あれから2年④〜おじいちゃんが生き返った!?〜
カレーをスプーンですくい口に運ぼうとしたとき,後ろから気配を感じた。
「危ない!!」
腕を振った反動でダガーを袖から抜き出し,その勢いのまま後ろから繰り出された刀を受けた。後ろには青い髪の毛をした体格のいい男が笑って立っていた。浅黒く焼けた肌,斧のような長い剣,そしてこの青い髪。もしかして・・・・・・
「あの時のガキだな。いい動きだ。」
「ソラ。さがれ! こいつは・・・・・・おれがやる!!」
ジャンが剣を抜いてノーガードの首元に向けて剣を振りぬいた。しかし,青い髪の男は左肩を上げて肩の甲羅でジャンの剣を受けた。たったそれだけの動きでジャンの剣を受けられるのか。力が違いすぎる。数では勝っていても,どうにもならないのではないか。そんなことが頭をよぎる。
ジャンの表情を見ると,額から汗が異常に噴き出ている。具合でも悪いのだろうか。だとしたら,あまりにも分が悪すぎる。
「あの時の仇だ。おれはお前を殺すために今まで生きてきた・・・・・・! お前を絶対に許さねえ!!」
分かった。ジャンが話してくれたあの時の男だ。お父さんを殺した男。だとしたら,親の仇を打つチャンスじゃないか。何をビビっているんだ。
足が震えて動かない。ジャックベアを相手にした時とは圧が違う。それに,剣を握る手に力が入らない。この剣を抜いたら,あの男は敵とみなしてこちらにも殺意を向けてくるだろう。それももちろん怖い。ただ,身体に力が入らない理由は自分が一番分かっている。こんな状況だというのに,人を斬る勇気が自分には欠けているのだ。
青い髪の男はジャンに向かって低い声で問うた。
「知った風な口の利き方だなあ。お前,だれだ? いい年してるんだから年長に対する態度はわきまえていないとな。ちょっと剣が扱えるからって調子に乗るとどうなるか教えてやろう」
青い髪の男はそう言って右手で剣を抜いた。その剣を振り上げたと同時に左腕をジャンの方に向けて,詠唱を始めた。攻撃魔法を唱える気だ。守らないと。でも,間に合わない!
ジャンも自分の懐に攻撃魔法を撃ち込まれようとしているのに気づいたが,剣を受ける姿勢を取っていたため一瞬反応が遅れた。もうだめだ。また守れなかったんだ。何一つ返してやれなかった。そう思った時,青い髪の男の後ろから老人が急に現れ,剣を振り下ろした。手のひらの攻撃魔法を今にも打ち込もうとして手を引っ込め,その手でそのまま老人の剣を素手で受けた。その老人は見かけに寄らず目にもとまらぬ機敏な動きをした。が,その顔を捉えると,見覚えのある顔であることに気付いた。ジャンとお母さんと三人で声が揃った。
「じいちゃん!!」
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