第11話 天才少年と幼馴染② ~母の策略~

「もしもし、根黒さん?この家って新築ですよね?」


「あ、ああそうだが、急にどうした。」


「えっと、風呂の水が流れないらしいんですけど?」


「あ、それか。は、はは、ははははは!それはなあ、男女が二人入らないと水が出ない仕組みだ!」


「「………はあ!!!!?」」


「いいだろういいだろう?イザベラさんが依頼したらしくてな。これは俺も感心した!」


「いや、子供の家になんてもの取り付けてんだよ!!!」


「え?香奈さんも大賛成だったぞ?」


「あんたらがよくてもこっちは全くよくないんですけど?」


「あ、それとな、湯船も二人が入らないとお湯が出なくて、出る時も一緒に出ないと、ドアに鍵がかかって出られなくなるらしいぞ!」


「聞いてください!」


だめだ、こりゃ。

この人らは最近の高校生のデリカシーというものをわかっていない。ホントにやばくない?その設備だけに数千万円ぐらいかかってそうな気がしてきた。


美鈴も顔を真紅に染めている。

スピーカーにしているため美鈴にも聞こえているのだ。


「あの根黒さん、僕らそういう関係じゃないんですけど?」


「ん?そうなのか?あんなに必死になるからきっと美鈴ちゃんのこと好きなのだと思ってたぞ。ま、二人でがんばれ。あ、君たちの親御さんからの伝言だ。

『孫の顔を早く見せろ』だとさ。」


「うん、今僕が言った言葉聞いてないですね?」


完全に誤解されてますね、はい。

美鈴はもう悶絶している。僕でもこれはだいぶ恥ずかしい。


もはやこれ、セクハラだろ。

どうしてくれんだよ、ほんと。


「「・・・・・」」



「用はもうないな?俺は忙しいからもう切るぞ。」


「「・・・・・」」


「じゃあな、あ、ちゃんと避「もういいですその先言わないでください!」


ブチ、急いで電話を切る。


「あ、あ、あ、ああのさ、根黒さん最後に避妊」


ちょちょちょストップ美鈴さん?

僕は彼女の口を手でふたする。


「んんんんむう~」


「その先はいっちゃだめ。僕ら高校生だからね?」


「んあんん!」


なんで嬉しそうな顔するのかな?

あとくすぐったいです、しゃべろうとしないでください美鈴さん!





でも、本当にどうしよ。困るなあ、あの風呂。


おのれ、母さん。高校生をなんだと思ってやがるんだ、まったく。


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