第5歩 平たい顔族に圧力を

 小柄です。寝音子もまあまあ小柄なほうですが、それよりもさらにちょっとだけ背が低いです。としは同い年くらいでしょうか。

 あと、少しだけ夢幻的メルヘンチックなテイストの服を着ています。

「それね、あたしが出したリクエスト。」

「あなたが?」

「うん。そして今、あたしがあなたに求めているのは『リクエストを受ける』っていう返事だけ。そういうことだから、ね?」

「『ね?』と言われましても……。」

 すると女の子は、戸惑う寝音子にじわじわと顔を近づけて圧力をかけてきます。

「わっ、分かりましたから! やります! やりますから! 顔面プレス機でこちらの精神にプレッシャーをかけるのやめてください!」

「名前だけ聞くと顔が平たくなりそうなプレス機だね、それ。」

「我々の顔はすでにちょっと平たいですがねっ!」

「東洋人渾身の自虐……きっとご先祖様たちがヤスリで自分の顔を削っちゃったせい——、いや、削ったのは遺伝子かな?」

「DNAは虫歯か何かですか⁉︎」

 そんなこんなで、寝音子はこのリクエストを受けることになりました。

 寝音子が依頼書をリクエスト受注の窓口へ持っていくと、愛想の良い受付のお姉さんが、

「はい。リクエストの受注ですね? 少々お待ちください。」

 と言って慣れた手つきで近くの引き出しからハンコを取り出しました。

 そして依頼書の正方形のスペースにハンコを押すと、小さく手を振って寝音子を送り出してくれました。

「リクエスト、頑張ってください! あなたに期待していますからね!」

 お姉さんの控えめな笑顔が寝音子を鼓舞しました。

「は、はいっ! ありがとうございます!」

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