第15話 - 依頼2 -

 棟梁ゼブが内容の確認にはいる。ポイントは3つだった。


 1つ目、依頼は地上げ屋シュウの討伐。シュウ本人の遺体、もしくは”血のリプレイ”の提出。報酬は青の龍の角の結晶。


 血のリプレイとは、相手を倒した際に、その血を魔導印紙に採血することで、後ほど、どう倒されたかが再生できる代物だ。巷でもよく使用される。


 2つ目、棟梁ゼブ側が、シュウと接触できるまでの、お膳立てを行う。探し出さなくてもよい。


 3つ目、依頼による負傷や死亡が起こっても、全て自己責任とする。


「魔導契約書を持ってくる。悪いが客間はねえ。その辺の材木にでも座っててくれ」


 しばらくするとゼブが契約書を持ってきた。

マーヤが魔筆でサインを行う。契約成立だ。


「準備はすぐにできる。明日の日没後、ここに来てくれ。その深夜に決行だ」


 幸い、その次の日は休みだった。大まかな作戦の流れの説明を受ける。それに合わせて準備してきて欲しいと伝えられた。


 ゼブと別れ、城下町のファストフードで昼食を取る。残念ながら城内の敷地外なのでカードは使えず有料だ。


「午後は、ちょっと現地の下見に行きたいわ。おそらく夜に戦闘になる。

 頭にイメージを入れたい」


「うん。そうしよう」


 食後、移動を始める。城下町を抜け、東に延びる街道だ。2キロほどでほぼ街並みはなくなり、素っ気ない草原になり、平坦で広いが木の密集箇所も点在していた。


「マーヤ、一つ覚えておいて」


「?」


「どんな流れになっても、最後のシュウ本人へのトドメは、

 あなたが刺すのよ。これは、マーヤの試練だから」


 !


「……うん、わかった」


 意思は固そうだったが、これが意外と難しい。初めての討伐のときは、手が震える。乗り越えねば、達成はない。まして相手はマーヤ本人が直接恨みを持つ人物でもない。


 だが貴族を目指す立場であれば、いずれ討伐に関与したり、命じたりすることもあるだろう。遅かれ早かれやってくる試練だ。避けては通れない。


――おそらく、できないだろう。

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