第40話 ダンジョン攻略 強敵
一行は7階へと降りていく。
6階はジャングルの様だった。
しかし7階は城の様な作りだった。
とても大きな通路が続いている。
広さはどれ位だ?
とにかく広いそんな通路だ。
・サリス
「ライオットさんマップに何も映らないわ。」
・「マップ不干渉地帯って事ですかね?ゲームだとボスの部屋とかそうなりますよ。ひょっとしたらここが最下層なのかもしれませんね。」
マルチ以外の全員に緊張が走る。マルチと俺はダンジョン初めてだしね、危険度がさっぱりわからない。
・サリス
「確かに雰囲気は最下層ね。
もしもそうだったら強敵が居るはずよ。」
・セリス
「その分『原初の果実』を手に入れられる可能性が増えるんだけどな、頑張ろうぜ。」
・???
『グォォォォ!』
突然、凄まじい鳴き声が聞こえる。
・ハリス
「早く来いってさ、向こうさんやる気満々だぜ?」
・ミミ
「今まで暇だったからアタシもやる気満々だよ。」
みんなのボルテージが上がっていく。
ここまで来て戦わずに帰るなんて出来ないよな。
冒険者なら冒険しなきゃね!
・「いつでも大丈夫です。」
・マルチ
「頑張る。」
・リーシュ
「回復は任せて下さい。」
・セリス
「よし、行くぞ!」
・サリス
「ハリスさん先行して、ミミはサポート、私も行きます。少し離れてセリスとマルチ、リーシュとライオットさんは更に後ろで戦闘が始まったら荷物を端に寄せて置いて。そのまま戦闘に参加してください。」
・全員
「了解!」
慎重に進み出す。
今までとは違いお互いの距離を開けて進む。
緊張が張り詰める。
進むにつれて空気が重くなっていく気がする。
見えない何かに押し潰されそうだ。
そして、遂に敵影が薄っすら見え始めた。
・ハリス
「おぉぉぉぉ!」
・ミミ
「はぁぁぁぁぁ!」
・ダンジョンボス
『グォォォォ!』
先頭のハリスさんの声が聞こえた。
遂に戦いが始まった。
・リーシュ
「ライオットさん荷物はこの辺りで。
私達も合流しましょう。」
リーシュさんが俺に指示をくれる。
急いで通路の端に向かい荷物を置く。
端に移動するだけでも結構な距離がある。
・「よいしょっと、これで良し。じゃあ行きましょう。」
2人は走り出す。
敵影が少しずつ鮮明になっていく。
魔法の閃光や爆発の煙から規模を推測する。
敵はかなりの大きさだ。
通路がでかいのも頷ける。
そしてやっと合流する。
・マルチ
「ライオット、敵は強い。それにでっかい、どうすれば良い?」
・「落ち着くんだマルチ、まだ始まったばかりだ。先ずは敵の特徴を把握、そして弱点になりそうな箇所や敵の癖を見抜け。焦っちゃダメだ俺が付いている。」
マルチは俺を見て深呼吸をして頷く。
よし、目つきが変わったな。
・リーシュ
「ライオットさん敵はキマイラです。
しかも亜種、間違いなく強敵です。」
キマイラね、ゲームではお馴染みの敵だな。
亜種ならば上位種と言うよりも何かしらに特化、又は進化した敵って事になるよな?先ずは基本情報の収集からだ。
・「リーシュさん、キマイラについて何でも良いから教えて。」
・リーシュ
「わかりました。キマイラとは異なる魔物を魔の錬金術で重ね合わせた融合生物と噂されています。尻尾は蛇で顔はウルフとトカゲの2本から形成されていて雷を操り、火を吐き、毒を撒き散らす。遭遇したら逃げる事を選択する様にと軍では強く言われています。そして1番厄介な能力は再生能力です。」
・「成る程、近づいて攻撃するのはキツそうだね。遠距離でも再生があるから火力が低いと倒せないって所かな。」
・マルチ
「どうすれば良い?」
・「そうだな、闇雲に攻撃しても拉致があかない、とりあえず俺たちは敵を観察だ。」
俺とリーシュさん、そしてマルチは戦場から少し離れた所で様子を伺う。
・ハリス
「くっそ、アイツの魔法が厄介すぎる。ミミちゃん余り突っ込みすぎるなよ。」
・ミミ
「わかってる!せいゃ。」
・「ミミさんの『火の拳』が余り効いていない、ありゃ炎耐性持ちだな。そう考えると雷も効きにくいと考えて良いだろう。倒すとしたら氷、水、風、無属性といった所か?」
俺たちの参戦に気付いたサリスさんがやって来る。
・サリス
「ライオットさん来たわね、どう思う?」
・「一つお願いがあります、キマイラの尻尾を切り落として離脱してください。その際は風属性は使わずにお願いします、敵の再生能力の性能を知りたい。」
・サリス
「了解!」
サリスさんが目の前から消える。
『超加速』使いこなしてるな。
観察しているとセリスの魔法も効きが悪い。
・「セリス、氷魔法を使え、奴に火と雷は効きにくい。ミミさん『火の拳』を使うならウルフ頭の顔にお願いします。」
俺は叫んで指示を出す。
トカゲ頭が火を噴きウルフ頭が雷を操っている、それならトカゲ頭に火は効きにくいんじゃないかと推測したんだ。
次の瞬間キマイラの尻尾が切れた、そのままサリスさんはキマイラの背中を数回斬り付けて離脱する。
・キマイラ
『ギャァァァ!』
しかし尻尾が地面に落ちるとほぼ同時に尻尾が再生する、背中の傷は再生しているが他に比べると極端に遅い、俺は情報を集めて整理していく。
だがまだだ。
まだ足りない。
・「マルチ、水属性で両頭と尻尾の3カ所を撃ち抜いてくれ、リーシュさんは『魔弾』を奴の横っ腹に。」
・リーシュ
「わかりました。」
『魔弾』
・マルチ
「任せて。」
『スプラッシュ・ニードル』
2人の魔法がキマイラに直撃する、横っ腹に直撃した魔法は余り効果はない様に見える。一方で『スプラッシュ・ニードル』は上手くウルフ頭を撃ち抜くがウルフは超再生ですぐに復活する。
トカゲの方は再生に時間が掛かっている様だ。
尻尾部分も超再生で即座に回復する。
・ハリス
「ナイスだ!食らえ」
ハリスさんの斬撃がキマイラの腹部に入る。
かなり深く斬れた、出血している。
キマイラの血が青いけどあれって血だよな?
傷口は徐々に塞がっていくがやはり遅い。
・「後一息だ、もう少し。マルチとリーシュさん、俺の援護を頼む。」
俺はキマイラに向かって走り出す。それに気付いたセリスが魔法で援護を、そしてミミさんが反対側から攻撃をしてくれる。
ハリスさんは俺にヘイトが来ない様にしている。
やはりこのパーティーは凄い。
これなら!
俺はキマイラの懐に入り込み。
右腕で軽く殴る。
そして逃げる。
・キマイラ
『グガァァァァ!』
キマイラの雷が俺を襲う。
・「うわぁぁぁぁぁ!危なっ、やめてぇぇぇぇ。」
俺は一目散に逃げ出した。
それを見てサリスさんが飛んでくる。
・サリス
「何か掴んだのね、教えて。」
相変わらず察しが良い。
サリスさん、恐ろしい人だ。
・「わかった事を伝えます、まずアイツは物理耐性を持っています。物理耐性、魔法耐性、火耐性、雷耐性、超再生。しかし一部分は魔法に弱く、弱点を突くと再生能力が低下する、そんな所でしょう。」
・サリス
「ならやっぱり斬撃が有効なの?」
・「えぇ、斬撃も弱点です、と言いたい所ですが恐らくダミーでしょう。」
・サリス
「ダミー?何故そう言えるの?」
・「リーシュさんから聞きましたがキマイラは造られた生物らしいですね、もしもそれが本当ならばあんなに判り易く弱点を曝け出すはずがない。何よりハリスさんが積極的に攻撃をしていない事がそれを裏付けています。恐らく違和感を感じているのでしょう。」
・サリス
「物理耐性に魔法耐性、斬撃弱点ダミーと超再生か。打つ手が無いわね、逃げるしか無い?」
・「いえ倒す方法があります、多分これしか無い。造られた生物だとしても必ず核が存在する、そこは何よりも防御力を上げている筈だ。先程の攻撃で怪しい場所を4ヶ所見つけました、俺の魔力を流して奴の体内を調べてみたんです。体内に魔力が集中している場所が4ヶ所、そして全て大きな流れで繋がっていた。
ひとつひとつ核の属性が違う、そして核付近を弱点で突くとその流れが一時的に鈍くなる。超再生が遅くなるのは魔力が乱れるからでしょう、つまり4ヶ所を同時に撃ち抜けば倒せる。俺はそう仮説をたてましたがどう思われますか?」
・サリス
「、、、間違ってはいない。私もそう思います、でも場所が判らない上に同時に撃ち抜くのはかなり難しわ。」
サリスさんが考え込む。
・サリス
「そうか弱点を突けば良いのね、超再生が遅くなればタイミングが遅れても倒せるはずだわ。」
・「俺もそう考えました、再生のタイムラグがあるのならば弱点を突ける場所と突けない場所で撃ち抜くタイミングをずらせば良い。先に弱点を突いてからすぐに弱点では無い場所を的確に撃ち抜けば良い、そう思います。逆だと超再生で回復されてしまうので。」
・サリス
「もうそれに賭けるしかないわね。
弱点属性と場所の指示をお願いするわ。」
・「わかりました。マルチとリーシュさん、それにセリスとサリスさんで核を撃ち抜いて下さい、俺がそれぞれの場所に印を付けます。」
・サリス
「わかったわ、じゃあセリスを連れてくるから少し待ってて。」
サリスさんがまた目の前から消える。
そしてセリスを抱き抱えて戻ってくる。
・セリス
「姉さんどうしたんだ?倒せないならそろそろ撤退も考えなければ、アタシはどうすれば良い?」
セリスも感じていたんだな。
このままだと負ける。
・「これから指示を出す、今から俺がアイツの弱点に印を付けてくる。全部で4カ所だ、狙う場所と属性も教えるからしっかり覚えてくれ。まずマルチは水属性でトカゲの方、セリスは氷属性でウルフの方だ。使う魔法は斬撃か砲撃で撃ち抜くか斬り裂くかのどちらかで頼む。サリスさんは風で尻尾の蛇を、リーシュさんは無属性で奴の胴体を撃ち抜いて欲しい。俺が奴の腹を切り開くので合図は俺が奴を切り裂いたらでお願いします。全力で魔法を放ってください、チャンスは一度きりで一瞬しかない、出来れば同時が好ましい。
だが絶対にリーシュさんの攻撃を最初に当ててはいけない、詳しくはサリスさんに聞いてくれ。以上だ、何か質問は?」
・セリス
「いや無い、お前に賭けよう。」
・マルチ
「ライオットを信じる。」
・リーシュ
「やってみせます。」
・「サリスさんこちらの指示は任せます、必ず核を撃ち抜いて下さい。」
俺はサリスさんに指示と説明を任せ、急いで前衛の戦いに参戦する。
・ハリス
「どうだい?くっ、勝てそうかい?」
敵の攻撃を防ぎながらハリスさんが聞いてくる。
・「指示は出してきました。
後は俺次第です。」
・ミミ
「何すれば良い?何でも言って。」
尻尾の攻撃を避けつつミミさんが聞いてくる。
相手は強いがこちらの防御の方が上だ。
・「ミミさん、コレを。」
俺はキマイラの攻撃を避けつつミミさんにナイフを3本投げて渡す。
・「俺が奴の体に傷を付けます、その場所にナイフを突き刺して下さい。出来るだけ根元までお願いします。」
・ミミ
「了解だよ!場所を教えて。」
俺は敵の攻撃を躱し相手に触れる。
魔力を流し相手の体内を調べる。
よし、核の場所は変わってないな。
・「行きます、ミミさん宜しく!」
俺はウルフ頭の目の前に出る。
ウルフ頭は口から雷撃を出して攻撃してくる。
・「潜り込めぇぇ!」
俺は雷撃の攻撃を左腕に受けつつも敵の懐に潜り込み首の付け根に印をつける。手に風魔法を纏い×印をつける様に斬り付け、ミミさんがナイフを突き刺しやすい様に思いっきり顔を蹴り上げる。
・ミミ
「そこね、セイッ!」
ミミさんが寸分の狂いもなくナイフを突き刺す。
取れない様に根元まで突き刺してくれる。
いいぞ、次はトカゲ頭だ。
コイツも弱点は首の付け根にある。
手順は同じだ。
先程やられた左腕に激痛が走る。
・「ぐっ、、、くそっ、痛みを忘れろ、今だけはぁぁぁ」
俺はトカゲ頭に潜り込、、、
トカゲ頭は察知していたのか噛みつきに来た。
ぐぅぅ、避けなければ死ぬ。
・ハリス
「おらぁ、『ショックバッシュ』」
ハリスさんが俺の前に出る。
何だ?盾で敵をかち上げた。
あれはシールドバッシュって技だな。
トカゲが痺れている。
これは雷属性だ。
今がチャンスだ!
・「ミミさん、ここ!」
先程と同じ様に×印を付けて蹴り上げる。
するとミミさんがナイフを突き刺す。
次は尻尾だ!
俺は剣を取り出してキマイラの後ろに回り込む。
・ハリス
「『挑発』こっちだ化け物!」
キマイラが完全にハリスさんの方を向く。
ナイスだハリスさん!
・「食らえ『ウインドブレード』」
俺は尻尾を切り落とす。
そしてシッポの付け根に×印を付ける。
・ミミ
「よいしょ!」
的確にナイフが刺さる。
流石ミミさんだ寸分の狂いもない。
・「ミミさんお願いします、キマイラを空中に蹴り上げて下さい。ハリスさん、ミミさん、俺が奴を切り裂いたら即離脱で。」
・ミミ
「オッケー!ハリス、奴を止めて。」
・ハリス
「任せておけ!」
ハリスさんは盾を下ろして両手を合わせる、キマイラは無防備なハリスさんに鋭い爪で攻撃を加えようとしてくる。
ハリスさんは頬に傷を負いつつ躱す。
そして、
・ハリス
「痺れろ『ショック・ウェーブ』」
キマイラの動きが止まる
・ミミ
「これでも食らえぇぇ!」
ミミさんがバク宙しながら顔を蹴り上げる。
サマーソルトだ、カッコいい!
着地と同時にもう一回転しながらもう片方の顔もサマーソルトで蹴り上げる、更に蹴り技で両方の顔が上がりバランスを崩したキマイラの懐に潜り込む。
・ミミ
「さぁ行くよ!『鳳凰舞昇拳』」
炎を纏い下からアッパー、そのままジャンプしながら横回転して殴り上げている。
すげぇ、カッコイイな。
このチャンスを生かす!
俺は空中のキマイラの腹に向かって飛ぶ。
・「切り裂け『超振動ブレード』」
俺はキマイラの中心よりやや後ろを切断しない様に核直前まで切り裂く、そして『空中徒歩』と『超加速』を使いその場を離脱する。
ミミさんとハリスさんも既に離脱している。
・サリス
「今よ、放って!」
『スプラッシュ・カノン』
『氷刃』
『ウインド・バレット』
『魔弾・爆』
号令と共に4つの異なる魔法が飛んでくる。
手加減無しの魔法だ。
巻き添え食らうぞ。
早くここを離れろ!
ミミさんの攻撃で空中に浮き、さらに体を切り裂かれたキマイラは動けない。
そして魔法が命中する。
マルチの魔法『スプラッシュ・カノン』
トカゲの頭ごとナイフの部分を貫く。
同時にセリスの『氷刃』
ウルフの頭に刺さったナイフごと斬り落とし、更に魔法ダブルの効果で切り落とした頭を真っ二つに切り裂く。
サリスさんの『ウインド・バレット』
蛇の付け根、ナイフの刺さった部位を的確に貫いていく。
そしてほんの少しだけ遅れてほぼ同時にリーシュさんの『魔弾・爆』が着弾。
いつの間に新技が、、、
キマイラの切り裂かれた腹の中で『魔弾』が爆発し核もろともキマイラの体を吹き飛ばす。
すげぇ威力だ、、、。
そんな事を考えていた俺はキマイラにやられた左腕の痛みでバランスを崩していた、そこに魔法の爆風まで加わる、ダメだこのまま落ちる。
・ミミ
「とうっ!」
ミミさんが空中でキャッチしてくれた。
そのまま俺を抱き締めながら着地。
た、、、、助かった。
・ミミ
「ライオット大丈夫?死んじゃやだよ!」
ミミさんが泣きながら俺を抱き締める。
大丈夫ですよ、左腕に電撃を食らっただけですから、あれ?その割には体が動かないぞ。
・ハリス
「ライオット君、大丈夫か!
リーシュさん来てくれ。」
ハリスさんが俺を見て慌ててる。
リーシュさんがやってくる。
マルチ、なぜ泣いてる?
セリスまで顔が青いぞ?
一体、、、何が、、、起きた、、んだ?
俺の意識はそこで途絶えた。
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