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翌朝、今日は優衣に起こされるのでもなく自分で起きた。流石に毎日はやられない。てかやられたら死ぬ。

「あ、お兄ちゃんおはよ〜」

「おー、はよー。いただきますっと」

今日は昨日より余裕を持って朝ごはんを食べる。飯食いながらスマホいじってると親に怒られんだよなぁ……まぁ当たり前といえば当たり前だけどさ。てか昨日寝過ぎだな、今日より三〇分も寝たのか。どうでもいいことを考えながら、ご飯を食べ終え、歯を磨き、制服を……って昨日と同じだよ。なんなら登校するまでもほとんど同じ。今日は梨紗に怒られなかったくらいかな。凡庸な高校生なんてそんなもんだろ。

「は〜い、それじゃあ実力テストはおしまい、お疲れさま〜それじゃあ、早速席決め始めるよ〜」

実力テストは思ったより難しくはなく、数学は梨紗のおかげでバッチリだった。国語は結構得意な方だし問題ない。英語は……まぁもうどうしようもないかな……。今度教えてもらおう。

「先生、頑張ってくじ引き作ってきました!今日はそうだな〜じゃあ窓際から!みんな引いてってね〜」

てことは俺からってことね。俺は立ち上がって教卓まで行き、くじを引いた。ふむ……、一列隣の四番目か。あまり変わんねえな。全員が引き終わるまでやることもないのでとりあえず隼人のところでも行くか。

「よっ。実力テストどうだったよ」

「あ?まぁまずまずだな」

「なんだよつまんねえの」

隼人は案外成績が良い。梨紗ほどじゃないけど。そのせいでいつも俺は煽られてばかりだ。煽り方がウザいのでクソ腹立つんだよな……、と思っているとぱたぱたと足音がこちらに向かってくる。

「雄太くん雄太くん!ぼく雄太くんの前の席だって!」

にっこりん♪と音が出そうなほどの笑顔で語りかけてくる歩。ほんと可愛いよなこいつ。性別が女だったら間違いなく惚れていたことだろう。男なんすけどね。

「お、そりゃ良かった」

「雄太。私は左隣」

「マジか、結構集合したな」

「俺引いてくるわ」

隼人が教卓に向かって、くじを引いた。結果やいかに。

「って全然遠いんか〜い」

誰にツッこんでんだよ。だいぶ遠かったらしい。

「まぁまぁ、ドンマイ」

「は〜い、みんな引いたね〜!それじゃ、席に座ろう!」

里穂ちゃんが声をかけた。俺は梨紗と歩と、席に着く。あたりをパッと見回すと左がもちろん梨紗、前が歩。後ろあたま超可愛いな。勉強に集中できなそう。そんで右隣は……。

「あ」

「あ、ども」

奇遇なことに昨日と同じく、右隣にはあの女の子が座っていた。袖すり合うのもなんとやらというしここは挨拶するしかない!

「また隣だな。改めて俺は松島雄太、よろしく」

「そうですね。私は相原夢乃です」

おしとやかで良さそうな子だ…。さっきから左腕がチクチクするんだけどまさか封印したはずの邪龍が……ってそれは卒業したんでした。梨紗さん、シャーペン結構痛いです。

「は〜い、それじゃあ今日はおしまいね!明日は身体測定!女の子が午前で男の子が午後集合だよ〜。男子はB組で女子はC組集合だよ〜。で、明後日からは通常授業だからね〜それじゃあかいさーん!」

里穂ちゃんは教壇を降り……コケかけた。ほんとに大丈夫かな。

「じゃあ帰るか」

「うん」

俺と梨紗は帰路につく。

「そういえば昨日はありがとな、おかげで数学いつもよりできた気がするぜ」

「あれくらいなんでもない」

「まぁでもこれまでも沢山教わってきたしこれからも教わる気満々だからな……そうだ、今度なんかお礼してやるよ、何が良い」

「え、ほんと?……それならお買い物行きたい」

「お安い御用だ、そうだな……来週の日曜でどうだ」

「うん。大丈夫」

「じゃあ決まりだな。どこ行くか決めといてくれ」

「うん」

最近ちょっと怒られ気味だったしこれくらいはしてあげないとな。今度英語も教えて貰うつもりだし。……と思った矢先、梨紗の顔が豹変した。え、何すか怖い。

「でもツイッターでエッチな女の子フォローしたのは話が別」

「な、なぜお前がそれを……」

バカな……梨紗が機械オンチでツイッターなんか見られないと思ってフォローしたというのに……。ガラケーで見れるのん?進んでるな世界。

「家にパソコンくらいあるし雄太のアカウントなんて毎日見てるんだからすぐにわかる」

「なるほどパソコンか……それは盲点だった。……ん?毎日?」

「ば、バカ違う、今のは言葉の綾!」

梨紗は顔を赤らめて脛を蹴ってくる。ローキックのダメージが溜まってきてそろそろ赤コーナー松島雄太はTKOです。梨紗の恥ずかしがってる姿が見てて楽しくても痛えもんは痛え。

「と、とにかく分かってるんだから」

「わかった、今度パフェ奢るからそれでチャラにしよう、な?」

「応相談」

「へいへい……」

言い合ってるうちに……いや一方的に蹴られているうちに家の前に着いた。

「今日は帰ってきてんの?」

「うん、今日は大丈夫」

「そか、そんじゃな」

「バイバイ」

俺と梨紗は短い挨拶をして家の前で別れる。……後でゆめこさんのアカウントはフォローを解除しておこう。

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