恋愛ってそんな簡単じゃ・・・ねえよ・・・?

鬼奈子さんは相変わらずゲームをしている。僕はずーっとminecratteをやっている。要は二人ともゲーム漬けの毎日だ。あー気まずい・・・地味な距離とってるからより一層だ。

テレロローン

Rmailの通知が来る。え?鬼奈子さん?この距離でメールかよ・・・・

内容はこうだった。

「minecratte入ってる。」

ま、まあ・・・気まずいのはわかるが、この距離でメールはないぞ・・・

僕は了解のメールをし、シングルプレイからマルチプレイに変える。

鬼奈子さんがサーバーに入ってくる・・・ってスキン可愛すぎない?!水色のグラデーションの髪に黒いジャケット。水色の短めのスカート・・・ワンピースか。ゲームの見た目づくりも上手いのか・・・

minecratteではサバイバルをした。木を取り、洞窟で鉱石を取り、家を建てた。鬼奈子はモンスターをぼっこぼこにしたりして楽しんでいた。こ、怖い・・・

あれ・・・こんな仕様あったっけ?モンスターが鬼奈子さんから全力で逃げている。ま、まあ気にしないでおこう・・・・

その日は12時までminecratteをやっていたが、全身レア装備、家はレア鉱石だらけ。そんな感じになっていた。一日でこれはふつうあり得ないことだ・・・

寝た後はやっぱり起きる。いやいやいやいやいやいや待て待て待て待て!鬼奈子!離れろ死ぬ死ぬ!

鬼奈子さんの強すぎる腕力で体を抱かれたらヤバいって!っていうか、抱き着くな!変な噂がたったらヤバいって!おぇえぇえ・・・

その日の夢はこの世のものと思えないきれいな川の夢だった。

ガバアッ!あっぶねえ・・・生きてる・・・ていうか背中が冷たい・・・うわめっちゃ濡れてる・・・泣きすぎじゃない?何があったらこうなるんだよ・・・

腹がいてえ・・・・

「あら、背中びっしゃんこじゃない。どうしたの?」

ここで真実を言うとまずいのでとっさにうそをついた。

「布団が暑くてめっちゃ汗かいた」

「あら、あれでも暑い?じゃあ変えようかしらね」

嘘が通ってよかった・・・危ない危ない・・・

「朝ごはんは頼んだわよー・・・ふぁああ・・・」

僕はびしょびしょになった服を洗濯機に入れ、顔を洗ってトイレに行った後、料理を開始する。

冷蔵庫のチルド室からスライスハムを取り出して、適当なサイズに切ってレタスと和える。とりあえずレタスを皿の上に盛ったら、次に大きめのフライパンを出し、バットに卵を4つ割り、そこに半分に切った食パン6枚を卵に浸す。それをフライパンで焼き、片面焼けたら、ひっくり返す。全部焼けたら今日の朝ごはん、フレンチトーストの完成だ。

後ろを向いて皿に盛ろうとしたら鬼奈子さんがいた。気配消すのやっぱり得意なのかな・・・

やっぱり鬼奈子さんは無言で食べている。おいしいとか不味いとか言ってほしいなあ・・・作った側としては。

鬼奈子が出掛けてるときに急に母さんがこんなことを言ってきた。

「鬼奈子ちゃんのこと、好きなんでしょぉ~」

いやいやいやいやいやいや。ないないない!

「んなわけあるかあ!(笑)」

「鬼奈子ちゃんは気があるのかもよぉ?(笑)」

いやいや。あり得ない。無頓着で無愛想なあの鬼奈子さんが恋愛に興味があるわけがない。

ガチャン。鬼奈子さんが帰ってきた。手には二つの袋を持っている。一つは食材で、とても大きな袋だった。もう一つは・・・?なんだあの黒い箱・・・

「あら鬼奈子ちゃんお帰りなさぁい!いつもありがとねえお遣い。やっぱり鬼奈子ちゃんは力持ちだねえ」

と言いながらこっちを見てくる。やめろ。鬼奈子さんが異常に強いだけだ。

「哲郎も見習いなさいよ?」

「んー・・・・」

黒い箱は何なのだろう・・・

「鬼奈子ちゃんそれはなあに?」

鬼奈子さんは袋から箱を出して、開ける。そこに入っていたのは銃・・・ではなくエアガンだった。

「HK45。ドイツの会社の拳銃。」

「鬼奈子ちゃんはこういうものも好きなのねえ・・・今度そういう話聞かせてよ」

鬼奈子さんは無言でうなずき、マガジンにBB弾を入れ、撃とうとする。

「鬼奈子ちゃんごめんね。うちは狭いから外で撃ってもらえる?」

鬼奈子さんはすぐに自分のシャーペンを持ち、家を出た。

何をするのだろう・・・シャーペンなんか持ちだして・・・

気になって外を見てみると、目の前の道路でエアガンを構える鬼奈子さんがいた。狙っている先は・・・っ!?10mくらい離れたところに立ててあるシャーペンだ・・・あれに当てるというのか?

鬼奈子さんは素早く引き金を引く。放たれたBB弾はまるで立てたシャーペンに引き寄せられるかの如くシャーペンめがけて飛んで行った。結果は一発で命中。鬼奈子さん実銃も撃てそうで怖いな・・・

それを何回か繰り返した後、帰ってきた。そういえばゲームで使ってる銃と一緒だな・・・あのエアガン。どうやらH&K社(ドイツの大手銃メーカー)が好きらしい。女子なのにミリタリーが好きなのは意外だ。

帰ってからはまたゲームだ。ゲームのやりすぎで怒られるなんてこともない。宿題はちゃんと済ませてるし、姿勢が悪いなんてこともないし。

そんなある日、鬼奈子さんが誰かを連れてきた鬼奈子さんが言うには友達らしい。

・・・あれ?友達なんていないって言ってたような・・・

その友達は鬼奈子さんとは真反対な性格で、とっても明るい。名前は崎桜花さきおうかというらしく、とても珍しい名前だった。桜花さんは鬼奈子さんと同じでいろいろ強く、ゲームでもだれにも負けたことがないらしい。

「君って何て名前なの?」

「あ、ああ、山田哲郎だ。ま、よろしく。」

「へー山田君かあ!」

桜花さんはバッグの中からノートパソコンを取り出す

「じゃあ!やろうか!・・・の前にルーターどこ?」

鬼奈子さんはテレビの裏を指さす。多分Wifiにつなぎたいのだろう

「えーっと・・・OK!つながった!」

「鬼奈子、これやる。」

「おー!マインクラフトですかあ!いいよやろう!」

桜花さんもminecratteを持っているらしく、せっかくなので新しいワールドで始めた。

例のごとく、ワールドは急成長を果たしていった。桜花さんは鉱石を大量に彫り、鬼奈子さんはモンスターを倒しまくり、僕は家を建てる。そんなことをしていたらもう6時になっていた。

「もう時間だし、私帰るね!じゃあねー!」

桜花さんは帰ったがその後もインターネットを介してminecratteをやった。minecratteは大勢でやるほうがやっぱり楽しいのである。

寝るときに死んではいけないので、鬼奈子さんにウサギのぬいぐるみをプレゼントしてあげた。うさぎ、すまんな。

その夜は起きることなく良く寝れた。

ただ、一つ問題が生じた。鬼奈子さんが自分が何かに抱き着いて寝ていることが分かってしまったのだ。

「私、お前に抱き着いてたんだ・・・」

その日から母さん以外の話を聞かなくなってしまった。


ある日、鬼奈子さんは手紙を残して、荷物を持って家を出て行った。

手紙の内容は

「家に帰ります。お世話になりました。」

と、僕の母さんに対する感謝の気持ちがつづられていた。

ウサギのぬいぐるみは持って帰ったようだった。

幸い、学校は来ているようだがいつ休むかわからないぐらい危うい。そうとうショックだったのだろう。


それから2週間後・・・


突然、鬼奈子さんからLINEが来た。

「なんで泣いてたか教えてあげる」

急すぎだろ・・・

「いいのか?」

「きっとお前を殺しかけただろうし。そのお詫び。」

まあ・・・殺しかけたな・・・

「親、死んだかわからない。あったことすらない。」

「ええ・・・・」

「だから、寂しくて泣いてる。」

「親戚がいるわけでもないし。」

なるほど・・・誰かに育てられたわけでもなく、一人で生き抜いてきたのか・・・っ!?ってええええ!?一人で!?普通親戚いるだろ!

「なんで親戚いないの?」

「教えない。」

そこからのメッセージは既読が付かなくなっていた。

だが、ある一言で既読が付いた。

「じゃあ、鬼奈子さんは何で自分の名前を知ってるの?」

「・・・」

「普通、親に育てられる過程で自分の名前を覚えるんだけど」

「・・・」

「なんで?」

「なんで自分の名前を知っているの?おかしい。」

鬼奈子さんはいつもの冷静さがなくなっている。

「誰に付けられたの?なぜ"鬼奈子"が自分の名前ってわかるの?」

「落ち着け・・・」

「落ち着けない。なんで。なんで。」

「なんで。なんで。なんで。なんで。なんで。なんで。なんで。なんで。なんで。なんで。」

そこからまた、既読が付かなくなってしまった。

学校も来なくなった。

「おい山」

「んあ?」

「鬼奈子さんになんかあった?お前夏休み中ずっと一緒だったろ?」

「それが・・・」

「いや、話すのはやめようかな・・・」

「なんでなんで?」

いろいろ事情があるとだけ言うと、秋山はそれ以上聞いてこなかった。物わかりのいいやつだ。

そうだ!桜花さんに聞いてみよう!っていっても連絡先交換してないな・・・

突然、スマホの通知が鳴る。

「桜花:はーい?連絡先ならここだけど?」

通知にそう出た。は?え?え?なんで?なんで考えが分かった??

とりあえず返信をする。

「どうやって僕を見つけた?なんでこんなタイミングがいいんだ?」

「2つ目の質問の答えは教えられないかな!ごめんね~^^」

「どうやって君を見つけたか?そりゃ決まってるじゃない!"あなたの友達かも"に出てくるからね!」

なるほど・・・鬼奈子さんと友達登録してるから、友達つながりで見つかったのか・・・

「ところで何か聞きたいことがあるみたいだね?」

なぜそこまでわかる。僕は何も言ってない。

「ああ・・・鬼奈子さんは大丈夫なのかと、あとは・・・秋山ってやつにLINEの内容を話していいのか。を聞きたいんだよ・・・」

「ちょっと待ってね!」

数分間した後返事があった。

「いいよ。だってさ!あと、鬼奈子は元気だよ~ピンピンしてる!^^」

「あと、答えがわからないとか言ってるよ」

「あ~・・・」

「何の答え?」

これは教えていいのだろうか・・・

「いいよいいよ全然!許可とったし!」

だからなんでわかるんだよ!

「あ~・・鬼奈子は誰にも育てられず一人で生きてきたのに、なんで自分の名前を知っているのかでパニックになってるんだと思う。」

「あ~・・・それ聞いたらいけない質問だね・・・多分・・・」

「・・・やらかしたか?」

「多分ね。」

やらかした・・・多分鬼奈子さんはデリケートな性格なのだろう・・・

秋山のラインを開く。

「おーい」

「んあ?」

「今絶賛修羅場な俺になんか用か?」

「いや大丈夫かよww」

「ジョーダンジョーダンw」

「それでなんか用か?」

「いやーあの話だよ。鬼奈子さんの」

「あーあれか...んで教えてくれるのか?」

「ああ。実はだな...」

僕は事の次第をすべて書いた。

「じゃあ...悪く言えばお前が原因か?」

「そうだな...」

僕はLINEを閉じると、minecratteを開いた。あれ?サーバーに誰かいる...

入ってみると鬼奈子さんだった。だが、近づいたら急に剣に持ち変え、走って僕を襲ってきた。僕は地面を掘ってすぐにかくれた。そして鬼奈子さんに話しかける。

「なんで襲ってくるの!?」

鬼奈子さんは

「一人にして」

といったので僕はすぐにサーバーから出た。

あれ以降、LINEもメールも来ていない。


数週間後


家に帰ると桜花さんからメッセージが来ていた。

「鬼奈子、明日から学校行くだって!なんとか持ち直したみたい!」

次の日、学校に行ってみると、鬼奈子さんの姿があった。だけど、ずっと伏せていた。

帰りの時間になってもずっと伏せていた。完全にやらかしてしまった...

今日はゲームなどする気になれなかった。

宿題を済ませ、床でボーッとして、夜ご飯を食べたあとすぐに寝た。

そんな生活を繰り返していた。

するとあるメッセージが届いた。


「鬼奈子が急に変になった!なんか別人みたいになって、性格が真反対になってる!」


え?


そのメッセージの意味は学校にいったらわかった。

鬼奈子「やあ!山田くん!」

僕  「...え?お前大丈夫か?」

鬼奈子「ピンピンしてるよ!どこも悪くないよー!?」

鬼奈子さんの目を見ると光を吸収しているかのごとく、恐ろしい...というか、狂ったような目をしていた。

鬼奈子「どうしたの!?そんな私の目を見て!?」

怖い怖い怖い怖い!本当に別人格じゃねえかよ!

秋山 「お、おい...こいつ誰だよ...」

僕  「鬼奈子...さん...なん...だけど」

鬼奈子「そーだよ!鬼奈子だよ!?どうしたのー!?」

鬼奈子さんの狂ったような話口調はクラス中に響く。もうみんな異常を察知しているようだ。

隣のクラスの原田さんが駆けつける。

「どうしたの!?鬼奈子ちゃん!なんかおかしいよ!」

「あはは!おかしくないよなにも!私は普通だよ!?」

「おかしいよ!保健室行くよ!ほら!」

「あはははは!おかしくないって!」

「おかしいよ...鬼奈子ちゃん....元に戻ってよ...」

原田さんが泣き出す。もう手に終えない状況となった。

どうしたら....

「やめて!離してよ!」

突然、鬼奈子さんの声が途絶える。

桜花さんだった。必死にもがく鬼奈子さんを完全に押さえ込んでいる。

廊下が完全に静かになる。

「ふー...こんなもんかしら?」

鬼奈子さんは気絶している。どうやったら気絶させられるのだろうか....

鬼奈子さんは保健室に運ばれ、今は安静にしている。

桜花さん....よくあの力に耐えるな...

それから2日間、桜花さんと鬼奈子さんは学校を休み、桜花さんは鬼奈子さんの看病に当たったらしい。病気なのか知らないが。

「鬼奈子、頭おかしくなってたよな...」

「ああ...」

家に帰ると、桜花さんからLINEが来ていた

「鬼奈子、狂ってた時のこと覚えてないだってさ!よかった~^^」

まあもし覚えていたら、悪循環の始まりであろう。

「あ、ああ。よかったな」

「どうしたの?」

「いや、どう鬼奈子さんを気絶させたのかが気になって・・・」

「ん~・・・秘密かな!」

・・・秘密多すぎない?ま、まあ女子だし、これ以上聞いたらヤバい気がするからやめておこう。

「そうだね!聞かないでおくのが身のためだよ!」

だからなんで考えてることがわかるんだよ・・・

その日も特にゲームをせずに寝た。

次の日

「よお山」

「おは」

「突然だけどさー」

「ん?」

「今週の日曜日ファミレスいかない?」

「いいけどなんで?」

「近くのファミレスで限定メニューで俺の好きなのがでたんだよ!」

・・・そんなのあったっけ?秋山の好きな食べ物はステーキとか肉系なんだが・・・

「あ、いいよ」


あー長かった一週間も今日で終わりだ!

金曜日はいつもうれしい。なんせ休みが待っているからな。

土曜日は久しぶりにゲームをした。一人でやるのはちょっと寂しかったが、それでも十分楽しめた。

が、そんな楽しみをぶち壊すような衝撃を受けた。

「・・・そこの女子は?」

秋山の席の隣に、学校で何となく見かけた気がする女子が座っていた。

「騙してすまん。お前に伝えたいことがあって呼んだんだ。」

「いやまあ騙したのは許すが・・・」

・・・まさかな・・・

隣の女子がうつむく。顔を真っ赤にして。

ヤバい・・・予想が当たったかもしれん・・・

「実は―」

パシンッ

隣の女子が秋山の口を思いっきり叩く。というか勢いよく封じた。

「恥ずかしいよぉ・・・」

「だからって叩くなよ・・・(笑)」

「どうせ、その子が彼女なんだろ?」

「いやぁー!言っちゃダメぇ!」

女子の大きな声が店内に響く。

店内が一瞬静かになり、空気が凍り付く。

「・・・おい・・・(笑)」

「え、えへへ~」

いや、えへへ~じゃねえよ・・・だいぶヤバい空気だったぞ・・・

「んで?誰だ?僕は知らないけど。」

「とnヘブシッ」

「言わせてあげろよ...」

「だって恥ずかしいんですもの...」

「となrヘブシッ」

(笑笑...)

見ているうちに笑いが込み上げてくる。

「いい..フフッ笑言わせて...笑あげろよ...笑」

女子の方もクスクスと笑っている。

「あ、あのーご注文は...」

すっかり忘れていた。

「えーっと...オレンジジュース3つと、...」

「私このサンドイッチセットで!」

「俺はこのカツ丼で」

「かしこまりましたー。」


「んでこの子は隣の隣のクラスの」

「要は2-3だな?」

「そうそう」

「ヘブシッ!」

また叩いた。今度はおふざけではないようだ。

「君、誰にも言わないよね?」

「ああ。クラスの悪質な女子とは違うからな。」

「大丈夫だっていったろ?こいつは結構口が固いんだぜ?」

「ならよかった。」

「2-3の蒼井さんだ。」

「はじめまして。よろしくお願いします!」

「あ、ああ」

それと同時に、後ろから聞き覚えのある声が聞こえる

「奇遇だね!」

後ろを見ると、鬼奈子さんと桜花さんがいた。

「あ、あっぁああっのっ!!」

「大丈夫、ばらしたりしないから(笑)」

「・・・本当ですか?」

まあそりゃあ後ろから知らない女子が出てきたら怪しむわな・・・

「私が桜花でこっちが鬼奈子。」

「あ~ok!」

「桜花?初めて会うな」

「秋山君だっけ?よろしくね!」

少し秋山が驚く。

「なんで俺の名前を知っているんだ?初めて会っただろ?」

「それは教えられないかなぁ~」

「桜花さんって・・・あの、ヤクザをぼこぼこにした・・・?」

えええええ!?ヤクザを!?この二人組おかしいんじゃないの!?

「ああ、確かにした覚えがあるね~」

「凄い!どうやったの?」

「それはね~・・・」

蒼井さんは桜花さんの武勇伝を聞き始める。あそこで盛り上がってるしこっちは別の話をするか。

「ご注文のオレンジジュースとサンドイッチとかつ丼です」

「おっきたきた!」

「いっただっきまーす!」

僕はオレンジジュースを飲みながら秋山にいろいろ聞いてみた。

「それで?なんで急に付き合ったの?」

「急にって訳じゃないが...まあ、うん...一目惚れ....だ....」

秋山はすごく恥ずかしそうな顔をしている。すげえな...こいつ。一目惚れの勢いで告白したのか....

「おう..告白よく頑張ったな」

「いや、あっちから告白してきたんだよね....」

「!?ええ!?」

「っってことは両思いだった!?」

「というか、あっちのほうが先に俺を好きになってたのかな・・・?」

「すげえじゃん!奇跡のカップルじゃん!(笑)」

「だね(笑)」

「んで・・・」

『あっちの話が物騒で笑うな!』


「それで?どうやって腕の骨を折ったの!?」

「背負い投げしようと思ったら、折れちゃったのよ~」

「お~!」


「いや・・・フフッ(笑)物騒だな(笑)」

「だなフッ(笑)」


いや、鬼奈子さんめっちゃ寂しそうな顔してるっ!大丈夫か・・・?

あっ・・・隠れていく・・・

「お待たせしました~フルーツパフェスペシャルでーす」

え?鬼奈子さんの席のほうから声が聞こえたぞ?しかも桜花さんまだ話してるってことは・・・

意外だな・・・鬼奈子さん甘いもの好きなのか・・・


「お前も早いこと彼女作れよ~(笑)」

「失礼な!(笑)」

まあ、一生できることはないんだろうけど・・・

「おお~・・・そのヤンキーその後どうしたの?」

まだ話続いてたのか・・・

「腕をちぎったシャツで三角巾作って逃げてったよ(笑)」

いや桜花さん怖い怖い・・・鬼奈子さんと一緒だと異常な女子二人だな・・・

今日は特に何もなかったのでゲームをして寝た。

・・・ガバァッ

いやこれみんながよくありそうなラブストーリーたどってね!?

そう思って夜中飛び起きる。

・・・まあいっか。

そう思ってまた眠りにつく。

あっ宿題やってない!

宿題のことを思い出してまた飛び起きる。

何とか宿題を終わらせまた眠りにつく。時間はもう朝の3時だ。

案の定、今日の学校は寝て過ごしてしまった。

「おーいどうしたー山ー」

秋山が寝ている僕をたたいて起こしてくる。

「んあ?」

「俺がリア充になってショックで眠れなかったか?(笑)」

「いや、宿題忘れてて・・・きの・・・今日の3時まで起きてたんだよ」

「そうだな(笑)昨日じゃなくて今日だな(笑)」

「じゃあおやすみー」

「おい待て待て(笑)」


「ただいま~誰もいないけど~」

ほんとに誰もいないからな・・・誰かが出てくるなんて定番のシーンはないし。

数時間後・・・

「ただぁいまぁ・・・づがでだぁ~」

母さんが返ってきた。

「ねえ母さん、秋山に彼女できt」

「えぇぇぇ~!?」

「秋山君ってあの子だよね!?」

「う、うん」

「そっか~青春してるね~」

「・・・ってことはぁ~?」

「いやだから、ないって(笑)」

「早く彼女とか作りなさいよ~?」

「とかって何だよとかって(笑)」

母さんが父さんに同じ話をした。

「へえぇ~やるじゃんか秋山君」

「哲郎も、ムグムグ早く彼女作らないとね~」

「ええぇ~・・・(笑)」

彼女・・ねえ・・・簡単に言ってくれるよまったく・・・

こっちは勉強と宿題と・・・あ、勉強と宿題は一緒か。まあそれで精いっぱいなんだよ・・・恋愛の暇なんてあるかよ・・・

ファァー...恋愛に縁がない僕にとっては、意味のない話だけどね....

朝起きて顔洗ってトイレ行ってスマホいじってご飯食べて準備して学校にいくと、学校内がざわついていた。また鬼奈子さんかな....ちょっといい加減にしてほしいけど...

「ういー山ー」

「よう、この騒ぎはなんだ?」

鬼奈子さんは暴れてないようだし、教室内もなんの異常もない。

「転校生が来るんだってさ。それもちょっとイカれたやつ。」

「ええ...どんな風にイカれてるの?」

「なんでも重度の中二病らしい。」

「自己紹介でやらかしそうだな(笑)」

キーンコーンカーンコーンチャイム...が鳴る。あーきたきた。...あっ....もしかしたらあれ、眼帯とかつけられなくて顔隠してるのかな....?校則違反だからな...つけるやつおらんけど。

「新しいクラスメイトだぞー!」

「我が名h....私の名前は黒柳零花くろやなぎれいか。よろしくな。」

ええ....本名それかよ....親も中二病なのか...?

「あっあのな!誤解しないでほしい!この名前はちゃんと意味があってつけられてるんだからな!?」

いやいや、誰もそんなこと言ってない。まあ、思ったけど。

「じゃあみんな、仲良くしてやってな?」

「はーい」

いや、孤立の一途をたどる未来しか見えないぞ....?

と思ったら、案外鬼奈子さんと仲良くし始めた。鬼奈子さんで教育されると良いけど。

「わが漆黒は闇より深く、そして暗いんだぞ」

「・・・いい加減そのキャラやめたら?」

「第二の人格なんだ・・・しょうがないだろう?」

本当に重症じゃん・・・鬼奈子さんよく相手できてるな・・・

ちなみに僕だったらこうなる

「おは。零花さん。」

「我が名をたやすく呼ぶとは・・・どうなるのかわかっているのだろうな?」

「我が名には邪神が宿っていてな・・・」

と、いう風に永遠と中二病あふれる話を聞かされる。ほかの女子や男子も同じ被害にあっているらしく、もう仲がいいのは桜花さんと鬼奈子さんだけらしい。

・・・・・・えーっと・・・・あの筆箱どうなってんだよ・・・

零花さんの筆箱には大量のアニメ関連キーホルダーがつけられていた。あれってもしかして・・・・アニメせいで中二病になったんじゃないの?

アニメは「破滅の刃」「這い寄れニャンコさん!」「BLEAMCH」「かのすば」「五つの大祭」など、有名なアニメのキーホルダーばかりだった。

とくに「破滅の刃」と「五つの大祭」が中二病に関係ありそうだった。

.....!?授業中零花さんの方をみてみると筆箱を四つも出していた。

いや、4つもいるか?

しかもひとつは閉まりきってないし...溢れかけてる...

零花さんは授業の度にペンの雪崩を起こす。

いや、そんなに絶対要らないだろ....

今日の朝の学校はまた騒がしかった。また鬼奈子さんか...机同士がぶつかる音するし....

....!?零花さんっ!?何してるの!?何で鬼奈子さんと喧嘩してるの!?しかも鬼奈子さんマジギレだし!死ぬって!逃げろよ!


って、以外と....

「我が防御魔法を前にして攻撃をやめたのか?はっはっはっ!」

「ぶっ殺す。」

零花さんめっちゃ避けてる....

「調子に乗るな。」

ちょ!?鬼奈子さんそれはアウト!カッターナイフはダメだって!

零花さんの動きが止まる。回りの空気も凍りつく。

カッターナイフの刃先が零花さんの首元で止まる。

「今度怒りっぽいとか言ったらぶっ殺す。」

いや待て。この大喧嘩の発端それ?超くだらないじゃん...

後で桜花さんに聞いたところ、鬼奈子さんは「怒りっぽい」と言われるのが死ぬほど嫌らしい。

だからって殺しかけることはないと思うが・・・まあ、いずれにせよ鬼奈子さんとは出来る限りかかわりたくない。何かトラブルに巻き込まれてからでは遅い。

ん、次の授業は体育か。今の授業はバレーボールだ。

「おい山、数えてくれないか?」

「おう」

「1、2、3、4」

バレーボールの練習はおかしいところがある。本来、ボールを運ぶためにするパスなのだが、上に打ちあげて何回まで上に打ちあげられるかを数えるのはちゃんとして練習になっているのだろうか?パスでラリーをしたほうがよっぽど練習になると思うのだが。

「15、じゅうr、あっ」

「15!やった!テスト合格だな!」

「それ本番でできるか?(笑)」

「知らんな(笑)」

「次僕な」

「おう」

「1、2、3、よぉぉぉお?」

「高く上げすg」

「ああぁあ(笑)」

僕の高く打ち上げたボールは早くも落ちてしまった。この調子だとテストは無理そうだ。

「テスト無理そうだなあ(笑)」

「諦め~(笑)」

「ええ(笑)」

「あ、蒼井さんだ」

「おう!蒼井!」

秋山はどうやら蒼井さんのことを呼び捨てで読んでるらしい。まあ・・・付き合ってるしいいのか・・・。

「あ、山田くん!」

「なんで今こっちに来たんだ?」

「宿題提出してたら授業に遅れたの」

「おう(笑)」

「・・・蒼井のクラスは中か?」

「中だよ~」

「いいな~中は日光当たらないから暑くないだろ~?」

「いや、風通しが悪いから暑いよぉ(笑)」

「二人とも仲がいいなあ(笑)」

二人『いやいや~(笑)』

「いやハモってるし(笑)」

二人『あっ』

「仲良すぎ(笑)」

ここまでくると将来ずっと付き合ってそうだ。やっぱり奇跡のカップルだな・・・


秋山と蒼井さんは仲良くやっていることがわかり、安心した。秋山に失恋だけはしてほしくない。まあ、相性良さそうだし大丈夫かな。

一方僕はというと相変わらずだ。恋する相手もいないし、恋してくれる人もいない。当たり前だ。こんな普通の僕に興味が湧くわけがない。

パロリン♪

夜遅くにRINEの通知で目を覚ます。

桜花さんからだ。

「こんな早くにごめんね」

「ちょっと相談事が....良かった!聞いてくれるんだね!」

「まだなにも言ってないよ...で、何?」

返信はない。既読はついているのだが。

数分後、眠りに落ちそうになった瞬間通知が鳴る。

「実は............」

「うーーっ」

「分かった。さては恋愛系だな?」

「うん....大当たり。何で分かったの?」

「周りがみんな付き合い始めるもんでな。恋愛相談が増えてるんだよ。」

「(笑)付き合わないの?山田君は。」

「(ヾノ・∀・`)ないない。恋する相手もいないし、恋してくれる人もいない。」

「(笑)悲しい発想だなあ(笑)」

「それで?相談内容は?」

「男の子ってどういうファッションが好きなのかとか、有効的な告白方法とかさ....教えてくれない?」

生憎あいにく、ファッションはできないが告白ならわかるぞ。」

「(ファッションは肩出しとけばいいかな...)」

「お前は女優か?ww」

「(笑)」

「告白の仕方だが、お前ならまんま元気なまま告白だな。緊張はしてもいいが、しすぎはダメだ。相手はどういう性格だ?」

「図書室にいるメガネっ子。母性本能強めで、優しい。」

「なら、恥ずかしがる方がいいかな。恥ずかしがって相手に合わせた方がいい。元気すぎると、相手も困るからな あと、母性本能を刺激することもできる。」

「山田君すごい.....プロのお方ですか(笑)」

「これだけ恋愛相談受けてりゃこうなるわな....ww」

気付けば朝だった。寝落ちしてしまったらしい。

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今からよくあるラブストーリーを否定します! つきみなも @nekodaruma0218

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