第9話 - 資質 -

-休み時間-


ローザとその友人2人の3人が真剣な顔つきで話をしていた。3人とも編入生だ。


「じゃあローザ、今日でいいのね?」


「ええ。マーヤさんとカズハさん、この2人を昼食に誘います」


 ローザの作戦はこうだった。浮動票であり、編入生の男子の人気が高い、カズハを自分の支持者に組み入れたい。しかしカズハ単体では、まずなびいてくれない。


 そのためにまず外堀である、友人のマーヤの好感度を上げることにした。カズハの支持が得られれば、男子の票もいくつかが傾き、投票で優勢になると目論んだのだ。


「カズハさんの言質が得られれば、あとは男子にタレ込むだけね」


 昼休みとなった。マーヤがカズハを呼びに席にくると、先ほどの3人組がその席前に現れる。


「お2人とも、これから昼食ですか? よろしければ、

 私達とご一緒にどうでしょう?」


ローザから誘いが来る。赤に近いウェーブのかかった髪に、凛とした顔立ち、165cmくらいあり、淑女もとい貴族代表といった感じだ。実家も伯爵家のようだ。


「ふっ マーヤを倒したようね」


――!


 一瞬、3人の顔に緊張が見られた。マーヤへのプッシュを懐柔と見られた、と思ったのだろうか。


「しかしキャツは四天王の中でも最弱。まずはこの政勝を倒してみるべきね」


言ってみたかったセリフをかまし、適当に隣の政勝を指さす。


「なんで俺が戦う流れになってんだよ。てかあと1人誰だよ。

 俺、お前、アンデル、もう一人は?」


「……クリス君よ」


「嘘つけ今思い付きで言っただろ。お前とクリスのどこに接点あんだよ」


――あるのよ。かいわそうだから黙っててあげるけど。


「――こほん、木藤君も、一緒にいかがかでしょう?」


脱線を正し、ローザが再び催促する。


「いいよ。どうせ俺も同じ食堂だ」


「内心ハーレムに喜々とする喜々藤であった」


「もうまじお前ほんと黙って」



 食堂へ向かった。近隣の学生全体が使用するため、かなり広大で、メニューもほとんど賄える。大き目の卓に6名で着き、昼食を取った。


 ローザは初めてとなるカズハと、一人男子となった政勝が浮かないようにに器用に話を振り、場を取りなす。自然体で貴族ならではの手腕に関心した。そして野外活動関連の話題には一切触れず、解散となった。


「ローザさんいい人でしょ?」


 マーヤが感想を振ってきた。いい人かどうかは不明だが、リーダーとしての気質は十分備えているように思えた。


 帰り、マーヤは職員室に呼び出しを受けたようだ。一人で帰ろうとしたが、チラリと噂の対抗馬、レミの姿が見えた。相変わらず末端がドリルのような髪型をしている。


――この際、レミの器量もみてみればいい。

 実際自分の目で見れば、投票も悩まずに済む。


「レミさん、またなの? クスクス。モテるのね」


「ええ。ちょっと困っていますわ。しかし誠実に対応せねば。

 相手もこの日まで思い悩んだのかもしれませんし、我が家の家訓でもあります」


いつしかカズハも貰った、スキを突き合いたい男子からの手紙を持っていた。雰囲気的に、断りを入れに行くようだ。


――ちょうどいい。私のほうがここでスキを突いて、

 初日に影が薄いとか言われた意趣返しでもしてやろうかしら。


カバンをごそごそする。素材は全て揃っていた。

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