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内戦が終結して

平和の宣言をして

外国人が訪れるようになった


こんな小さな村にさえ

青年に たむける花を持って

だけど どこに 供えたらいいのだろう


だから 僕は 不思議に思うんだ

青年は 本当に実在したのであろうか

しかし 本当に実在したのだろう


花は 集会場のピアノに 捧げられる

供養の演奏とともに

決して 弾かれることのないピアノへ


鍵盤に散った 飛沫の血の痕

確かに 誰かが 弾いていた証拠だ

僕は 拭き取らずにそのままにしておく


誰も ピアノに触ることさえしないのは

青年への 配慮なのだろうか?

誰も 青年のことには触れようとしないように

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