第4話 『悪くない所』



 始まりが最悪だった。

 だからアイツの事が嫌いだったのは、当たり前の事だっただろう。



 私とアイツはあの後も、結局度々鉢合わせた。

 そしてなんとその度に、何故か同じグループ分けにされたり、同じ係にされたりと、一緒に行動させられることになった。



 しかし例え半強制的にだったとしも、同じ時間を共有させられていれば『悪くない所』が段々と見えて来たりもする。


 例えば、ただテストの点が良いというだけじゃなくて、何に対しても頭が回る所だったり。


 例えば、本当に困ってる人を黙って見ていられないみたいで、人知れず作業が遅れている人のフォローに回っていたり。



 そうやって裏方に奔走する癖に、どうやらアイツには変に人との間に距離を取りたがるというか……少し遠くから『成果』を眺める癖があるみたいだった。


 その事に気付いてからは、嫌がらせと好奇心を半々ずつに抱きつつ、アイツを敢えて人の中に引っ張り込んでやる事が増えた。


 すると、また新たなアイツの一面が垣間見えてくる。


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