第25話 約束
・ライル
「最初から全開で行くぜ!」
ライルは魔力を高める。
・ライル
「食らえ『雷迅』!」
ライルは雷属性の剣閃を放つ。
刹那の間に6連撃。
常人では何をされたか解らず死を迎える。
・ディアボロス
「『常闇』」
漆黒の闇が当たりを包む。
すると『雷迅』が消えた。
・ライル
「おいおい、マジかよ。」
・ディアボロス
「私に魔法攻撃は通用しません。
さあ、どうしますか?」
余裕のディアボロス。
ライルは戦術を変える。
・ライル
「『雷神剣』、行くぞ。」
ライルは持っている剣に雷属性を付与。
近接攻撃に切り替える。
・ディアボロス
「『暗黒剣』。」
ディアボロスも同じ様な剣を創り出す。
・ライル
「くそ、何でもありかよ!」
ライルは切りかかる。
普通なら防御など出来ない攻撃。
しかしディアボロスは受け止める。
・ディアボロス
「素晴らしいエンチャントだ。
普通、私の剣に触れた物は崩壊する。
しかし貴方の武器は原形を留めている。
それ程、魔力の精度が高いという事です。
これは誇っていい事ですよ?」
・ライル
「俺の『雷神剣』は全てを斬り裂く。
こうやって受け止められたのは初めてだ。
誇っていいぞ?」
お互いにニヤける。
そして剣技の打ち合いが始まる。
どちらも一歩も引かない。
まさに互角の勝負と言っていい。
・ディアボロス
「貴方、とてもお強いですね。
その若さでこの剣技。
才能だけで切り開けるものではない。」
・ライル
「一応、騎士団長だからな。
そこらの剣士と一緒にすんなよ。
っと、隙ありだ!」
会話しながら剣を打ち合う。
僅かにライルの方が上だ。
・ディアボロス
「ぐぅ、、、」
腕を浅く斬りつけられた。
その瞬間、魔法を繰り出し距離を取る。
・ディアボロス
「傷を負ったのは何百年振りでしょう?
獣王と戦った時以来でしょうか?
ああ、この痛み。
体が高揚していくようです。」
ディアボロスから魔力が溢れ出す。
・ディアボロス
「私も本気になりましょう。
ライル・グランツ・ランバート。
貴方は素晴らしい実力でした。」
過去形で言い放つディアボロス。
・ディアボロス
「『深淵・ディザスター』」
ディアボロスから無数の砲弾が飛んでくる。
・ライル
「速い!」
ライルは全てを躱す。
しかし砲弾はありえない角度で曲がって来る。
追尾性能を備えた闇の砲弾だ。
・ライル
「なんつう魔法を使いやがる。
こいつ、遠距離砲撃がメインか?」
何度も躱すが何度も追いすがってくる。
ライルは堪らず大きく避ける。
・ライル
「遠距離メイン相手に距離を取るのは悪手。
しかしそんなこと言ってられん。
まずはこの魔法を何とかしなければ。」
ワザと木を間に挟む。
闇の魔法が木に当たる。
すると木が振動しながら塵となる。
そのまま魔法はライルに向かってくる。
・ライル
「貫通して来るか、ならば!」
ライルは剣を構える。
・ライル
「『雷神剣・閃』。」
無数の魔法を全て斬り裂く剣閃。
この闇魔法に当たる訳にはいかない。
全て斬り裂くのだ。
・ディアボロス
「全て落としましたか、では次です。
『深淵・ラビリンスクロス』」
ディアボロスから放たれる闇の魔力。
ライルを、いや周囲を包み込む。
・ライル
「気を抜くな、、、」
ライルの周りを闇が支配する。
・???
「兄さん、、、兄さん。
どうして?どうしてなの?」
懐かしい声がする。
・ライル
「ハリス?」
・ハリス
「ライル兄さん、どうして父さんを斬ったの?」
幼き頃の弟の姿が見える。
・ライル
「くそ、嫌な攻撃してきやがる。」
精神攻撃の一種だろう。
ライルの暗い過去が蘇る。
・ハリス
「どうしてなの?」
・ライル
「くそ、うるせぇ!」
ライルは魔力を開放する。
敵の魔法は範囲攻撃だ。
ならばこの周辺を消し飛ばせばいい。
・ライル
「『バースト』!」
雷魔法『バースト』
それは周囲に稲妻を走らせる。
自分中心で円状に広がる範囲魔法攻撃。
ライルは周囲の闇魔法を吹き飛ばす。
しかしこの魔法には欠点がある。
・ライル
「はぁはぁはぁ、、、」
燃費がすこぶる悪いのだ。
・ディアボロス
「これも突破しますか。
素晴らしいですね。」
・ライル
「『雷迅』」
ライルはすかさず遠距離で攻撃する。
しかしディアボロスには届かない。
・ディアボロス
「おっと、言い忘れておりましたな。
『常闇』の効果は私の魔力が枯渇するまで。
つまり、私を倒さない限り続きます。」
くそ、余裕かましやがって。
・ライル
「『雷神剣』」
再びエンチャントを発動。
一気に斬りかかるライル。
この攻撃にディアボロスは反応できない。
ライルの剣が突き刺さる。
・ライル
「『雷神剣・舞』」
突き刺した剣を小刻みに振動させる。
そして内側から雷魔法で斬り裂く。
無数の稲妻は敵の身体を駆け巡る。
まるで敵の体内で舞を踊る様に。
・ライル
「くそ、、、分身か?」
手ごたえがおかしい。
瞬時に察知したライルは距離を取る。
・ディアボロス
「『深淵・影法師』」
するとライルの背後から魔族が現れる。
ライルはすぐに反転して斬り払う。
・ライル
「これも防ぎやがるか。」
ライルの剣は魔族の剣で止められた。
・ディアボロス
「貴方は本当に人間ですか?
これ程強い人間は一人しか知りません。
流石、あの方の末裔と言えましょう。」
口ぶりからして初代勇者を知っている様だ。
・ライル
「負けられないんでね。」
ライルは正直恐怖している。
早く戻らないと騎士団が心配だ。
しかしこいつを倒せる気がしない。
今、無理をしながら戦っているのだ。
・ライル
「前半の消耗が効いて来たな。」
ライルはずっと前線で戦っていた。
一度も休むことなく。
そしてそのままディアボロス戦である。
既に複数回の魔法を使った。
更に『バースト』まで使用。
魔力枯渇が近づいてきている。
・ディアボロス
「そろそろ限界ですか?
人間は総魔力が少ない。
ここまで何発も魔法を撃った事に驚きです。
褒めて差し上げましょう。」
敵にもバレている様だ。
ならば迷ってる暇はない。
魔族相手に長期戦は出来ない。
元々魔力量が違うんだ。
ならば最高の一撃に掛けるしかない。
・ライル
「お前の言う通りだ。
そろそろ限界だよ。」
あとは自分の剣を信じるのみ。
相手のプライドを刺激しろ。
・ライル
「次が最後だ。
俺の技、お前に受け止めれるか?」
解りやすい挑発。
しかしこいつなら乗ってくる。
・ディアボロス
「良い気迫です。
では全身全霊でその技を受け止めましょう。
全てをさらけ出してください。」
俺の安い挑発に乗ってくれた。
プライドが高いと大変だな。
だが、ありがたい。
俺ももう余裕がないのでな。
ライルは精神を集中させる。
騎士団の事は騎士たちに任せよう。
ここでこいつを倒さなければ同じ事。
ならば俺はこいつを倒す。
・ライル
「あああああああ!」
ライルの魔力が異常な高まりを見せる。
・ディアボロス
「凄い、、、」
思わず漏れた一言。
魔貴族のディアボロスおも唸らせる魔力。
練度が凄まじい。
想像を絶する努力が伺われる。
・ライル
「わざわざ待ってくれてありがとよ。」
全身に雷を纏うライル。
神々しくも美しい、、、
・ライル
「食らうがいい!『雷神活殺双滅陣』」
ライルが手を振り下ろす。
すると周囲が眩しいくらいに発光する。
その瞬間、何かが落とされた。
・ディアボロス
「『常闇法滅界』」
ディアボロスも魔法で対抗する。
とてつもない光と爆発。
ライルの魔法。
そしてディアボロスの魔法。
お互いの切り札がぶつかり合う。
勝負は一瞬だった。
・ライル
「くそ、これでもダメか、、、」
地に伏せていたのはライルだった。
・ディアボロス
「凄まじい一撃ね。
ライル・グランツ・ランバート。
私はその名をわが身に刻もう。」
話し方が変わっている。
ディアボロスの体はボロボロになっていた。
しかし、しっかりと自らの足で立っている。
実はあまりしっかり視えていない。
目がかすむ、、、
・ディアボロス
「何か言い残す事はある?」
・ライル
「そうだな、、、、
結婚とか、してみたかったかな。」
ライルは生きるのを諦めた。
既に魔力は枯渇。
いつ気を失ってもおかしくない。
自身の親を斬り殺した過去を持つライル。
彼は家族を持つことを恐れていた。
しかしどこかで憧れていたのだ。
本当の家族と言う物に。
・ディアボロス
「そう、素晴らしい戦いだったわ。」
・ライル
「そうだな、、、」
ライルは目を閉じた。
ディアボロスのトドメを受け入れる様に。
そして剣を抜く音がした。
何となく風も感じる。
感覚がおかしくなっている様だ。
これで終わりか、、、
・ライル
「こんな筈じゃなかったんだけどな。」
ライルは呟く。
昔の事が頭をよぎる。
これが走馬灯だろう。
懐かしいな、、、
ハリス、情けない兄貴でごめんな。
リーシュは変な奴に取られたっけ?
裕樹は無事だろうか?
ハナとうまくやってるか?
てか、、、長くないか?
ライルは目を開ける。
・ディアボロス
「か、、、は、、、、、」
ディアボロスから剣が生えている?
いや、貫かれている。
一体何があった?
・???
「はぁはぁはぁ、、、
どうしたよ、ライル。
戦争中に居眠りか?」
・ライル
「裕樹か!?」
余りの出来事に全てを忘れたライル。
疲弊している事も忘れて目を見開く。
・裕樹
「何とか、、、間に合ったな。
約束は守ったぞ。」
裕樹が倒れる。
・ディアボロス
「ふ、、、、、かく、、、、。」
ディアボロスが倒れた。
・ライル
「くそ、俺も動けねぇ。」
人間2名と魔族1名。
戦場に倒れ込む影が3つ。
この戦いの壮絶さを物語っていた。
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