第15話 ムーンライトホールにて
月明かりの下で【ワーウルフ】が集会をしていた。
「旅人の僕がこんな大きな集会に参加してもいいのかなぁ?」
そんな集会場の注目台に、照れ臭そうにしているナイトの姿があった。
「良いに決まってんだろっ旅人だろうがお前は立派な種族の一員なんだからよ」
そう言うと今まで朗らかな顔から真剣な顔になってワイルドは話す。
「で、お前に聞くがフランを襲った輩は一体なんだ?お前等はそいつ等を倒していると聞いたが、他にもいるのか?」
ワイルドの質問にナイトは答える。
「フランを襲った奴はトラクトって呼ばれているんだ。トラクトは光が好きでシロやフランのような心の綺麗な者達を襲っているんだ。アイツらの正体はまだ分らないけど、僕たちは倒しているんだ」
「ほぅ………」
ワイルドは何か考えると口を開く。
「これはオイちゃんの意見だけどよ、【ワーウルフ】は稀に五感全てが優れて生まれてくる場合がある。そして、更に低い確率で第六感っちゅうのを持って生まれる【ワーウルフ】もいる。んで、その第六感がある【ワーウルフ】はここにいるオイちゃんの相棒でサブリーダーであるプリマネだ」
「そういうのいらないです」
「はいはい…んでプリマネの第六感によるともうすぐ…明日に魔王軍が攻めて来るらしい。シロ達とあの変な輩は何か関係がしてならねぇんだ。いや、疑ってる訳じゃねぇんだけどな?もしかしたら魔王軍に加勢する新しい種族の奴かもしれないとオイちゃんは考えている。オイちゃん達に力はあっても知恵もそんなにある訳でもないんだ。また、フランの二の舞が起こる前に対策を立てたい。………そんで、お前もその……俺達と共に戦ってくれないか?」
後半言い淀んだがワイルドだったが、そんなのお構いなしとばかりにナイトは即答する。
「うん。どの道僕は君達を守るつもりだから、全力を尽くすよ」
それを聞いて一同は拳を高々に挙げたり、遠吠えをした。
「んじゃあ、早速なんだがナイトは明日の朝俺達と一緒に行動してほしい。と言っても、班に分れてあの輩の討伐なんだがな」
「全然構わないよ~僕はドコの班と行動すればいいかな?」
「そうだな………」
腕を組みながら悩むワイルドに対して、ナイトはニコリと笑いながら穴の開いた天井から見えるトラクトに向って跳び、腕を振るいトラクトを捕まえて一言。
「僕が出来る事は全力でするからどこでもいいよ」
その言葉を機に次々とトラクトが下りてきて早朝まで乱闘したのはまた別の話————
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