19頁
幸せな思い出に 夢現なまま 終われたなら
囚われの老人も おぼろげでいられたかもしれない
やっと得た平和の行方は 誰にも分からないように
急激に引き戻された現実
それとも やるせない思い出に引き込まれたのか
一瞬の覚醒が 老人を覚めさせた
「やめろ! やめろ!」
囚われの老人の怒号が 沸き立った
立つ意思のなかった足で 立ち上がって
しかし 僕は 弾き続けた
確信を持って 尚も 弾き続けた
悶え喘ぐ老人を 置き去りにして
踏み出した音は駆け上り 遂に 登り切った
「やめろ! やめてくれ!」
老人は 天を仰いで 絶叫した
持ち上げられた拳は 悲鳴を上げ
やり場なく 天を 叩いた
「もう やめてくれ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます