第9話 奴隷解放作戦 下見

バラッド卿、、、


・ひゅ〜、デッケェな。


俺は少し離れた場所から様子を伺う。

さて、どうするかな、、、

ん〜、、、、迷った時は正面からってな、

門兵は2人か、、

よし、行ったるか!


・門兵

「止まれ!

ここはバラッド様のお屋敷だ。

まずは名乗られよ。」


・それは済まなかったな。

私はナイルと申す者。

ラースの使いで来たと伝えてくれれば良い。


・門兵

「ナイル、、、聞いた事ないな。」


・仕方ないさ、、、

遠路遥々奴隷を買いにやって来たばかりだからな。

ラースと言えば伝わると言っていたが、私の思い違いか?

帰ってラースに文句を言ってくるか、、、

だが、もしも私がバラッド卿のお客だとしたら、お前達はどうなるかな?

話も通さずに帰したことになるが、、、?


・門兵

「ぐっ、それは不味い。

ナイルと申したな、暫し待たれよ。

バラッド様にお話を通してくる。」


・うむ、私もその方が助かる。

忘れるな、ラースの名を伝えてくれれば良い。


さてと、ここから上手く行くかな、、、

最悪の場合は即逃げる。

、、、暫く待っていると


・バラッド卿

「おぉ、其方は先程ラースと共にいた。」


・お初にお目に掛かります。

私、ナイルと申します。

バラッド様にラースからの伝言とお願いを伝えに参りました。


・バラッド卿

「ふむ、してその内容は?」


・はっ、

明日の宴に是非参加させて頂きたいとの事です。

そして、この私にバラッド様の素晴らしい屋敷を見学させて貰って来い、との事です。


くそ、こんな言葉回し使った事ねぇよ、、、

合ってるのかどうなのかすら判らねぇ。


・バラッド卿

「そうかそうか、参加して貰えるか!

いやはや愉快愉快。

ここに来てから良い事ばかりだな。

今日はとても機嫌が良い。

お主も明日、宴に来るが良い。

もちろん、屋敷も案内させよう。

ヤード、来い。」


・ヤードと呼ばれた者

「はっ!」


・バラッド卿

「この者に屋敷の案内を、、、

そうだ、牢屋から明日の相手を選んでもらえ。

とびっきりのメスを抱かせてやろう。

人族では味わえない快楽があるぞ!」


クッソ、今すぐ殴りてぇ、、、


・ありがたき幸せに。

流石バラッド様、ラースが一目置いているお方であられますな。


・バラッド卿

「はっはっはっ!

そうだろう?

いやはや、気に入った。

ナイル殿、好きなメスを1匹其方に譲ろう。

明日の相手を選ぶ際、今宵の分の1匹を持ち帰りたまえ。

では、私は明日の準備があるので、、、

ヤード、しっかりと案内するんだぞ?

あーはっはっはっ。」


機嫌よく去って行くバラッド卿。

あぁ、、、後ろから、たたっ斬りてぇ、、


・ヤード

「では、ナイル様。

こちらへ、、、。」


俺はヤードに付いて屋敷の敷地に入る。

まずは屋敷の全容を把握しなきゃな。


・ヤード

「ナイル様、お気をつけください。

私と離れてルートを外れると、庭に放してある魔物に喰われます。

必ずこの灰色の道を歩くようにお願いします。」


・わかった、

ありがとう。


成る程ね、だから余り警備がいない訳だ。

魔物なら躊躇なく侵入者を殺すだろう、、

確かに良い護衛になるな。

しかし、どうやっ躾けたんだ?


・ヤード

「向こうに見えるのが奴隷小屋になります。

明日、14匹の獣人が新しく入荷の予定ですので今は空となっています。」


・成る程な、、では元々居た奴隷は今、全てが地下牢にいると言うことか?


・ヤード

「はい、その通りでございます。

我が屋敷の警護は殆どが魔物になっております。

操りの魔道具と呼ばれるマジックアイテムにより忠実に命令を実行する様になっています。」


・そんな道具があるのか、、、

是非観てみたいものだ。


・ヤード

「わかりました、では後程ご案内します。

ではそろそろ屋敷に着きますので。」


そんなに簡単に、、、怪しいな。

しかし、結構広い庭だな。

駆け抜けるのはちょっときついか?

魔物を倒して居る間に囲まれる危険性がある。


・ヤード

「これよりバラッド様のお屋敷に入ります。

なるべく物には触れない様に、宜しくお願い致したます。」


屋敷の扉が開かれる、、、

中には派手な装飾、数多くの部屋、デカいエントランス、おっと照明まであるぞ?どうなってんだ?

凄ぇの一言だわ。


・流石、バラッド卿、、、

とても良いセンスですね。

私など到底及ばない。

素晴らしいの一言です。


・ヤード

「ありがとうございます。

バラッド様に伝えておきますよ。

さて、これで大体の案内はしました。

これよりメインとなる今宵の貴方のお相手と、明日の相手を選びにいきましょう。

、、、おっと忘れるところでした。

操りの魔道具のご紹介を先に済ませましょう。

奴隷達は地下牢、魔道具は半地下にあります。」


・半地下に?


・ヤード

「はい、

警備の要なので隠し通路の先にあります。

但し、正しい順序で行かないと罠が発動し、死に至ります。

順序は毎日変化する様になってますのでお気をつけ下さい。」


・素晴らしい警備ですね。

この屋敷は完全なる要塞と言ったところか、、

バラッド卿には驚かされてばかりだ。


・ヤード

「ありがとうございます。

バラッド様もお喜びになられますよ。

私もご案内出来て嬉しく思います。

さあ、この先が魔道具です。」


隠し通路の先の魔道具のある部屋まで来た。

そこでヤードは何やら壁に細工している。

ここで怪しまれるのも嫌だしな。

別のところ見ながらぼーっとしてるか。


・ヤード

「お待たせしました。

こちらが魔道具になります。」


そこには、、、

キラキラと光る宝石と銀細工の筒があった。

うん、魔力を全く感じない。

これ偽物だな、、、とりあえず驚いておくか。


・ほほぅ、これが魔道具、、、

私には綺麗な装飾品にしか見えません。

しかし、何と言う美しさ、、、

私には手の届かない物ですな。

拝見させて頂き、感謝の気持ちで一杯です。


・ヤード

「手にとって見ますか?」


・いや、触ることすら恐ろしい美しさ。

私には見るだけで十分です。


・ヤード

「そうですか、、、、

わかりました。

では、今宵の相手を探しに参りましょう。」


ヤードは魔道具と呼ばれた物をしまい、俺を再び案内し始めた。

さて、上手く誤魔化せたかな?

ワザと偽物を見せて俺の反応をみたな、、、

ここは奴の言う通りに動くのが賢明だな。

貪欲な奴は無欲な奴を信じない。

ならば、俺も貪欲で汚い人間を演じれば良い。


・ヤード殿、、、、折角の魔道具でしたのに、薄い反応で申し訳なかった。

どうしても、今宵の相手の事で頭がいっぱいになってしまっていた。

どんな美女がいるのかな?


・ヤード

「成る程、そうでしたか。

それは申し訳ない事をしました。

すぐに案内します、、、

まずは全ての奴隷を観て、2人お選びください。

そして、1人を貴方様の性道具とすれば良い。」


む、、、ヤードの話し方、最後が少し変化した。

これさ、、

ひょっとしたらヤードが屋敷の主じゃねぇ?

ずっと試されてた気がする。

たが、今はガードが消えた感じだ。

もう少し様子を見るか、、、


・楽しみで仕方ない、、、

早く、早くお願いします。


・ヤード

「ふふふ、そう焦らずに、、

楽しくなって来ましたな。

さあさあ、こっちだ、、、です

貴方はどんな女を選ぶのかの?」


あ、、これ完全に隠す気消えたな。

頭の隅に入れておこう、、、

バラッド卿よりヤードの方が怪しい。


2人は地下へと降りる。

そこで観た。

鎖に繋がれ、服がボロボロになり傷だらけの獣人の女性達を、、、

 

・うほぉぉぉ!


危なく理性がぶっ飛ぶ所だった、、、

大声出して誤魔化さなきゃ危なかった。


・ヤード

「どうですかな?

私のコレクション達は、中々のもんでしょう?

さあ、好きな物を選んで下され。」


物だと?

くそ、今すぐにブチのめしたい。

我慢だ、明日まで我慢。


・さて、どの子にしようかな、、、


俺は選ぶフリをして牢屋を見渡しながら歩く。

女性達は自分が選ばれない様に泣きながら目を伏せ、俺を見ないように必死だ。

もう少しだけ、我慢してくれ。

必ず、明日助けてみせる。


そんな中、1人だけ俺を見据える女性がいた。

両手を壁に鎖で繋がれ、足には重り。

それでも目が死んでいない。

俺を殺すような目で睨む。


・ヤード殿、、、この子は?


・ヤード

「そ奴は何をしても全く媚びなくてな、売り物にもならん厄介者だ。

とは言え、体も顔も悪くはないだろう?

一度、数人で押さえつけて征服しようとしたが逆にこちらがやられてしまってな、、、

手に負えないからあの娘を盾にしてもう一度捕まえておいたのだ。」


・あの娘?


俺が尋ねると、ヤードが指を指す。

その先には寝込んでいる若い女性が、、


・ヤード

「あ奴は病気での、、余り長くはないだろう。

可愛い顔だが抱く気にもならんわ。

やはり泣き叫ぶ獲物の方が楽しいだろう?」


よし、ここだ。

今なら流れは悪くない。

クッソ、、、明日絶対にコイツぶっ飛ばす。


・泣き叫ぶ獲物か、、、

ヤード殿も良い趣味でいらっしゃる。

実は私も同じでしてな、、、

ふむ、、、よし、決めた。

今宵の獲物はそこの寝ておる小娘にする。

そして、明日の相手はそこの娘だ。

しっかりと調教した小娘を見たらどんな顔で泣き叫ぶか見てみたい。

絶望に打ち拉がれ、自らの無力を感じさせた後、ゆっくりと楽しんでやろう。


・ヤード

「ひょーひょっひょっひょ!

ナイル殿、最高だ!

素晴らしい、、、何と素晴らしい事か、

あぁ、明日が楽しみだ!」


・???

「約束が違うぞっ!

リナには手を出さない約束だろ。」


・ヤード

「ヒッヒッ、うるさい。

約束など知らん。

さあ、ナイル殿連れて行きなさい。」


・では、遠慮なく、、


・???

「やめろ!やめろ!

くそ、約束が違うぞ!

ヤメロォォォ」


俺は彼女の叫びを聞きつつ、寝込んでいる女を抱き上げる。

確か、リナって言ってたな。


・???

「くそっ、貴様!

リナに何かしやがったら殺す!

絶対に殺す!」


・ヤード

「さあ、ナイル殿行きましょう。

お前も明日はナイル殿の獲物だからな、、

楽しみにしてるんだな!」


・???

「くそがぁぁぁぁ」


最後に叫び声がこだまする、、、

ダメだ、我慢できない、

あの子が余りに可哀想だ。

、、、ちょっとだけ教えておくか。


・ヤード殿、明日の為に一言だけあのメスに言ってきても良いですかな?


・ヤード

「ほほぅ、ナイル殿もなかなか、、

良いでしょう、好きに言って来なさい。

私はここで待ってましょう。」


コイツ、完全に使用人キャラ忘れてるな。

まあ、良い。

さてと、行きますか。

俺は奥で叫んでいた女性の元に行く。


・???

「殺してやる!殺してやる!」


相変わらず、殺気が凄え、、

此処で怪しまれる訳にはいかんな。


ドゴ


・???

「なっ、、、」


俺は女性のすぐ横の壁を撃ち抜く。


・よく聞け、、、

俺は敵じゃない。

だがここで怪しまれる訳にもいかん。

俺が見えなくなるまで叫び続けろ。

リナは俺が責任を持ってレジスタンスに預ける。


・???

「それを信じる根拠は?」


・ない。

だが、ここで怪しまれればリナも俺も死ぬぞ。


・???

「くそっ、騙しやがったら殺すからな」


・上等だ。

俺の名は裕輝だ。

さぁ、さっきみたいに叫べ。


俺はヤードの元に戻る。

後ろでは叫び声が聞こえる。

よし、上手く行きそうだ。

そして俺は屋敷の入り口まで戻る。


・ヤード

「ナイル殿、明日が楽しみですな!」


・全くだ、、、

さて、私はこの小娘を調教しに戻るとしよう。

バラッド卿にありがとうと伝えてくれ。


・ヤード

「はい、必ず!

では、楽しんで下さいね」


ムカつく笑顔を向けながらヤードが屋敷に戻る。

それを見送ってから俺はリナを担いでレジスタンスの屋敷に向かう。 

とりあえず、レジスタンスの所までは演じるか。

そして、屋敷に到着する。


・門兵

「貴様は誰だ、、、

ん、、ラース様のお連れの方でしたか。

失礼しました。」


良かった、覚えててくれた。

俺は難なく屋敷に入る。


・ライル

「お帰り裕輝、、、

ってその子誰?

何してんの?」


・すまん、すぐにハナを呼んでくれ。

俺には良くわからんが病気らしい。

彼女の名はリナ。


・ライル

「なんかよく分からんが、とりあえず二階の奥から3番目の部屋に運べ。

すぐにハナを呼んでくる。」


・すまん。


俺はリナを抱えて部屋に移動、、、

そしてベットに寝かせる。

そう言えば余り感情の起伏が感じられないな。


・リナ、、、リナ

聞こえるか?


反応は薄い、、、

眼球がこちらを向いている事から俺の声と姿は見えてる気がする。


・ハナ

「裕輝さん、患者は?」


ハナが部屋に到着した。


・こっちだ、

熱は無さそうだが感情の起伏が感じられない。

俺の姿、声には薄く反応はする。


・ハナ

「わかりました、では少し下がってください。」


ハナがリナに魔力を流して調べている。

俺は暫く観察する。

自分の魔力を流して患部を見つける感じか?

魔力の乱れを治せば治るのか?


・ハナ

「少し時間が掛かります。

魔力の流れを戻せば治りますが、個所が多い。

薬か何かで意図的に乱しているみたいです。」


・薬か、、、

病気ではないのか?

魔力で押し流しても良いのか?


・ハナ

「はい、

病気ならば魔力だけではダメですが、この症状での薬ならば魔力で体外に出せば終わります。」


・そうか、、、

ハナ、俺のやり方が違うなら止めてくれ


・ハナ

「裕輝さん?」


落ち着け、、、

要するに体内の毒素を消し飛ばせば良いんだろ。


・リナ、今から助けてやる。


俺はリナの左の掌と自分の掌を合わせる。

そして逆の掌も同じ様に合わせる。


・ふぅ、、、、


リナの毒素を俺に流し込み、俺の中で掻き消す。

光魔法で浄化するイメージだ。

光で浄化、、、祈り、、、


・行くぞ!


最初はゆっくりと、そして少しずつ早くする。

毒素を押し流しながら魔力の通り道を整える。

毒素を俺の体に流し込むような道を作り、、、

そしてリナの毒素が全て俺に流れ込んで来た時に、、浄化させるんだ。

消し去れ、、、、


『クリアクロス』


俺の体が光を放つ。

そして、、、


・ハナ

「ひ、、、裕輝さん?

大丈夫ですか?」


・どうやら上手くいったみたいだ。

ちょっと冷や冷やしたがな、、、

リナ、どうだ?

体は楽になったか?


・リナ

「貴方は、、、、?

ナイルと呼ばるていたわ、、、

誰なの?」


・ハナ

「この方は裕輝さん。

勇者様ですよ。」


・勇者じゃないよ。

てか、ハナ。

俺の紹介を勝手にするな


・ハナ

「えぇ〜、良いじゃないですか。

それとも、勇者と名乗らずにこの子に何かするつもりだったんですか?」


なんかトゲがあるな、ハナ。


・んな事するかよ、、、

この子は病気だったから先に救出しただけだ。


・ライル

「お前まさかバラッド卿の屋敷に入ったのか?」


・おぅ、正面から名前変えて入ってやったわ。

とりあえず奴隷の場所を確認した。

その際にこの子を見掛けてな、、、

ほっとけなかったから連れ出した。


・ライル

「連れ出したって、、、

バラッドの野郎をぶちのめしたのか?」


・いや、話を合わせて上手く気に入られてな、、、

奴隷を1人俺に譲るって言ったから、この子を貰ってきた。

明日の宴でも1人相手を選べって言われたな。


・ライル

「すげぇな、、、どうやったんだよ。

俺だってバラッド卿に顔を覚えて貰うのに結構苦労したんだぜ?

それに、あんなケチな奴からよく2人も選べなんて言わせたな。」


・簡単だよ、、、

強欲な奴は強欲な奴しか信じない。

無欲で行くと怪しまれるからな。

だから強欲を演じ、同じ趣味を演じただけだ。


・ハナ

「で、、、裕輝さんは今夜この子とお楽しみなんですか?」


・バカ言うな、そんな事しないよ。

なんか、ハナ怒ってる?


・ハナ

「怒ってません!」


怒ってるよね?

なんか怖いな、、、


・ライル

「ハナはな、ずっとお前の事を心配してたんだ。

やっと帰って来たと思ったら女連れだった、、

そりゃ怒るわな、、、」


・マジか、なんかごめんなハナ。

どうしても助けたくてな、、悪かった。


・ハナ

「いえ、私こそ申し訳ありませんでした。

確かにその子は良くない状態だった。

賢明な判断だと思います。」


・そう言って貰えると助かる。

、、、さてと、

リナ、気分はどうだ?


・リナ

「貴方のお陰で、、、

話を聞く限りでは、貴方は私を助けたの?

どうして?

私を襲うの?」


・話聞いてた?

そんな事しないよ。

君を保護したんだ。


・リナ

「だって、、地下牢で言ってた。

今日は私を調教するって、、、

そう言う事でしょ?」


・ハナ

「なっ、、、裕輝さん!」


やめて、折角誤解が取れた所なのに、、


・いやいや、違うって、、

話を合わせる為にだな、、、


・ライル

「まあ、裕輝も男だって事だな、、、」


ニヤニヤしやがって、、、

ワザとだろう?

テメェは後でぶっ飛ばす。


・ハナ

「信じられないっ!

リナさん、今日は私の部屋で寝てください。

こんな人だとは思わなかったわ。」


ハナがリナを連れて出て行った。

いや、連れて行くのは良いんだけど、なんか納得いかないな、、、


・ライル

「あ〜ぁ、ハナに嫌われたな。

裕輝ももっと上手くやらないと!」


相変わらずニヤニヤしているライルを、、、

とりあえずぶん殴っておく。

あー疲れた。

俺も寝よう。


・言い忘れてた、明日は昼前に突撃するのでそっちは適当に宜しく。


・ライル

「あ、あぁ、わかった。」


頬をさすりながらライルが答える。

そして俺は部屋に戻って行った。


・ライル

「茶化し過ぎた、、、痛え、、、。

裕輝、殴るならもっと優しくして、、、」


ライルはちょっと涙目になっている。

すると、自室に行ったはずのハナとリナが部屋に戻ってくる。


・ハナ

「ライル団長、、、これで宜しかったのですか?

裕輝さんにあんな事して、私、嫌われたかな。」


・ライル

「すまなかったなハナ。

ああでもしないと、明日の作戦に影響が出そうだったから。

裕輝には集中してもらわなきゃな、、、。

本当、俺たちは嫌な役目だよな〜」


・ハナ

「全くです。」


・リナ

「あの、、、貴方達は?」


・ライル

「レジスタンスだ。

明日、君達を解放する為に来た。

既に獣人国とも話がついている、安心してくれ。

君は先駆けて裕輝に救われたんだ。

今日はゆっくり休むと良い。

ハナ、しっかりと頼んだぞ。」


・ハナ

「はい、、、

部屋の前に2名交代で見張りを立てます。

部屋には私も待機してリナさんを護ります。」


・ライル

「自分も寝る事を忘れるなよ?

明日は働いて貰うからな。」


・ハナ

「了解!」


・リナ

「レジスタンス、、、裕輝、、、。」


・ハナ

「リナさん、色々と聞きたい事もあると思いますが、今はゆっくりと体を休める事を最優先にして下さい。」


・リナ

「はい、、、、ありがとうございます。」



一方、、裕輝


・全く、、、偵察だけじゃなかったのかよ。

最前線で作戦やってるじゃねぇか。

しかも、獣人国との同盟とか、、、

昨日今日の計画じゃないだろ。

一体どこまで話は進んでるんだ?

どこまで隠している?


裕輝は思案する。

今後、このまま信じて良いのか、、


・今の所、ライルも王も間違っちゃいねぇ。

確かに好感は持てる。

だが、作戦の全てが判らない内はいつでも逃げる算段をつけておくのが賢明か、、、。

俺はまだ弱い。

派手に動くには早すぎる。

とにかく、今は明日の事だ、、、

必ず助けてやる。


裕輝は明日の事を思い浮かべつつ軽くイメージトレーニングを行い、そのまま眠りについた。

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