第5話 即興プラン「一石二鳥」

「えーとですね。みなさん!よろこんでください!テストも近いということで、今日はまるまる自習の日となりました。自分のペースで自由に勉強してください!」


は!?まじで?勉強とか別にしたくないんだが?


「………………」


あのー、美鈴さん?さっきからなんでジト目でこっちを見てくるんですか?(知らんぷり)


そう、この人、山崎美鈴と僕は隣の席なのだ。

本当にありえない確立で、幼馴染と同じが高校、同じクラス、隣の席なんて少し…いやかなり怖い。なんか賄賂渡してんじゃないか?こいつの親、割とおっきい会社の社長だし。


ちなみに、僕と美鈴は小学校からの幼馴染なのだが、親ぐるみで付き合いがあり、昔はよく遊んでいた。だが、彼女の親はシングルマザーで、再婚したため中2の夏にこっち(この高校がある都会)に引っ越して、それから一度もあっていない。


まさか同じ高校で、同じクラスでまた会うことになるとは思わなかった。

ていうかこいつよく入れたな。そんなに頭いい感じじゃなかったのに…。


いや、ほんと1か月の間この子の横の席は疲れるんすよ。

昼寝とかしてたら起こしてくるし、早退とかしたら理由しつこく聞いてくるし、

チ、完全なる優等生キャラに変貌しやがって……。

それ以外にも数々のスキンシップ…。


はい、知ってしまいました。何をとは言わないが、知りたくなかった。

フッ、鈍感系主人公に憧れる日が来るなんてな、あんなのわかってやれないのは男としてどうなのかと思ってたのに…。


ただ、なんか全く告白してくる気配がない。

早く告って来たら、もう一切話しかけられないくらいに玉砕してやろうと思ってたのに。あれか?美鈴って焦らしプレイ(意味を知らずに使ってる)好きなのか? 


これは素直に謝ろう―――――


「ごめんってば、だk「いや、こっちこそごめん。旅人って彩萌のこと好きなんだね?」


んんんん!?何言ってんこの人!?


「え?何言ってんの?神崎さんにそんな気持ちないけど?

なんならちょっと嫌いだけど?」


「え、そ、そうなんだ?」

(いや嬉しいけど本人その声だったら本人に聞こえるよね。むしろ聞こえるように言ってるよね!?ふふ、そんな必死に弁解するんだ。)


よし、この美鈴に誤解を解くとともに神崎さんへの関わらないでアピールプラン、成功じゃね?神崎さんはめっちゃショック受けてるし、美鈴がニヤニヤしだしたのはなぞだけ「おーい、そこのお二人?勉強中は静かにー。」


チ、怒られちゃったじゃないか。不覚だった。

みんなが一度こっちを向く。いろんな感情が表情から見て取れるが、

一番大きいのは、憐み?なんで?


あ、もしかして、もう一度神崎さんのほうを見る。あれ、なんか満面の笑みなんだけど。どゆこと??





彩萌視点

(え?私のこと嫌いって言った?しかも結構大きな声で。信じたくないけど、あんな真顔で言う?………いや、美鈴の機嫌をよくするための口実よね。ふふ、ちょっと優しいとこあるじゃない。…まあ、あとでちゃんと謝罪は聞かせてもらうけどね。)


それ故の笑顔である。











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