最終章後編:PTAの正体
一方隠し部屋に突入した二人は中をあさり始めた。本棚とパソコンしかない簡素な部屋にはダイアモンドのような高価なものは見当たらなかった。
本棚には初心者用のパソコンの本が置かれており、パソコンは簡素な消費者用のモデルである。机には棚が併設されており中をあさるがめぼしいものは何も見当たらない。
「どうなってんのよ!これ!」
「とりあえず片っ端から探しましょう!」
スナッチと悟りはその言葉通り手当たり次第に棚をひっくり返し、本棚の本をひっぺ返した。しかし何も見当たらない。
ここじゃないのかもしれない・・・・。
その思いがスナッチと悟り両名の頭によぎった。
そんな時、悟りはパソコンに刺さったUSBが目に留まった。近くに寄って引き抜いてよく見るとそこには黒い本体に赤い字で、PTAと書かれてあった。それに驚いた悟りが本棚の一番下の段をひっくり返していたスナッチを呼び寄せる。
「お姉ちゃん!こっちに来てください!なんか見つけました!」
「なんですって!」
スナッチが駆け寄りUSBを観察する。確かにそこにはPTAの文字が書かれていた。
もしかして・・・
「これがPTA!?」
スナッチの声が部屋の外まで響いた。
一方ビッグディックは尾宮を何とかしてひっくり返そうとしていた。尾宮は先ほどのスナッチのパンチで脳震盪を起こしていたがビッグディックに抵抗する力は残っていた。揉み合いの中、尾宮の服から何か紙が落ちてきた。尾宮はその紙の上に覆いかぶさりこれを渡さないように必死で抵抗する。
しかしそれが悪かった。覆いかぶさるとなると必然お尻が表に出るわけで・・・。
ビッグディックはそれを見逃さずマグナムハンドで一撃を加えた。
悶絶して飛び上がる尾宮勝悟。そしてその下にあった紙が現れる。そこには数字が羅列されていた。ビッグディックはそれを持って隠し部屋へと向かった。
隠し部屋では謎のUSB“PTA”と格闘する二人の姿があった。
そこにビッグディックが乱入する。彼が何をしているのか?とスナッチに聞くとこう返した。
「このUSBがPTAらしいんだけどパスワードがかかってて入れないのよ・・・今はパスワードを解くような機器はないし・・・どうしましょう?」
ビッグディックは先ほどの紙を見せてこう言った。
「なんか尾宮が持ってたけど関係ある?」
それを見たスナッチが一言。
「でかした!あんたもなかなかやるじゃない!」
スナッチがそれを即座に入力する。悟りはそれを見て思うところがあった。
『この数字って・・・』
そんな悟りをよそにスナッチはUSBに侵入した。中を見ると大量の画像ファイルと動画ファイルがぎっしりと入っていた。その中の一枚を開けるとそれは明らかに成人前の、小学生と思しき女の子の裸だった。
さらにはコスプレだったり、行為をしている最中だったり・・・。
動画も一応確認したが動画も同じようなものだった。中には二次元のものもある。それらを一枚一枚流し見ていると一枚の写真が目に留まった。そこにビッグディックが声をかけた。
「その写真、この写真と一緒だ!」
ビッグディックは以前落ちたゴミ箱で拾った写真を差し出した。
「あんた・・・あれ持ってきたの?」
若干あきれるスナッチだったが、たしかに写真は同じものだった。そして悟りが声をかける。
「そ、それ・・・私です・・・」
目をそらし、彼女の振り絞るようなか細い声が聞こえた。
『なるほどね・・・』
スナッチはすべてを理解した。
つまりあの男はすべての写真を自炊し、例のゴミ箱に投げ捨てたのだ。児童ポルノを所有している事がばれないために・・・。そしてPTAは巨大なダイアであるという嘘の情報を流した。それを真に受けた私たちがここに侵入して暴いたというわけだ。
『つくづく器の小さい男ね・・・』
スナッチはあきれつつUSBを手に取った。その時、赤いランプが灯り警告音が鳴り響いた。
これが尾宮の最後の抵抗の始まりである。
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