第4話 樹季はどこに消えた?

「廊下って怖いな………」

 階段を上がり俺はそう呟く。

「と、とりあえず、調べられる所から調べようよ………」

「あ、ああ………」

 俺は近くにあった扉を開けた。

 そこは、調理室(もとい家庭科室)だった。

 とりあえず俺は何かないかその部屋に入った。

「うーん………やっぱりダメなんだ………」

 すると鈴は窓を開けようとしていた。

 まあ勿論、開きはしなかった。

「ねぇねぇ、なんで窓開かないの?」 

 すると咲良は、俺にそんなことを聞いてきた。

「あー………なんかここにいる霊が開かなくさせてるんだって」

「どうしてそんなことを?」

 俺もそう思った。

「うーん………そこまでは分からないなぁ」

 俺は咲良に申し訳なさそうに言う。

「ふーん………」

 咲良はそういうとその辺を見て回った。

 俺は大きな扉があったのでそれを開いてみた。

「調理器具も………か」

 そこにあったのは包丁やまな板、笊などがあった。

「うわっ………ねぇ見て祐君」

「え?」

 鈴が指差したところをライトを照らして見てみた。

「こりゃあすごいな………」

 何本かの包丁が真っ赤に染まっていた。

 犯行に使われたのか………それともそれ以外か。今では誰もその理由を知らない。

 なぜその理由もといここの事件についてあまり語られていないのか。

 まあきっと色々な理由があるんだろうな。

「それじゃあ一通り調べ終わったし………次行くか」

 俺はそう言い調理室から出ようとした。

 カタ、カタ、カタ………。

「ちょ、ちょっと待って………!」

 調理室から出ようした俺に対して鈴が呼び止めた。

 俺はそのまま鈴に手を引かれた。

 カタ、カタ………。

「な、何か、階を上がるごとに霊に会ってる気が………?」

「私もそう思う………」

 ペタ、ペタ………。

「マジか………」

 まさかの霊の二人コンボだとは。

 カタ、カタ………。

 ペタ、ペタ………。

 するとその霊は調理室のドアをゆっくりと開けた。

「ひっ………!?」

 声を上げそうになった咲良の口を俺は手で覆う。

「し、静かに………!」

 俺はそういうと咲良はコクコクと頷く。

「あれー?やっぱりいないなー、おっかしいなー、どこ行っちゃたんだろうー?」

 その少女は調理室の中を歩きながらそういう。

「うーん、出られるはずないのになー………あたしの獲物がー、あっ、もしかしたら三階かも?」

 少女はそういうと俺たちの前を通り過ぎた。

 その時も俺は咲良の口を覆っていた。

 そしてその少女は次第に遠ざかって行った。

「ふぅ………」

 俺は一息つくと同時に咲良の口から手を外した。

「や、ヤバかったね………」

「ああ、ヤバかった………?」

「ど、どうしたの、祐君?」

 いきなり黙る俺に不思議そうに鈴は首をかしげる。

「いや、まだ終わってない………」

 俺はそう言いながら鈴の期以後を指さす。

「えっ?………!?」

 そして鈴は後ろをゆっくりと振り向いた。

 そこにいたのは………


「やあ、元気かい?獲物たち………うふふっ」


「き、きゃぁぁぁ!!」

 鈴は叫ぶと同時に調理室を飛び出してしまった。

「い、行くぞ!!」

「う、うん!」 

 

 そして、俺たちはその調理室から逃げだした。

 その霊は少し俺たちを追いかけてきたが、

すぐにどこかへと消えて行った。

 その霊は職員室で会った女性だった。

「杷ぁ、はぁ、はぁ………くそ、またはぐれちまった」

 樹季とはとっくにはぐれてしまい、次は鈴ともはぐれてしまった。

「だ、大丈夫か咲良?………あれ?咲良………?」 

 後ろを振り返ってみると咲良の姿は無かった。

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