第9話 初めての依頼

次の日、俺は早々にギルドに向かった。

新しく手に入れたギルドカードを手に!

ギルドは朝だからか、冒険者は居なかったが、

受付にはギルド員の人が既に仕事をしていた。


・「おはようございます!

サリスさんに呼ばれてきたのですが

いらっしゃいますか?」


いつも左の受付に居るセリスさんの姿がなかったので、奥のカウンターのお姉さんに声をかけた。


・受付嬢

「はい、おはようございます。

ギルドカードの提示と、

お名前を教えて頂いてよろしいですか?」


・「ライオットです。

ギルドカードはこれです。」


やたらと新しいギルドカードを提示する。

新しいものを使う時ってワクワクするよね。


・受付嬢

「少々お待ち下さい。」


そう言って奥に消えていった受付嬢

今日から本格的な冒険者だ。

待ってる間にどんな依頼があるのか掲示板でも見ておこうかな。

あ〜、楽しみだぁ。

そう言って暫く掲示板と睨めっこしていた。


・サリス

「お待たせ、ライオットさん。

朝早く来るから驚いちゃったわ。」


・「おはようございます、サリスさん。」


・サリス

「奥の部屋で話すから一緒に来て。」


・「はい。」


俺はサリスさんの後を追い奥の部屋に入って行く。


・セリス

「よお、ライオット

おはようさん。

よく眠れたか?」


・「セリスさんおはようございます

みんなのお陰で居心地が良く。

ぐっすり眠れました。」


・そうか、そりゃ何よりだ。


朝からニコニコのセリスさんが椅子に座って待っていた。

可愛いなぁ~。


・サリス

「では、本題に入るわね。

まず、オーク殲滅戦の報酬だけど。

その時はまだ、ギルド登録されてなかったから正当な報酬はありません。

しかし、セリスとリーシュから猛反発を受けてね

少ないけど恩賞と言う形で報酬を渡す事になりました。」


おぉ、まじか。

セリスの方を見るとニコニコしながら親指を立てていた。

あの仕草、この世界でもするんだな。


・サリス

「で、報酬だけど。

2人たっての希望により、

アイテム鞄とギルド員宿舎の利用権利。

後は1000c(コルド  を報酬にします。

宜しければこちらにサインをお願いします。」


事務的な説明のサリスさん

仕事の出来る女性だなぁ。

と思いながらサインを書いて行く。


・サリス

「ライオットさん。

何を書いてるの?」


しまった、つい日本語で書いてしまった。

ど、どうしよう。


・「す、すいません。

実は文字が書けないのですが。」


・サリス

「そうなのね、

ギルドカードのこの部分が名前になってるわ。

それを見ながら書いてもらって良いかしら?」


文字が書けない事には余り突っ込まないな。

この世界では文字が書けない人がそれなりにいるのかな?


・セリス

「人それぞれ色んな事情があるからよ、

文字が書けない奴は結構居る。

だから気にすんな。」


セリスさんがフォローしてくれる。

なんだかんだで優しいんだよなぁ。


・サリス

「はい、ありがとう。

では報酬を持ってきますのでお待ち下さい。」


そう言って部屋から出て行った。


・セリス

「ライオット、報酬を勝手に決めて悪かったな。

実は、昨晩遅くまでリーシュと話しててよ。

何が必要か意見してたらこうなった。

現金は少ないがカバンが高いんだこれが、

まあ、役立ててくれ。」


リーシュさん、あれからセリスさんと話し合いしてくれてたんだ。

酔ってたと思ったけど大丈夫だったのか?

あれか、状態異常回復とかで治せるのかな?


・「ありがとうございます、セリスさん

凄い助かります。」


・セリス

「あ〜、それでよ、ライオット。

敬語とか辞めて、気軽に話してくれねぇかな?

一応、お前の事、

な、仲間だと思ってるから、、、ダメか?」


ちょっと上目遣いで話してくるセリスさん。

めっちゃ可愛いと思ってしまった。

うん、やっぱり可愛いよなぁ。


・「セリスさんが宜しければ、

俺もセリスさんの事は誰よりも信頼してますから」


・セリス

「そうか、ありがとうよ

なんか、普通に話した方が距離が縮まる気がするからよ。」


確かに、、、


・「では、、、宜しくな、セリスさん。」


・セリス

「ちゅ、中途半端だな。

まあ良いか、ライオットらしいや。」


笑いながら嬉しそうにするセリスさん。

いきなり変えるのはなかなか難しい。


・「敬語がちょっと癖になってるから、いきなり全部は変えれないけど、少しずつ直していくよ。」


・セリス

「敬語が癖って珍しいな。

まあいいや、これから宜しくな。」


・「こちらこそ、宜しくセリス」


頑張って呼び捨てで呼んでみた。

セリスさんの驚きの後、顔が赤くなってきてる。

でもなんだか嬉しそうだから良しとするか。

そんなやり取りをしているとサリスさんが帰ってくる。


・サリス

「お待たせしました。

じゃあ、コレが報酬ね。

使い方の説明要るかしら?」


・「あ、お願いします。」


・サリス

「わかったわ。

鞄は見掛けよりも沢山入る様になってるわ。

でも限度があるから注意してね。

この鞄はみんな欲しがるから盗まれない様に気をつけるのよ。

大きさに関わらず40種類のアイテムが入る仕組みになってるそうよ。

同じアイテムは一定の数まで1種類として分類される事が分かってます。

1種類とされる数は、入れる物により変わりますので自分で検証してね

曖昧な点が多くて申し訳ないんだけど、実はこの手の鞄って中立の獣人が作ったものだから詳細は余り分かってないのよね。

手を突っ込んで欲しいものを念じると出てきます

あと、余りにも大きな物は入りません。

ここまでで何が質問あるかしら?」


ふむ、

突っ込みたい所が山程だけど何となく理解

要はアイテムボックスだな。

中立の獣人ってのも気になるけど。

まあ、後々わかるでしょう。

早くレベル上げしたいし、、、


・「大丈夫です。」


・サリス

「何か困ったらいつでも聞いてね。」


・「ありがとうございます。」


俺は報酬を受け取ってお金を鞄に入れた。


・セリス

「もう行くのか?」


・「早くレベル上げたいからね。」


・セリス

「そうか、、、

今度、原初の果実を取りに行きたいんだ

その時は手伝ってくれねぇかな?」


・「俺で役に立つか判らないけど、

俺で良いならいつでも呼んで。

それまでにレベル上げとくから。」


・セリス

「おー、そうか来てくれるか。

ありがとよ。

まあ、それなりのパーティー組む必要があるからかなり後の話だと思う。

気長に待っててくれ。」


・「んじゃ、行ってきます。」


・セリス、サリス

「いってらっしゃい ×2」


俺は部屋を出て、とりあえず掲示板に向かった。


・サリス

「セリス、上手く話せた?

そう言えばライオットさん、

貴方に敬語じゃなくなってたわね。」


・セリス

「うん、まだまだ伝えたい事はあるけど、

ゆっくりと歩み寄って行こうと思う。」


・サリス

「そうね、それで良いと思うわ。

いつでも頼ってね。

私はいつでもセリスの味方だから、」


・セリス

「ありがとう、姉さん。」


サリスはセリスの思いに気付く。

複雑な感情を感じながらも心から応援しようと思っていた。

姉は妹の幸せを切に願っているのである。


・「さてさて、何から始めようかな。

違うな、何なら出来るかな?になるか。

こう言う時はプロに聞くのが1番だな。

すみませーん。」


俺は受付嬢に聞く事にした。


・「初めての依頼なんですが、

何からやって良いのかさっぱり解らなくて。

何か初心者にお勧めの依頼ってありますか?」


・受付嬢

「そうですね。

討伐系は難易度が高いと思いますので、

採取系が良いと思います。

そうですね『糸草の採取』コレなんてどうですか?

近場で獲れるし道具も必要無し。

手で引っこ抜けばOK。

魔物が出るけど弱いので安全だと思います。

強いて言うなら、糸草は服に使われる為、

1回の採取依頼の量が半端ない位でしょうか。」


ふむふむ、特定の草を毟ってこればいいんだな。

魔物もいるらしいから適度にレベル上げも出来る。


・「ならコレにします。

手続きお願いしても良いですか?」


・受付嬢

「はい、分かりました。

ではこちらにサインを書いて下さい。

注意点を申し上げます。

依頼を破棄する場合はキチンと受付に伝える事。

勝手に辞めちゃダメですよ? 」


・「わかりました!

ありがとうございました。」


とても礼儀正しい冒険者に受付嬢は嬉しくなった。

何か力になってあげたいと思ってしまう。


・受付嬢

「白堊門を抜けたら暫く歩いて、立札を左に。

それから真っ直ぐ歩いて行くと左手の丘に花畑らしき場所があります。

そこに群生してますので頑張って来て下さい。」


・「ありがとうございます」


一礼してギルドを去る。

受付のお姉さんに詳しい場所を教えて貰えた。

俺は早速初の依頼をこなしに向かった。


・「白堊門って、ホントにデカいな。

通る時って手続きいるのかな?」


白堊門に近ずく、、、

不意に白堊門の下に居る兵士に声を掛けられた。


・兵士

「身分証明をできる物、

又は出国許可証の提示を。」


・「あ、ギルドカードでも大丈夫ですか?

初めての依頼でよく解らなくて。」


・兵士

「おお、新人冒険者か!

ギルドカードで大丈夫だぞ。」


良かった、ギルドカードを出す俺。


・兵士

「ランク1か、本当になったばかりなんだな。

大変だと思うが頑張れよ!

何かあったらここまで逃げて来い。」


優しい兵士さんだなぁ。


・「ありがとうございます。

では行ってきます。」


・兵士

「おう、気を付けてな!」


兵士さんに見送られつつ外に出る。

さてと、ステータス


レベル2

筋力 14 知力 28 敏捷性 20


スキル

自動マーカー、マップ、精神自動回復、順応力


魔法

癒しの波動


技能

剣術レベル1

杖術レベル1

盾術レベル1

体術レベル5 補正レベル1 筋力 2 俊敏性 3


ふむ、相変わらず知力が地味に上がっているな。

依頼をこなしつつ少しずつレベルとスキルを上げて行こう。

そして気付いた。

また武器忘れてたわ。


俺は急いで戻って行った。

門の兵士さんに武器のことを話して武器屋の場所を聞いてみたのだが、


・兵士

「それなら良いものがあるぞ

ちょっと待ってろ。」


そう言って門の警備室?に入って行った。

暫くすると。


・兵士

「ほら、コレ持っていけ。」


なんと片手剣を渡してくれた。


・兵士

「少し前に冒険者が捨てて行った物だ。

何でも新しい武器をドロップしたから自分にはもう必要無い。

門兵にはお世話になってるからここで使ってくれって渡されてな。」


・「俺が貰って良いんですか?」


・兵士

「ああ、俺たちには支給品があるしな。

新人冒険者にあげても怒りはしないだろう。

剣は飾りじゃ無いからな、使ってなんぼだ。」


ガッハッハと豪快に笑う門兵。

一礼をして俺は外に向かって進んでいった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る