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目の前の囚われの老人は

ちゃんと 知っているのだろうか?

今が 平和な世であることを


その瞳は 見えているはずなのに

何も見ていない

灯を すっかり 消してしまって


多分 魔が差したのだろう

明りを 取り戻そうとして

ピアノの前に 僕は座っていた


自分が 上手に弾けるのかなんて

これっぽっちも 心配しないで

まるで 当たり前のように


老人の口ずさむフレーズを

埃がかった記憶の中から

僕は その曲を 弾き始めた


聞こえているだろうか?

届いているかい?

ゆっくりと それはとても 表情豊かに

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