第2話 学校で何があったか調べる

「ここか………」

 職員室と書かれた紙がドアの右上に貼ってあった。

 樹季は職員室のドアを開けた。 

「それにしても、パソコンとか置きっぱなんだね………」

 鈴が声を落として言う。

 たしかにパソコンはそうだが、ホワイトボードには、これからの予定や行事が書かれていた。

「こんなのもそのままか………」

 例えば、一週間後には運動会………とかが書かれていた。

「………さすがに使えないか」

 樹季はパソコンを触りながらそういう。

「そりゃあそうだろ、電気来てないんだから」

「もしかしたら電源が点くかもしれないだろ?」

「どうしてそう思う………?」

「ホラー小説とかでよくあんじゃん。電気が来てないのに一台だけ電源が点いてるパソコンがあるとかさ」

「ああ………」

 実の所、俺はホラー小説を読んだことはある。だげど、一冊くらいしか持ってない。

「うわっ、中の物もそのままなんだ………」

 鈴がそういうので、俺たちは鈴の元に行ってみた。

「ほんとだ」

 見てみると、これから配る予定だった宿題などが入っていた。

「そうとう、ヤバかったんだろうね………」

 鈴が言ったことに俺は共感した。

 すると………

 カタ、カタ………。

「お、おい、何の音だ………?」

 樹季が声を小さくして言う。

「な、なんか廊下から聞こえない………?」

 鈴も声を小さくして怯えながらもそういう。

 カタ、カタ、カタ………。

「だ、誰かいる………?」

「そ、そんなはずは………!」

 奇妙な音だ。

 ハイヒールのような甲高い音。

 多分、女性だろ。

「ひっ………!?」

すると鈴は大声を上げそうになった口を手で覆う。

「と、とりあえずドアから離れよう………!」

 俺はそういうと、ドアから一番遠い対角線の机の方で蹲った。

 そして鈴と樹季も蹲った。

「……………」

 声を出さないように、俺たちは口を手で覆う。

 カタ、カタ………。

 すると、その足音は職員室のドアの前で止まった。

「や、ヤバいよ………!」

「お、落ち着け………!」

 俺たちは落ち着こうと深呼吸をする。

 すると………

「………ふふっ」

 聞いたこともないような声が廊下から聞こえた。

 カタ、カタ、カタ………。

 するとその足音は、遠ざかって行った。

「な、なあ、今の声聞いたか………?」

「お、おう………あれって鈴じゃないの………?」

「ち、違うよ………」

 あの声は一体?

「ね、ねぇ、もう帰ろうよ………」

「………試にそこの窓開けてみな?」

 鈴は近くにあった窓の鍵を開けて窓を開けようとする。

「えっ、嘘………!?」

 窓は開かなかった。

 いくら強い力でも開かない。

「だから俺言ったろ?出られるところは開かないって」

「ほ、ほんとだったんだ………」

「と、とにかく………次行こうぜ」

 俺はそういうと、二人とも立ち上がってドアを開けた。

「さて、どこ行く?」

「うーん………普通に教室でいいんじゃね?」

 俺の回答に二人は頷く。

「そんじゃあ教室だな………」

「い、一応気を付けてね………さっきの、霊がいるかもしれないから」

 鈴が言ったことに俺と樹季は頷いた。

 そして俺たちは、一階にある全部の教室に入っては何があるかを調べた。

「授業の用意とか………黒板に書かれているのもそのまま………」

 教室もそのままだったのとは。

 あとは、ロッカーにはランドセルや………とにかく、全部そのまま置かれていた。

「それじゃあ、教室は調べ終わったし………あとはというと、体育館か?」

「そうだね………」

 樹季はそのままドアを開けようとした。

 すると………

 ペタ、ペタ………。

「な、何………!?」

 今度の足音は、職員室で会った足音とは違かった。

 裸足で廊下を歩くような音。

 ちなみにドアはガラスが貼ってあったので、廊下を見た。

 するとそこには、一人の少女がいた。

 悲しそうな目をして裸足だった。

「や、やば………!」

 俺たちはすぐに教卓の後ろに隠れた。

 ペタ、ペタ………。

 間違いなくその少女はこっちに近づいている。

「お、おい!樹季なんとかしろ………!」

「なんとかって言われても………!」

 ペタ、ペタ、ペタ………。

 そしてその少女は俺たちが居る教室のドアの前で立ち止まった。

「…………!」

「あははっ、みーつけた」

 いつの間にかその少女は、俺たちがいる教卓を覗いていた。

「に、逃げろー!」

 樹季はそう叫ぶと同時にその教室から走って行った。

「す、鈴!お、俺たちも逃げるぞ!」

「う、うん!」

 俺は鈴の腕を取り必死にその少女から逃げだした。

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