第13話 女神降臨
「よし、俺のターンだっ」
シロとナイトは動けないでいるトラクトに思うがままに攻撃する。
相手がカウンターを使う事が分った今、シロは不敵な笑みを浮かべながら剣の本能も借りながらトラクトのカウンターをかわして斬る。それはナイトも同様だ。
トラクトの攻撃が来る前に蹴り上げては別のトラクトに向って蹴るを繰り返して次々と倒す。
しばらくしてトラクト達が倒れにくくなる。
「我らに力よ…」
小さい声ではあるが、メイジの声でまた体中から力が湧き上がる感覚になる。
「おっしゃあスキありぃ————————————」
シロが調子良くトラクトに飛び込んで斬りつけようと剣を振りかぶると同時に一筋の光がトラクトを貫通させた。それはその場にいたトラクト全員に起こっていた。
そしてトラクトはその光と共に消え去った。
何が起こったのか分らないままシロは地面に着地する。
「あらごめんなさいね。折角のいいところが台無しね」
どこからか穏やかな声が聞こえると、空から女神そのものがシロの前に降り立つ。
「まさに…女神様っ!」
「大丈夫だった!?ミカエル様呼んで来たよ」
ミカエルと呼ばれた女神の横からぴょこっと姿を現したフランはシロ達の前を飛ぶ。
「フラン!ありがとう」
フランは嬉しそうに宙を舞う。
「シロさん、ナイトさん、メイジさん。フランを助けてくれてありがとうございます。初めまして私はこの森全域の守護神、ミカエルです。よろしくお願いします」
「ど、どうも……」
「さ、早く神殿に向いましょう。フラン、皆に宴の準備をさせて頂戴」
「はいっミカエル様」
そしてフランはまた何処かへと飛び去る。
ミカエルは手をひらひらと振って見送るので、シロも手を振って見送った。
フランの姿が見えなくなるとミカエルはシロ達に向き直り笑顔で言う。
「あなた達がこの世界の外の住人という事は存じておりますので、あまり…その、怖い顔しないで下さい」
「それは…申し訳ありませんでした。守護神様。こちらにも自身の正体を隠す理由がありますので、出来ればこの事を知らない者には秘密にしてくれませんか?」
「こちらこそお願いしま~す」
そう言ってナイトとメイジは頭を下げる。
「勿論です。あなた達は旅人として滞在してもいいようにさせてもらいます。」
「ありがとうございます」
「ありがとうございま~す」
「MMG《ミカエル様マジ神》……」
ミカエルは微笑むとシロ達を宙に浮かせ、森を抜ける。
「長旅で疲れたでしょう?神殿まで連れて行きますね」
「うひょーマジ神っ!」
「うわぁ空を飛ぶってこんな感じかぁ」
「こんな高く飛ぶの初めてかもしれないわ」
三人それぞれ空中浮遊に胸を躍らせ、目的地の神殿に着くまで大人しく待つ。
神殿にて
あれからゆっくりミカエルの護っている森や周辺の建物などを聞いて有意義な観光をするシロ達だが、終点が来たようだ。シロ達の体がゆっくりと下の木々の生えてない場所に着地するようだ。
「ミカエル様ぁーおかえりなさーい!」
フランが迎えに来てくれた。
「あっ!シロ達飛んでる~どう?すごい?」
「あぁ!実際に体験出来てスゴイ嬉しいしめっちゃスゴイよっ」
「本当?やったぁ!」
フランはクルクルと舞い上がる。
「フランっ危ないよっ」
そう言われフランは動きを止めたが、すでに遅く、緑色の浮遊物がフランに直撃する。
「っ…ごめんフラン…風に乗り過ぎた…」
ぶつかってきた緑色の浮遊物はどうやらフランと同じ妖精だったようでフランを抱えて謝る。
「ジルつこちらこそごめんなさい……」
「フラン……今度は気をつけましょうね。ジルも」
二体の妖精は声を揃えて「はい」と答える。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます