第39話 ダンジョン攻略 地下6階

~ダンジョン攻略3日目~

 

ダンジョンで寝起きする事に大分慣れてきた、どんな事でも慣れるもんだね。俺が起きる頃には全員が起きて各々準備を進めていた。

 

・セリス

「おはようライオット。今日から未知の階層探索だからみんな落ち着かないみたいで早く起きちまった。アタシもなんだけどな、ライオットはいつも通りで頼もしいぜ。」

 

いえ、何も知らないだけです。

恐怖心は余り無い、無知ってたまに便利。

 

・セリス

「さあ朝飯を食べてくれ、アタシ達は既に食べたからライオットが食べている時に今日の予定を話す。」

 

セリスに促されるまま朝食を取る。

朝はあっさりスープとパンだった。


スープの味付けがパンに合う。

流石はハリスさんだ。

みんなが俺を見詰める中で食べる朝食。

落ち着かないです。

 

・サリス

「じゃあ聞いて下さい。今日から6階の探索に入りますがここからの情報は全く無いので少しずつ進む事にします。敵の情報、ダンジョンの構造、全てが謎ですから慎重に行くわ。」

 

・マルチ

「ライオットのマップがある。」

 

緊張の走る場をマルチが破壊する。

その場の全員がマルチをみた。


マルチは大きく頷いた。

 

・ハリス

「ダンジョン構造と敵の位置に名前。

この3つの情報は大丈夫みたいだな。」

 

・セリス

「確かにそうだな、何だか不安が少し無くなった。ライオットがいると色々と助かる面が多いな。」


リーシュさんが手を挙げて発言をする。

 

・リーシュ

「ライオットさんのおかげで遠距離の援護砲撃が出来る様になりました。戦略にお役立てください。」

 

・サリス

「リーシュも攻撃魔法が出来るの?回復特化だから無属性じゃなかったかしら。ひょっとして昨日ライオットさんと話して新しい属性を使えるようになったの?」

 

・ハリス

「新しい属性?いまだに信じられないがそんなに簡単に覚えれるものなのかい?」

 

・マルチ

「ライオットは天才で私の騎士。

何でも出来る。」


何故かマルチが渾身のドヤ顔をする。

 

・リーシュ

「私は無属性の攻撃魔法を教えて頂きました。試してみましたが威力は申し分ないです、既に5階で何回も使って調整も可能です。」

 

・セリス

「ありがたい、しかし今回のダンジョン探索で信じられないくらいパーティーの強化が出来てるな。これもライオットの功績が非常に大きい、また良い道具が出たら譲るよ。」

 

・「気にしなくていいですよ、魔法石が大量に手に入ってますし。俺にとってはそっちの方が有難いです。まだまだ試したい事もあるので石はどれだけあっても足りないくらいなんですよね。そう考えると俺の貰った【魔法鞄】は神アイテムですね。」

 

・セリス

「そうかそりゃよかった、6階からはどんな敵が出るか解らないが頼りにしてるぜ。」

 

・サリス

「じゃあ進みましょう、とりあえず先頭はハリスさんで行きます。2番目に地図持ちのセリスとミミそしてリーシュの三人で、次に荷物持ちライオットさんとマルチ、殿は私で行きます。戦闘になったらリーシュは下がって安全確保、ミミはハリスと共に戦闘参加、セリスはサポートでお願い。

私とマルチは後ろを警戒しつつ臨機応変に動くわ、ライオットさんは敵の観察と気が付いた事があればすぐに教えてください」

 

・全員

「了解」

 

そして6階に続く階段を下りていく。

6階は今までと違い通路や部屋は無かった。


一言でいうとジャングルだな。

成る程、これは厄介だ。

軍の調査がここまでだって言うのも頷けるな。

 

・セリス

「これはかなり厄介だな、進行速度は遅めで行く。ライオット、地図はもう一つ作れるのか?」

 

・「解らないけどやってみようか?

同じような布ってある?」

 

・リーシュ

「あと一枚ならありますよ。」

 

リーシュが俺に布を渡してくれる。

  

・「じゃあやってみるね。

『固定、マップオープン、展開、投影』」


俺は固定した布に魔力を流す。


・「普通に出来た、そっちのマップはまだ使えてる?」

 

・セリス

「少し薄くなったが十分に使える。」

 

薄くなった?つまり何枚も作ると薄くなっていって最終的には消えてしまうのか。でも2枚も作れれば十分すぎるくらいだよな。

 

・サリス

「じゃあもう一枚の地図は私が持つわ。

ふむ、今のところ敵はいないわね。

階段の近くだからかしら?

6階を囲う様に壁はあるみたい。

何か異変があったら調べてみましょう。」

 

こうしてパーティーは進んでいく。

進行速度はゆっくりだ。


足場が悪い、視界も悪い。

少し霧が掛かっている

どこから襲われるかも判らない状態だ。


感じるストレスがすごい。

どこを進んでいるかもどっちに進んでいるかも分からなくなる、普通のPTならね。俺達にはマップがあるしマップには方角も付いている、更に敵の居場所も直ぐに分かるから激ムズのダンジョンが普通の難易度に変わる。


後は敵の強さ次第だかな。

 

・サリス

「本当に便利ねこのマップ、パーティーに1人ライオットさんが欲しいわ。」


地図を見ながらサリスさんが呟く。 

無理言わないでください。

 

・セリス

「む!前方に敵2だ、名前はウーツイーターとハイラッキー。全く情報がない状態で名前だけが解っても攻略は出来ないな。」

 

ラッキー、、、ラッキーね。

どこかで聞いた気がする。

 

・マルチ

「ラッキーなら知ってる、たぶん木の上に居るうるさい魔物。」

 

あいつか、確か猿型の魔物。

特訓の時に戦ったノートリアスと一緒に居た奴。

名前にはハイとついているから上位種かな?

 

・セリス

「ふむ、では木の上に注意して進もう。

もう少し先まで行って作戦を練る。」

 

一行はゆっくりと進む。

肉眼では見えない位置だが、

セリスが止まる指示を出す。

 

・セリス

「これ以上は感知される心配があるからここで作戦を練ろう」

 

・サリス

「そうね、じゃあ作戦を。まずは遠距離から魔法で奇襲します、その後は敵が来たらハリスは挑発でミミが迎撃、私は木の上を見張るわ。セリスはマップで周辺を警戒していて、マルチは地上の状況を観ていて臨機応変に動いて下さい。ライオットさんいつも通り敵の分析、次回からの敵に役立てます。」

 

サリスさんの指示が飛ぶ。


・「俺に提案があるのですが良いですか?」


・サリス

「何かいい作戦でも思い付いた?」


一番下っ端の俺の意見も聞いてくれる。

本当に良いPTだなぁ。


・「マルチ、範囲攻撃で行こう。幸いここの木はかなり背が低いからセリスは『召雷』で範囲攻撃を頼む、とりあえずこれで様子を見てみたい。」

 

・セリス、マルチ

「了解」

 

・サリス

「じゃあお願い。ハリスさん準備を。」

 

・ハリス

「いつでも良い!」


・セリス

「じゃあ行くぜ、マルチ合わせろよ。」

 

『召雷』

 

『エレメントバースト』

 

ズドーン

 

霧の向こうで魔法が着弾する音が聞こえる。

 

・『ハイラッキーを倒しました』

・『ウーツイーターを倒しました』

 

・サリス

「、、、、、倒したわね。」

 

・ハリス

「、、、、倒しましたね。」

 

・「何もわかりませんでしたね。」

 

・セリス

「まぁ良いじゃねぇか、しかし魔法の威力が2人とも上がってるな。やっぱり装備品って大事だ、とりあえず進もう。」

 

マップのお陰ですべての敵に奇襲が掛けれる。

あっさりと倒してしまい敵の姿すら見えない。


遠距離攻撃が強いって良いね。

 

・ミミ

「今日もする事なさげ?

安全だから良いかぁ。」

 

・リーシュ

「そうですね、安全が第一です。この先どんな敵がいるか解りませんし、体力を温存出来るのは大事なことです。緊張感はそのままで進みましょう。」

 

一行は進む。


相変わらず霧で視界が悪い。

足場も悪い。


しかし危険は少ない、敵がどこから来るかの心配はない。お陰で進行を止める必要がないのでいつの間にか反対側の壁まで来ていた。

 

・ハリス

「とりあえず横断出来たって事かな?まだ下り階段の位置が解らない、ここからはどうする?」

 

・セリス

「そうね、マップが2枚あるけど二手に分かれるのはあまり得策ではないわ。時間が掛かるかもしれないけど全員で進みましょう、とりあえずどちらに行くかね。」

 

ふむ、、、安全第一だからね。

もう少しマップが大きかったら良いんだけどね。


、、、、大きくか。

 

・「ちょっと待っててください」

 

俺は意識を広くしてみた。

ゲームで言う全体マップを見るってやつだ。

するとマップが広くなる。

普通に出来てしまった。

 

・サリス

「マップの表示が変わったわ、ライオットさんいったい何をしたの?」

 

・「マップ全体化ってのをやってみました。前の世界でやっていたゲームの知識ですね、やってみると意外と出来るもんですね。」

 

ポカーンとしているメンバー。

そっかゲームの概念が無いかな?

あ、そう言えば俺が異世界人って知らない人も居たな、ん〜まぁ良いか。このパーティーの人なら隠す必要も無いだろうし受け取り方次第では『異世界』ではなく『前にいた国では』って事になるかも?

 

・「まぁ良いじゃないですか。

このマップを観ながら進みましょう。」

 

・サリス

「そうね、ライオットさんが規格外なのはいつもの事だしこれで進行速度も上げれるわ。地図によるとすぐそこね、反対に行ってたら大変だったわね、危なかった。」


俺たちは地図を見ながら進む。

暫くすると階段が見え始めた。


・セリス

「6階は問題なくクリア出来たな。

次は7階だ、気を引き締めて行こう。」


一行は7階へと降りて行った。


6階はマップのお陰でサクッとクリア出来た。

7階は一体どんな場所なんだろう?

しっかりと気を引き締めないとな。

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