ、もうほんと何!?なんなの?


僕が嘆いている間にも美鈴は湯浴み着を脱ぎ終わり、またこちらに近づいてくる。


ねえ?美鈴ってこんな子だったっけ!?



「…じゃあ、始めるわよ。」


ニヤッと彼女は妖艶な笑みを浮かべる。


「あの、美鈴さん?その姿で何をするのか聞いてもよろしいですか?」


「…もう、それ私に言わせるの?…決まってるじゃない、洗いっこするのよ…」


最初のほうがまったく聞き取れなかった。あと顔赤らめないで!僕もなんか恥ずかしくなるから!!


よくわからなくてポカンとしていると


「もう、焦らさないでよ。わ、私から行っちゃうからね♡」



…ドン!!!





次の瞬間、僕は、







美鈴に………押し倒された。


「ちょ!みれい!?何やってるかわかってんの!??」


「わ、わかってるよ。は、裸の親しい男女がお風呂場に二人っきりで、やることなんて一つでしょ!」


なにその含みのある言い方。痴女って叫んでいいですか?



「いや、だから他にも…」


「だ・か・ら、旅人は黙っててって言ったよね?」


「ぐっ」


誰この子?こんなにSっ気のある人だっけ!?

怖い、こわいよ。



「じゃ、じゃあ、そうね、まずは頭から洗おっか♡」


いつの間にか持っているシャンプーを手に出して、彼女はまたニヤリとほほ笑む。



完全に白旗だ。これがボクシングなら、Knock Downと審判が吠えるところだろう。


………もう、知らない。

どうなっても、僕は知らないぞ…。


さらば、僕の



そう静かに唱えて、降参の合図を言おうとしたところ…







体からが込み上げてきた。

いや、何なのかは、わかるのだが、それを言うのも苦しい。


心臓がおかしい。体が熱い。とにかく、苦しい。


クソ、最近は全くなかったのに…なんでこんなときに…



僕はさっきは全く湧いてこなかった力で、美鈴を突き飛ばした。


「え!?たび…と?」


少し泣きそうに彼女が言う。


「ぼ…くに、近づく…な!!!」


絞り出すように叫んで





僕は、大量の血を吐きだした。







―――――――――――――――

こんばんは。柊 季楽です。

まずは、最近更新ができなかったこと、心よりお詫び申し上げます。

待っていただいていた方、本当にすいませんでした。


それから、今回の話をラブラブパートだと思われていた方にも、すいません。

詐欺ですよね、こんなの…。これからの展開を楽しみにしておいてください!








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る