05.面白い情報
「へえ、なるほど。それで殺しちゃったと?」
店に持ち込まれた金銀財宝。それらを閉めた店内で物色しながら、蓮はにこやかに微笑んでみせた。そんな彼の疑問に、爽華は「いいえ」と否定を返す。
「面白い情報を得ましたので生かして返しました。最も、きちんと口封じはさせていただきましたがね」
「ひえー、おっかな! で、面白い情報って?」
「闇オークションのことです」
ぴたりと、蓮の手が止まる。軽く顔を上げた彼に、話を聞いていた神壊がカウンターにてミルク風味のカクテルを飲みながら話を続けた。
「生かした男の知人が闇オークションの主催者らしいんだよな。そんで、そのオークションにはあらゆる品が出品されるんだけど、今回の目玉商品がなんと、『ドール』なわけ」
「しかもただのドールではないようです。先見の明を持つ赤いメイデン。その名をペット」
「ペット……」
蓮は思考した。思考して、顔を歪め、忌々しいと吐き捨てる。
「嫌な名前」
「全くです」
爽華は短く肯定した。
「科学の力で発展を遂げる人間。人間を殺すために闇から生まれるシャドウ。人間によりシャドウ殺戮と愛玩用に作り出された俺たちドール……互いを怨み、利用し生きるこの世界の仕組みは、狂ってるとしか言えねえよなぁ」
ちみ、とカクテルを飲んだ神壊が、桃色とオレンジを合わせたような髪色を持つ少女から「飲みすぎないでくださいよ」と注意される。それに「わかってまーす」と返す彼は、「どうにか出来ないもんかな、この世界の仕組みは」と疲れたように息を吐いた。
「世界の仕組みなんて、それこそ神様じゃなければ変えられないんじゃない?」
嘲笑するように告げ、蓮はスマホを取り出した。そしてそれを操作し、ある人物へと連絡を繋げる。
prrrr……
prrrr……
三コール目で彼は出た。
「あ、もしもし? ごめん、仕事中に。ちょっとやって欲しい事があるんだけどさ。……うん。うん……いや、新しいドールの回収。博士は無事だよ。今日も元気にこもってる」
博士の単語が出た時点で通話相手が誰であるか悟った爽華たちは、何も言わずに金品を数えた。黙々と作業する彼らの傍ら、詳細を伝えた蓮は、通話相手からの承諾ににこやかに笑うと、「その場にいるものは殺していいから」と一言。
「ドールを敵に回すとどうなるか、思い知らせてやって、ゼロ」
通話相手が「わかった」と頷く。それに、「頼んだよ」と、彼らのリーダーは電話を切った。
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