第6話 国のお偉いさんからの臨時招集
さあ、まあ、とりあえず?誤解は解けたわけだし?寝ますか。
「何寝ようとしてるの旅人、自習しなさいよ。」
うーん。空耳かな。Zzz・・・。
「―――え、ねえってば、旅人?携帯鳴ってるよ?あれだけマナーモードにしておいてっていったのに…。」
うわ、まじか。み、見たくねえ。
しかもこの曲、電話じゃん。あの人ら、ホントこっちのこと考えないな。
ブロックしてやろうか。……割とありかもしれんな。
「ちょっと先生、電話するんで教室出ますね。」
「は、はーい。どうぞどうぞ。」
「先生!?」
よし、とりまこの優等生からは逃げれる!
それだけはこの人には感謝だな。
「はい、佐々木です。四宮さん。今回は何の用で?」
「……気のせいかな。君が嬉しそうにしてるように聞こえるんだが?
ああ!そうかそうか君もやっと心を開いてくれたのか!
それなら今すぐにでも政府に来ていいんだよ?」
「…ほんとあんたらはつまんねえな。人を力としてみるのもいいが、誰かを考えてものを言えよ?僕はやろうと思えばどこの国にもつけるんだぞ?」
「ふーん。でも家族と幼馴染がいるこの日本を捨てるのかい?
そんなこと、君にできるのかい?」
「…脅しか。まあいいよ。さっさと要件を言って?」
「自分でもどうかと思うが、こうでもしないと君は動いてくれないからね。
…今回は、ある企業のデータを盗んでもらう。割と大きな会社だからね。
汚いことをしているとはいえ、結構骨が折れると思うよ。」
「はいはい。っていつも思うけど高校生にやらせることかな?それ。」
「君は普通の高校生じゃないからね。身分的にも君は特別なんだよ。
なにせ、最年少MENSA会員、暗号解読は誰にも負けず、現代セキュリティの神様と呼ばれた、あの『Traveller』なんだから。」
「…まあ、そこまで弱みを握られちゃあ僕も抵抗のしようがないね。いつも通り、
車を出してくれてるんだろ?あと何分で着く?詳しい話はそこで聞くから。」
「あと1分もかからずに着くはずだよ。…私から話せるのはここまでだ。
…だが、旅人君。今回の仕事は君にとって胸糞悪いかもしれないが、必ずやり遂げてくれよ。」
「…そこまで言われたら素直に『はい』とは言える自信はないけど、いいさ、どうせこっちに拒否権はないんだから。」
「…そうか。わかった。じゃあ、切るね。」
「ああ。」
ブチッ、電話が切れる。
さて、先生に早退するっていわなきゃな。…あんな四宮さん初めてだな。
あんな言い方をされると、かなり不安になる。いったい何をさせられるんだ、僕は。
「先生、今日も早退で。」
「………わかりました。気を付けてね。」
「ごめんな、いつも。」
「いや、がんばってね。」
なぜか、笑顔で見送ってくれる美鈴を横目にいつも通り少ない荷物を背負って教室を出る。
もう車は来ているだろう。急がなければ。
その時僕はわからなかった。この仕事によって僕の日常が大きく変わることを。
――――――そして、このことから僕のラブコメが始めることを。
―――――――――――――――――――
どうも柊 季楽です。
唐突のシリアス回ですね。あとでタグにシリアス入れときます。
ていうか会話文多すぎるよなあ。多分次はめっちゃ地の文多いです…。
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